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ラインハルト・オッペルの試演

2017 DEC 30 22:22:52 pm by 西村 淳

楽しみにしていた、「埋もれてしまった作曲家」ラインハルト・オッペルの弦楽四重奏を代官山教会で聴いた。このような困難な取り組みに果敢にチャレンジされた、ヴァイオリンの前田さんご夫妻とヴィオラ、チェロ氏の並々ならぬ情熱に拍手!雁部一浩氏が主宰する「代官山コンサートシリーズ」の一環に組み込みされたが、この演奏会に足を運ぶ目的はオッペル試演のみ。師走の寒空の中、ライヴ・イマジンのメンバーたちも多数押しかけていた。
さて、初めて聴くオッペル(1878-1941)、後期ロマン派という触れ込みだが時代はドビュッシーは言うに及ばず、ストラヴィンスキーの「春の祭典」(1913)、そしてシェーンベルクの「ピエロ・リュネール」(1912)と動いている。そんな中、時代に取り残されたもののリヒャルト・シュトラウスのようにあらゆる技法を駆使した豪華絢爛の世界、あるいはラフマニノフのようにピアニズムの極致から生まれた陶酔の世界は確かに心の琴線に触れるものがある。
オッペルについては生涯も作曲活動も俯瞰できないでいて、(何しろGROVEの音楽事典にすらその名前を見つけられなかった)1曲の弦楽四重奏曲のみでこの人の音楽を判断することは困難ながら、いろいろな作曲技法の組み合わせと後期ロマン派風の和音の移ろいがベースになったものと聞こえた。仮に若い時の作品であろうと、そうでなかろうとその中に強烈な個性を感じることが出来なかったのはこの作曲家の今の立ち位置をあらわしていると思う。第1楽章 ソナタ形式、 第2楽章 スケルツォ、第3楽章 アダージョ 第4楽章 フーガ。
演奏内容はそれまで時間をかけてしっかりと準備していた成果がそのまま表れていたし、オッペルを音楽面から評価できるレベルに到達していた。
試演とした理由について雁部氏からは『過去に行った代官山コンサートシリーズは完成度の高いものを提供してきたが、今回は云々』というお話があったがこの四重奏の完成度と他に演奏されたものの内容、レベルにそれほど大きな違いは感じられなかった。

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