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もしかするとオーディオファンかも

2019 JUL 9 20:20:33 pm by 西村 淳

レイボヴィッツと言う名前が出てくるとどうしてもシェーンベルクにつながり、実際多くを作曲しているようだがまったく認知されていない。ただ指揮者としても活躍した人でベートーヴェンの交響曲全集はそれなりの評価を得ている。ベートーヴェンのメトロノーム指定を守って演奏しているとか、ちょっとエキセントリックに捉えられ誤解されているかもしれない。またこの全集の「録音」がいいとも聞こえていた。先日、アメリカCheskyにより復刻された第4と第7を組合わせたCDが某音盤組合の店頭にあったので手に取ると録音に何とあのケネス・ウィルキンソンの名前があった。合点!何の迷いもなく購入したが、当初はリーダース・ダイジェストのLPとして発売されたもので巨大なアメリカ市場に浸透したはずである。余白のトルコ行進曲をワクワクして楽しんだ。
録音エンジニアのケネス・ウィルキンソンの名前はオーディオ好きにとっては神様のように崇められている。なるほど、このレイボヴィッツのベートーヴェンもヌケの良さ、ダイナミックレンジの広さ、明るい生き生きとした音作りだし、ティンパニの音程まで意識できる。ショルティとの録音は一時代を築いた。またそれがジュリーニ=ニュー・ニューフィルハーモニアのモーツアルトの交響曲第40番、第41番やアシュケナージ=ショルティのベートーヴェンのピアノ協奏曲であっても答えは一つである。
ウィルキンソンは「録音」技術を職人技から一つの個性を持った芸術家肌のものに昇華させている。ただ、誤解してはいけないのはコンサートホールでは決してこのように聴こえないし、このマルチマイクのテクニックによる各楽器の分離の良さが必ずしも音楽に奉仕するとは言えないことだ。だがどうだろう、もしかすると実際に作曲家の頭の中で鳴り響いているものはこんな風なのかもしれない。
この音が好きなのか、嫌いなのか?媚薬を一度味わったら止められるわけがない。それがオーディオ好きということだし、ましてCDでこれだけの音が聴こえるのだからLPだったら、さらにオリジナル盤だったらと・・ああ想像しただけで身悶えしてしまう。
そんな訳でウィルキンソン録音のジュリアス・カッチェン=ショルティのラフマニノフのピアノ協奏曲第2番の英国オリジナルLPを買い、こっそり持ち帰ったりしている。いつかしまってあるリンのLP12を現役復帰させる日のために。

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