聖夜
2020 DEC 16 21:21:44 pm by 西村 淳
ルートヴィッヒ・ファン・ベートーヴェンの250回目の誕生日。
もし個人的にお祝いするなら「エロイカ」以外には考えられず、最近入手したアダム・フィッシャー/デンマーク・室内管弦楽団の演奏を聴く。そうそうここはいい、でもここはちょっと賛同したくないなあ、などとまるで批評家になったような聴き方をしているのに気づく。もっとも演奏は設計図に基づいて家を建てているようなものだ。いい職人がいればいい物が出来上がるし、腕が悪いとどこかギシギシしたり隙間があったり。でも住めるならそれでいいじゃないか、十分、と最近は思うようになった。
今年は念願の一つ、「弦楽四重奏曲第12番」を演奏することができた。いろいろありすぎて逆にいい思い出を作れたし、考えてやっているうちに間違いなくウデも数ステップアップしたのを実感できた。正しい姿勢で弾けるようになった。スポーツ選手と一緒でルービンシュタインの背筋の伸びた姿を思い浮かべるまでもなく一流の奏者の演奏している姿は美しい。おかげで肩の痛み、腰の痛みからすら解放されたし、痛めていた左指も80%以上快復した。弓の持ち方、中指の使い方をちょっと変えただけで劇的に音が変わった。
そうそう、エロイカ。いい感じで第4楽章の途中を数人の弦楽器奏者が室内楽的にやっている。これは16型のオケじゃちょっとむりだろうな・・お、ボナパルトがアルプス越えをしている姿も見えるぞ。シンフォニア・エロイカ。私にとっての最高の交響曲だ。
誕生日おめでとう、ルートヴィッヒ君!心からお祝いを。ちょっと鬱陶しいこともある奴だけどわが心、最大の友よ!
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maeda
12/17/2020 | 9:16 PM Permalink
250年でなくてもベートーヴェンならいつでも出来そうと思うものの、誕生日までは意識しませんでした。ベートーヴェンの音楽は、覚悟を決めた真っ直ぐなところが良いですね。「我事において後悔せず」と通じるものを感じます。
maeda
12/18/2020 | 11:41 AM Permalink
ベートーヴェンという名前はbeet+hovenで、フラマン語で蕪(ビーツでしょうね)の庭という意味らしいです。オランダ系移民の子孫がドイツ音楽の主柱となった訳です。
まっすぐな意思の強さからは、覚悟を感じます。宮本武蔵の「我事において後悔せず」のような。
西村 淳
12/31/2020 | 10:09 PM Permalink
ビートホーフェンさん?でしょうか。名前はとにかくとしても強力な意思の強さ(第5交響曲の最後とか)から、しみじみしている後期四重奏曲の境地に至るところが人間臭さがぷんぷんです。私のような意志薄弱者はとてもお友達になれず、ただひれ伏すのみの取り巻きの一人で、時々逃亡していたに違いありません。でも連れ戻されるんですね、すぐに。