ポルカのリズム
2021 FEB 1 15:15:53 pm by 西村 淳
ショスタコーヴィチの「弦楽四重奏のための2つの小品」の2曲目は「ポルカ」。原曲はバレエ「黄金時代」にあるポルカを1931年10月31日から翌日にかけて1晩で完成された作品とある。ワクワクするようなそして幾分かの諧謔を伴った大好きな曲だ。次のライヴ・イマジン47のプログラムに載せているが参考にボロディン四重奏団の録音を聴いてみた。極めるとはこのことなり、何と素晴らしい演奏だろう。完全に脱帽だが、ひとつ気になったことがあった。2拍子でB♭(G線)-F(C線)と四分音符でチェロが動くところがある。何のことはないが、弦の太さのせいかFのほうが強く聞こえる。意識がそこになければ自然にこうなるだろう。この四重奏団でチェロを弾いているベルリンスキー、ちょっと苦い思い出もあり、「おい爺さん、ちゃんとやれよ」、とその時は思ったし、拍節感のないやつだなあ、1拍目をちゃんと強く弾こうぜとも。
ところがちょっと引っかかる所もあってポルカのリズムを調べてみようと思い立ち、ヨハン・シュトラウスの「アンネン・ポルカ」や「トリッチ・トラッチ・ポルカ」を聴いてみた。あらら、ここでは当たり前のように通常の1拍目ではなく2拍目に重きを置いて弾いているではないか。ああ、浅はかだったのは爺さんじゃなくて、こっちのほうだったようだ。深く恥じ入った次第。
ついでに私の年代ならだれでも知っている左卜全の「老人と子供のポルカ」。「♪ズビズバー、ズビズバー、やめてけれ、やめてけれ、ゲバゲバー」(太字;強め)とやってるやってる。逆にこうじゃないとポルカは踊れないんだろう。
教訓:ポルカの基本リズムパターンはタタ・タンだ!
だったらPolkadots and Moonbeamsって素敵なスタンダードナンバーはどうだろう?アハハ、これは水玉模様のことでポルカとは何の関係もないけれど、英語を学び始めたころはポルカだけが耳についていただけの話。
そんなわけで少なくともここに関しては正しいポルカをお披露目できそうだ。無知とは怖いもので疑問を持たなかったら知らぬうちに大恥をかいてしまう。くわばらくわばら。そう、漢字の読み方だって同じだ。「東海林さだお」は「とうかいりん」じゃなくて「しょうじ」でした。爺さん疑ってごめんなさい、私も天国に行ったら謝らせてね。
因みにこの爺さん、ヴァレンティン・ベルリンスキーは1943年、モスクワ音楽院のドゥビンスキ―を中心にした生徒たちで結成した四重奏団のチェロ奏者・ロストロポーヴィッチをわずか数週間で追い出しボロディン四重奏団に半世紀以上に亘り居座った伝説のツワモノだ。
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maeda
2/2/2021 | 12:46 AM Permalink
ポルカは、チェコの踊りですね。W.A.モーツァルトの父であるレオポルトは、著書「バイオリン奏法」の中で、「拍は音楽の魂」と書いています。8年間徹底的に基本を叩き込んでくれた我が師は、日本語や日本の音楽に晒されていると、西洋音楽のネイティブのように自然な拍節感が身に付きにくいと言われましたが、このコロナとご高齢でとうとう引退されました。そして、私は、今はチェコ人の師の下で、より自然な歌い方を学んでいます。そのうち、ポルカのリズム感も教わりたいものです。
西村 淳
2/3/2021 | 6:35 AM Permalink
それは素晴らしい!モーツァルトに縁の深いプラハ。是非行ってみたいものです。チェコ人の先生、きっと日本の先生とは全然違う視点での指摘がありそうです。人生の楽しみがまた一つ増えましたね。
それはそうと、同じショスタコーヴィチの「2つのヴァイオリンとピアノのための5つの小品」の5曲目にポルカOp.39 “明るい小川”があったのを思い出しました。どんな演奏だったかなあ。
西牟呂 憲
2/2/2021 | 9:55 PM Permalink
私の知り合い(というか元同僚)に東海林とかいてトウカイリンと読ませる人がいたんですよ!
本当の話です。
西村 淳
2/3/2021 | 6:27 AM Permalink
東海林さん。パソコンのかな変換でも「しょうじ」さんで出てきました。「とうかいりん」さんはレアでしょうね。そういえば東海林太郎というユニークな人もいました。昔の人は濃いなあ。
maeda
2/3/2021 | 7:53 PM Permalink
うーん。録音を聴き直してみましたが、主部は普通の拍節感で中間部は2拍目が強いですね。分かっていなかったなぁ。私の友人にも東海林(とうかいりん)さんという方はいらっしゃいますよ。チェロ弾きです。NHKの番組でこの読み方の由来を説明していたことがありましたね。
西村 淳
2/3/2021 | 9:30 PM Permalink
本番のテンポはとても速かったと記憶しています。これで踊れるかな?原曲の「明るい小川」ではポルカをどんなふうに踊っていたか興味が湧いてきました。
西村 淳
2/9/2021 | 6:16 AM Permalink
ポルカはチェコの民族舞踊とされ、ここでは裏拍に重みがあったりなかったりするようです。メヌエットなどのバロックダンスのように洗練され、定型化されることがなかったためチェコ、スロヴァキア、オーストリアなどローカル色が強いと考えられ、一律に裏が重い、とすることは出来ないようです。ヨハン・シュトラウスが沢山作曲してポルカは有名になったもののそれ以前の音楽にはこれ、というものが無いことも理解できますね。
Maeda
2/9/2021 | 8:05 PM Permalink
ストラヴィンスキーのポルカ。
https://www.youtube.com/watch?v=BnMkb9sWrf0
これを聴いて、どれだけ早く何の曲かが分かるか・・・。
西村 淳
2/10/2021 | 8:51 PM Permalink
ロシアの作曲家は比較的ポルカに馴染みがあるような気もしますね。「V.R.のポルカ」のラフマニノフ、チャイコフスキー、プロコフィエフにもあります。何かあるのかもしれません。
maeda
2/10/2021 | 11:18 PM Permalink
もしかしたら、これもポルカ、あるいは、底流にポルカのリズムがあっての音楽かもしれません。
https://www.youtube.com/watch?gl=JP&warned=True&guid=ON&client=mv-google&hl=ja&v=-tJYN-eG1zk&rl=yes&app=desktop
西村 淳
2/11/2021 | 6:03 PM Permalink
おお、クィーン!まさにタタ・タン!こんなところに引き継がれていたとは・ボヘミアン・ラプソディー・・ボヘミアンは、まさにチェコ。
ブリティッシュ・ポルカですね。(笑)