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埼玉水滸伝 (埼玉の ホンキー・トンク・ウィメン Honky Tonk Women )

2013 DEC 11 15:15:33 pm by 西室 建

埼玉北辺の工場の周りは人口密度は極めて低く、みんな広い庭のある家に住んでいる。どこでも犬を飼っており、ダン、ミルク、シナモン、ライガ、ジョンといった立派な名前が付いていて犬地図ができるくらいだった。しかし、あまりに犬が多いので依怙贔屓するわけにもいかず、普段は犬派の僕だがその頃は住処にしていたプチ高原ホテルにウロついていたノラ猫をかわいがっていた。ウララちゃんの牧場の先だ。黒ブチに白い口元のブサイクな猫だったが、勝手に「シナシナ」と名前を付けていた。恐らくどこかの飼い猫だったのだろう、人には慣れているようで、時々酒のつまみのチーズをやったりしていたが、暫くしていなくなってしまった。

社員には近所の大地主の息子とか、歩いて通ってくる奥さんとかいう人がいた。近所といっても名字が同じ家が何軒もあったりして、伝統的な集落が形成されていたことが分る。そして何故かこういう田舎の家には物が物凄く散らかしてあるのだ。機械だったり、部品だったり、何かの壊れた家具も積んである。捨てるのも面倒だからかも知れないが、ちょっと油断するとゴミ屋敷に成りかねない。田舎の人はモノを捨てないのだろうか。近所づきあいではないが、会社の悪口を言い触らされてはかなわないので、挨拶をしたりして何人かとは仲良くするようになった。タクシー屋のおっさんとその弟とは地域の相談をしたりするので、メシを食いましょうや、となったのだが。この兄弟ガタイも恰幅よく、ガラは悪く、なかなか楽しかった。食事をした後フラフラと街(といっても暗い田舎町)をうろついていると、車がスーッと寄ってきて中から「なんとかチャーン。」と声が掛かり、見るとオバハンがこっちを見ている。要するに兄貴の方の知り合いの飲み屋のオバハンで、これから開けるから店に来い、という成り行きになったようだ。それから3人で行ったのだが、しかし飲み屋に出勤するのに車って・・・。そして着いたところは人の家のような所で、ガラガラガラっと玄関を開け電気を付けたらゴキヅリがガサガサ逃げるのが見えた。コッチは十分酒が入っている、ガラも悪い(僕も)。それからの会話は「オイ、ババア焼酎よこせ。」「ババアとは何よ。そこにまだあるだろー。」「バカヤロー、そっちの奴にしろってんだ。」という会話がズーッと飛び交う地獄のような飲み会になっていった。途中地元の常連らしいカップルが来たが、直ぐ帰ってしまった。少し後からヘルプというかバイトというかもう一人化け物みたいなネエちゃんがカウンターに入る。カラオケを振られたので、ヤケになってローリング・ストーンズの替え歌をやったら受けた。あのドラム・イントロのホンキー・トンク・ウィメンだが、妙に覚えている。

I met a gin soaked, bar-room queen in Memphis

ここは埼玉 秩父の麓
She tried to take me upstairs for a ride

田圃の中の 工場勤め
I had to heave her right across to my shoulder

流~れ着いて 半年 経った
I could not seem to drink you off my mind

しけ~たホテルが オイラの寝ぐらさ

It’s the honky tonk, honky tonk women

ほ~~ん気の ネェちゃん
Gimme, gimme, gimme the honky tonk blues

くれ~ くれ~ くれ~焼酎オン・ザ・ロック

Strollin’ on the boulevards of Paris

夜に なれば 怪しい 店が開く
As naked as the day that I will die

バケモン みてえな ババアが はべる
The sailors they’re so charming there in Paris

下手に 構えば 地獄に 一直線
But they just don’t seem to sail you off my mind
こわーいもんだよ ババアの深情け
It’s the honky tonk, honky tonk women

ほ~~ん気の ネェちゃん
Gimme, gimme, gimme the honky tonk blues
くれ~ くれ~ くれ~焼酎オン・ザ・ロック

恥ずかしい話だがもう一曲、以前ブログで書いたが、工場に蛇が出たことに掛けてディープパープルの名曲スモーク・オン・ザ・ウオーターの替え歌、スネーク・イン・ザ・フアクトリーもやったのだが、あまりにバカらしくてここに記すことはできない。

それはさておき、この製造所の運営は今日の縮図のようなところがあり、『製造現場血風録 (火災勃発)』以降は同様の製造設備を東南アジア某国に設置し直しており、又、需要家も既に大半がそちらの方への移転が済んでいた。即ち日常的に国際競争に晒されているため、常にプロセスの開発、新品種の開発を続けざるを得ない。僕が所長として年柄年中モノを除却し無駄な仕掛かりを捨てていたのも、イザというときにスペースを確保したいからだった。更に、何かあったらまた使おう、という構えでいると急の場合に除却損が大きく出ることも避けたかったからだ。円が安くなって少しは楽になっているといいが。

一方、従業員も社員以外にパート・タイマー(タイム・スタッフと言うそうだが)派遣社員、シニアのおじいちゃんと多彩であった。新しいプロセスに移行する際には、時には職場を変ってもらう、もっとあからさまには辞めて頂かなければ廻らない。『また忙しくなったら来てもらうから。』と言い、実際事情が変った時には優先的な声掛けもしたのだが、実は当時のリピート率はあまり高くなかった、特に若い女性はダメだった。増産のための休日出勤から低稼働による生産休止まで、ドタバタしながら新米製造所長は二年で風と共に去って行った。

僕は仕事が変った後は前職に一切関わらないのを信条にしている。一つは後輩達に迷惑をかけたくないから。もう一つは『昔はこうだった。』といった感想が自分の中に沸き上がるのがいやだからだ。まだまだ老け込んでたまるか。でも懐かしいなぁ。

空っ風 一望駆ける武蔵野の

巻き上げる 埃 てのひらに当たる

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