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春夏秋冬不思議譚 (月曜日の夜)

2014 FEB 10 11:11:05 am by 西牟呂 憲

読者はご記憶だろうか。ブラジルにいて、僕にそっくりな(本当に似ていて,また同じ年。)ケネス・ニシームが久しぶりにメールを寄越した。何と日本語を勉強しだしたそうである。全く同じタイプの人間だと思っていたが、少しは真面目な面を見て感心した。僕はポルトガル語を今更やる気なんかは全然ない。しかし、しきりに”Monday night”と書いてくるのは一体何なのか分らなかった。月曜日の夜にでも日本語スクールに通っているのかとも考えたが、それにしては関係無いタイミングで”Monday night”をいくつも入れたメールは支離滅裂で、意味不明の内容なのだ。少しおかしいんじゃないかと不安になり、月曜の夜は何なのか恐る恐る聞いてみた。”What do you mean 「Monday Night」?” すると”It’s Japanese isn’t it?” との返事。それは月曜の夜、という日本語はあるに決まっているが・・・・。面白いことに、必ずそこにはいちいち” ”をつけてくる。『This ia “Monday night”』という使い方だ。そう言えば、覚え立ての日本語がローマ字表記でちりばめてあり、全て” ”が振ってあることに気が付いた。”Konnichiwa”とか”Samui”といった感じで、これはよく分る。するとケネス・ニシームは”マンデイナイト”を日本語だと思っているのか。

この謎は突然氷解した。要するに”モンダイナイ”と言いたくて、彼にとってはほぼ同じ発音のつもりで”Monday night「モンダ(デ)イナイ(ト)」”と書いてよこしたのだ。問題無い!あいつは一体どんな勉強の仕方をしているんだ。我がブログ『ロシア残照Ⅱ』に書いたように、遠いロシアでたった一人日本語を勉強していたアリョーナちゃんの方が、よっぽど合理的な学習をしている。

しかし、我が身を振り返ると身につまされる。中国で仕事をした時に、何かとメイ・ウェン・ティーとかモウ・マン・タイとかを英語に混ぜて喋っていたが、向こうの中国人が怪訝な顔をしていた。前者は没問題と書き、後者は無問題で大方の意味は同じだが、北京語と上海語の違いだった。多くの識者が当たり前のように知っていることを全く知らずにツウぶって口に出していた自分がバカだった。しかも没問題を”メイ”ではなく”ウェイ”に近い発音をしていたのに、誰も(あきれかえって)直してくれなかった。

韓国に行った時も、チェックインの際に大威張りで『ナー・ヌン・ニシムロ・スミダ。』と言った途端、真面目くさったフロント・マンに『にしむろさまですね。』と日本語でやられて恥をさらし、空港に行くタクシーの運転手に『インチョン・エア・ポート・イムニダ。』と言うと、その運転手に『カムニダ。』と直されてせせら笑われた。もっとヤバかったのは、ある日取引先から電話をもらい、ある用件を(日本語で)話している最中に、『スゴハァ・ショッソヨー(ごくろうさまでした、のつもり)。チュンビタ・テッソヨー(準備できました、のつもり)』とやったら、そうしたら『オー、シャベレマスカ。』と言われたものの、その後ダーッと韓国語で話しだされた。何にも分からないくせに調子に乗って『イェー(はい、のつもり)イェー。』と相槌を打っていたら向こうが電話を切ってしまった。この件、バツが悪いので放ったらかしていると、一週間くらい後に『西室さんに仕様書を送ってくださいと言ったら分かった、と仰っていたのですが。』という丁寧な電話があったという。

してみると、ケネス・ニシームの『Monday night』と同じようなことを、こっちもしょっちゅうやっている訳で、やっぱり同じタイプの人間なのか。そして恐ろしいことに、今度インドに行くらしい。実は僕もインド出張の計画があり、この調子でバッタリ会ったりしたら、何やら大変なことになるかも知れない。

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Categories:春夏秋冬不思議譚

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