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透き通る桜の開花

2015 MAR 28 9:09:24 am by 西牟呂 憲

 喜寿庵の裏木戸の所に梅の古木がある。この老梅はもはや支えがないと倒れてしまうらしい。それでもチラチラと花を咲かせるが、この一本だけなぜこんなに樹齢が古いのが不思議だった。それがどうやら造庭の際に『一本梅が欲しい。』と先々代あたりが言い出したため、あの時代のことだからヨイトマケが大勢でどこからか引いて来てたものだということがわかった。法事で来た叔母が証言したのだ。
 梅が細かい花を付けているのを見ながら『寒いなあ』と思いながら歩いていた。梅の花は香りが漂うので風で感じることもできる。そして散りだすのだが、そのことを注目する人は少ない。南の方から早咲きの桜のニュースが押し寄せてくるからだ。
 
 

見上げる三分咲きの桜

見上げる三分咲きの桜

 日一日と開花が進む桜の季節。蕾が恐るおそるという具合に開いていく。
 この時期の桜の中身というか蕾の芯の色をご覧になったことはお有りか。開いた淡い色とは大違いの物凄い濃い色なのだ。文章というのは便利ではあるがこの色を表現するには見てもらうしかない(しかも私は色覚異常)。言い過ぎかもしれないが実に毒々しい色合いである。煮締めたようなピンクで日本っぽくないような・・・。
 花染めという技法があってちゃんと桜色も出せるが、その際はこの蕾を使う。開花してからでは色が着かないのだそうだ。咲く前の花の命が最も旺盛な時期でなければ綺麗に染まらないとは何がしか示唆を物語っているような気がしてならない。
 蕾が少しづつ開き出すと今まで桜の枝を通して見えていた風景が遮られていき、直ぐに満開を迎える。満開は満開で結構至極であるが三分咲きの2~3日が大変に儚げで、散り出した後の風情とはまた違うのだ。コレカラ感が健気だ。
 もっとも満開~散り初め~葉桜のプロセスも悪くなく、その頃には柳の新芽が出だす(繰り返すが私は色覚異常)。葉桜にもなる。この色合いは何故か助け合っているような錯覚を引き起こす。桜のバックにはあまり猛々しい色は似合わないのかもしれない。今年も九州だったか少し咲いた桜に季節外れの淡雪が積もった画像があったが、寒そうなもののえも言われず風情があった。逆に真っ赤な緋毛氈や漆の上だったらハラリと散っている程度がよろしい。
 私自身が身に着ける普段着は原色を好むが、風景としてはこちらの淡色も捨てがたいのだ。
 災害に合った方々にはそれ所じゃないという感想をもたれる方も多いだろうが、調和しているときの日本の自然の色は概してやさしい。

冬枯れとのコントラスト

冬枯れとのコントラスト

 枝垂桜の地面に着きそうな枝のドームの中で、ソメイヨシノよりも更に小さい蕾を下から眺めていると軽い陶酔感があるが。これは二日酔いなのか夢なのか。

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Categories:春夏秋冬不思議譚 四季編

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