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世阿弥 初心忘るべからず Don’t forget your failure

2015 SEP 20 21:21:08 pm by 西牟呂 憲

 古典を現代語で読んでは誤る、と当たり前のことを書いたら急に思い当たることが出てきた。
 初心忘るべからず、この有名な言葉も世阿弥であり今日尚頻繁に使われている。
 これは『風姿花伝』では無くその晩年に書かれた『花鏡』の中の言葉。一つだけではなく
 ぜひ初心忘るべからず
 時々の初心忘るべからず
 老後の初心忘るべからず

 と三つ続いている。
 
 通常は、始めた頃の純粋な気持ちを忘れずに最後まで道に外れることなく精進に励め、と解釈してしまうが、そうすると二行目・三行目の意味が薄まる。独断解釈を施すと、
 「調子に乗って、その都度チョンボをしただろう。」
 くらいに集約できるのではなかろうか。なかなかいいではないか。さすがに古典だ。

 そう言えば『Look back in anger』は普通『怒りを持って振り返る』と訳されるが、これも『思えば腹が立つ。』とやった方が余程こなれている。実はコレ、我がオリジナルではない。誰か。
 漢学者で『王陽明研究』を世に出した故安岡正篤の著書にあった。
 そのノリで良ければ、クラーク博士の『Boys, be ambitious like this old man』も『お前等、好きにやってみろ。オレみたいにな。』がふさわしいと思う。この台詞は送別の演壇で述べられたのではなく、馬上から見送りの生徒達に向かって投げられた言葉で、クルリと振り向くと一鞭を当てて去っていった時に発せられた。西部劇のフィナーレのノリなのだ。

 「日出処天子至書日没処天子無恙云々。」聖徳太子が遣隋使の小野妹子に持たせ皇帝煬帝に送った書だ。天子の称号を使ったことに皇帝は怒り狂った。
 倭国を臣下扱いする書を持たされて妹子は返されるが、返書を百済に盗まれて無くしてしまったと言い訳する。そのまま見せて怒りを買う事を恐れた妹子が、返書を破棄してしまったとやら。このあたり今日の外交問題にも参考になる様々なエピソードで、元大蔵官僚のミスター円榊原英資氏は、日米どちらも自分のいい分が通ったと思わせるようにわざと翻訳する事をテレビで語っていた。
 実際に第二回遣隋使の10年後に『隋』は滅びてしまうのだから時節柄的を得ていなくもないと考えると・・・。
 『落ち目のおっさん、元気かよ。』
 が本当のニュアンスで、それで怒ったりして。

 許されるならば人類の師『孔子』の言葉も現代語独断解釈をやってみると、
「朝(あした)に道を聞かば、夕べに死すとも可なり」は 
『二日酔いで帰り道を聞くようなら、夕べのうちに死んだ方がましだ。』
でしっくりくるし、
「七十にして心の欲する所に従えども、矩(のり)を踰えず(こえず)」も
『もう年で体も効かねぇ!何やったって人の迷惑にゃならねーよ。』
くらいかね。 
 その70まであと9年と100日ない!

 せっかく世阿弥から始めたのにとんでもないオチになっちゃった!

世阿弥  秘するが花 Confidentiality should be The Flower

狂言 附子 並びに 能 大般若

船弁慶

月窓寺 薪能


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Categories:古典

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