平成二十七年 吉例顔見世大歌舞伎
2015 NOV 30 19:19:42 pm by 西 牟呂雄
見ましたよ、見て来ました。東 兄は昼の部に行ったそうですが、あたしゃ夜の部です。
これだけ盛り沢山だといちいち感想を述べるまでも無い。演目は海老蔵さんのところのチビちゃん堀越勧玄ちゃんのお披露目、忠臣蔵の仙石屋敷、歌舞伎十八番の勧進帳に海老蔵さんの河内山宗俊といやもう大変なモンでした。普通の2日分とでもいいましょうか。
お披露目はですな、さすがに市川宗家だけあって華やかでいいですね。鳶の親方の染吉は高麗屋の染五郎さん、松吉は音羽屋の松緑さん、仕切りが松島屋仁左衛門さんで町年寄は音羽屋菊五郎さん。芸者のお藤は藤十郎さん、いやもう一同がズラリと並ぶと目眩がしそうな迫力ですな。勧玄ちゃんは三歳前かな、訳も分からずトコトコ花道から出て来て『ほーりーこーしーかーんーげーんーとーもーおーしーまーすー』と挨拶しました。
花道をゾロッと出てくる一門を従えて出て来るところ、あんな子供なのにキョロキョロしません。ああやって舞台度胸と腰の据え方を身に付けていくんでしょう。これ、いい年になってからでは玉三郎並の才能がないとこうは行きませんよ。
勧進帳は富樫が幸四郎さんで弁慶は染五郎さんの高麗屋親子競演。問い詰められて弁慶が何も書いていない巻物を”勧進帳”として読み上げるのですが、途中富樫が覗き込むのを慌てる表情が見物です。しかしここだけの話、染五郎さん語尾の滑舌が悪かったですよ、念のため。
それでも、酒を勧められそれに応じながらしまいにもっとよこせと徳利を取り上げる仕草、表情は歌舞伎の醍醐味で見ごたえがあります。この間セリフは無し。その後舞を舞いながら花道を飛び六方で下がっていくところはさすがですね。飛び六法はスキップの踏み方ですね。
そしていよいよ海老蔵さんの河内山。
「悪に強きは善にもと、世のたとえにもいうとおり、親の嘆きが不憫さに、娘の命を助けるため、腹に企みの魂胆を、練塀小路に隠れのねえ、御数寄屋坊主の宗俊が、頭の丸いを幸いに・・・(中略)、二つに一つの返答を、聞かねえうちは宗俊も、ただ此の侭じゃ帰られねえ」強請りのお数寄屋坊主です。
見所は『山吹のお茶を所望』と露骨にたかりをかけ、出て来た包みを一瞥すると人目を見計らってニンマリする、是非ご覧あれ。
脇を固めるのはご贔屓の芸達者、高島屋左團次さん。相変わらずセリフがうまい。
最後は散々悪態をついた挙句に花道で『ばーーかーーめーー』成田屋!。ここの”成田屋”は、ンナリタヤ、と聞こえるように声掛けするとキマりますよ。
しかしこの人、荒事の芸風なのに必ず観客を湧かせる”笑い”を取るんですねぇ。音羽屋も大御所になっちゃって、近い将来看板だけでお客さんを呼べるのはこの人くらいじゃないですか。
又そろそろ大暴れ一丁どうですか?
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