喜寿庵の冬支度
2015 DEC 22 3:03:42 am by 西 牟呂雄

南国の 風恋しいか
ハマユウは
寒さしのげよ
枯れ葉を寄せる
ハマユウ(浜木綿)、別名ハマオモト(浜万年青)とも言う。庭の手作り花壇にあるのだが、九州南部や房総といった亜熱帯性の浜に見られる多年草だ。南国の植物なので山の冬はこたえるだろうと冬支度をさせた。しかもこのハマユウは奄美大島産なのだ。なぜか、話はこうだ。
奄美大島から一人の青年が小学校の教員になるべく、北富士総合大学にやって来る。彼の村の教員がいなくなりそうだったので、費用を村で負担する村費留学によりはるばる山国で勉強に励んだ。その人を私の祖母が何くれとなく面倒を見てやり、お礼に時々庭を掃いたり草取りをしてくれていた。使命感の強い人で必死に勉強していたそうだ。里帰りは多大な出費となるため、夏休みに帰郷することもなく、避暑に来た私なんかともと遊んでくれたりもした。
卒業後帰島し、晴れて先生になった彼が『お世話になりました』という礼状と共に送ってくれた球根が根付いて、以来冬を越す事50数回。祖母の思い出と共に元気に生えている。青年の名は椎木さんといった。
去年は県自体が3日程陸の孤島化する大雪に見舞われた。がしかし今年はもう一つ心配事がある。しばしば目撃された猿の一家だ。5匹も屋根で遊んでいたのが確認されている。冬枯れの中ウロウロされたらどうするか。餌付けも考えたが調子に乗られてもチト困る。何しろ相手は野生だ。先日睨み合いになった時に良く言い聞かせたが、不思議にも説教している間中ジッと目をあわせていたくせに『分かったのかよ』と言った途端に谷を降りて行った。暫く現れていないが、食料が不足すれば凶暴になるかもしれない。せめて番犬代わりにでもなるのなら可愛がり様もあるし、喜寿庵にいる時はいつも一人だから遊んでやってもいいが、飛び掛られたら始末に悪いかも知れず、護身にも気を遣う。そこで万が一に備えて武装した。昔サバイバル・ゲームで使った自慢のエア・ガンを持ち込んで照準を調整した。まぁ役にたたないだろうが。
収穫に失敗した大根は野生化計画に則って、冬篭りのためにネイチャー・ファームを掘り起こす際に一部残した。
冬枯れに
一株だけで
淋しかろ
春まで育て
残り大根
西側の山合の切れ込みは、丁度冬至の日に夕日が落ちるポイントがある。爺様がこよなく愛した光景が、今年もまぶしい。
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