Sonar Members Club No.36

月別: 2016年5月

交流戦秘策 ファイターズ 他言無用

2016 MAY 31 21:21:05 pm by 西 牟呂雄

 6番ピッチャー大谷! 
 どうですこの響き、凄かったなぁ。我がファイターズは調子が上がってきたところで交流戦に突入、これからが勝負だ。

 本日はセ・リーグ最下位のスワローズを一捻り、と思ってイソイソと帰って来ると。何とエース有原が山田にHRを打たれて5-0ではないか!
 大谷は連続試合ヒットを続けてHRも打つが、ピッチャー総崩れで8点献上。最後の攻撃出3点取ったがそれまでだった。理由は十二球団一のKY4番、中田だ。二人を塁上に置きながらラスト・バッターでキャッチャー・フライとは。

 この際だから、我がファイターズの秘策について読者にヒントを出しておこう。yjimage[4] (2)

 こちらの投手は現在クローザーとして栗山監督の信頼厚い投手である。ボールを受けた後に息を吹きかける仕草がおなじみの速球派でコントロールもいい。不思議なことにクローザーとして出てきた時はピシッと締めるのだが、同点・延長で使われると痛いところで打たれるクセがある。
 
 しかしこの投手が先発で秘かに使われている事を知る者はいない。まァ二軍でだったが。

th[1]

 この写真がそうだ。我々の秘匿作戦で、先発の時は名前を変えている。”ハンカチ王子”を名乗るのだ。ここだけの話、二人は時々入れ代わっている。

 クローザーは毎日でも出番が来るキツイ仕事。1回だけ投げればいい、というもんじゃない事は御存知の通り。肩は造らなけりゃならないし、緊張感もハンパない。『守護神』などと祭り上げられても消耗も早い。 
読者には特別に教えておこう。我がファイターズは見た目が瓜二つのこの二人を時々入れ替えて、代わる代わる調整させている。嘘だと言うならどちらの写真がどっちか分かる人はいるかな?最近クローザーでもハンカチ王子が出るがあれはフェイント。
 
 そこでだ、この交流戦の間二人とも同じ背番号でベンチに入れセットアッパーからクローザーの間に入れ替えてしまうのだ。いつもやってる同一リーグだと万が一バレるとマズいから交流戦にだけこの変わり身作戦でセリーグのデータ野球を撹乱する。今年は6連戦が3週続くから1クールに一試合づつやることにしている。
 成功のためにはなるべくこのブログが読まれない事を祈っている。

 もう一つ、二刀流は実は双子で・・アッいや、忘れて下さい。

 「ソナー・メンバーズ・クラブのHPは ソナー・メンバーズ・クラブ
をクリックして下さい。」 

真相対談 安部VSオバマ in IseーShima

2016 MAY 28 15:15:34 pm by 西 牟呂雄

安部(以下 安 )「ベトナムからお疲れ。久しぶり。」
オバマ(以下 オ )「シンゾ、久しぶり。いつものことさ。」
安「おいおい、沖縄じゃエラいことしてくれたじゃないか。」
オ「いや、申し訳ない!まったくとんでもない奴だ。」
安「フテンマが引っ越せないぞ。なんだってこんな時に。」
オ「広島訪問で点数稼ごうとしたのがパァだ。ひょっとしたら敵対勢力の工作かもしれん。」
安「人が殺されたんだぞ。世論がどうのの前にオキナワはアメリカじゃないってもっとよく教えておけ。」
オ「いや、本当に申し訳ない。心から哀悼の意を捧げる。」
安「それ、共同記者会見でちゃんと言えよ。どうなっても知らないぞ。まったく。」
オ「分かってる。キチンと言うよ。ふー、大間違いしやがって・・・。」
安「今度は真剣にやらなくちゃ。ファースト・ネームで呼ぶのも止めよう。オレはプレジデント・オバマと言うから。」
オ「こっちはプライム・ミニスター・アベ・・か。」
安「そうだ。」
オ「わかった。」
安「あ~あ、後半年になったな。トランプどうよ。」
オ「オレもビックリしている。リパブリカンもメイン・ストリームは反トランプだったしニューヨーク・タイムス、ワシントン・ポスト、おまけにFOXテレビまで散々叩きに廻ったんだが。」
安「トランプだったら散々苦労したTPPも批准できないぞ。」
オ「ノー!何とかヒラリーにがんばってもらわないと。だけどあいつもチョンボが多くて困ったもんだ。亭主の方にも手伝って^o^もらわにゃならんかな。まさか軍を日本から引き上げるわけにもいくまい。」
安「レーム・ダックになると誰もいうこと聞かなくなるからな。オレも一回目の最後の方はそうだった。」
オ「ムッいやなこと言うな・・。」
安「いや、スマンスマン。ホント、トランプになったら面倒だな。」
オ「オマエとプーチンで好きにすればいいだろ。」
安「怒るなよ。プーチンはともかくトランプがシー・チンピン(習近平)とうまくやれると思うか。」
オ「ウーン、あの二人は合わせない方がいいな。まさかケンカにはならんだろうが。」
安「シーもキャメロンもパナマ・ペーパーでガタガタだろ。さすがバラクだ。」
オ「オイオイ、まるでアメリカがやったみたいに言うな。」
安「スノーデンはまだモスクワだったかな。プーチンも驚かせて、いやお見事。」
オ「ストップ!オレは関係ないからな。」
安「シーはノース・コリアの三代目にもメチャクチャ怒ってる。人民解放軍は国境に張り付きっぱなしだ。」
オ「ノースはこれからもミサイル飛ばして核実験もやるかもしれんし。」
安「合同訓練中に偶発事故が起きて米兵が犠牲になったら大変だぞ。トランプじゃ危ないから太平洋軍の上の方には良く言っておいてくれよ。」
オ「分かってる。今回米軍を慰問するのもその目的だ。」
安「ヒロシマ訪問は勇気ある決断だ。高く評価している。ありがとう。色々な見解があるだろうが厚くお礼申し上げる。」
オ「分かってる。これは真面目な話だが広島訪問はオレの夢だったんだ。色々と真摯に考えるために行くことにしたんだ。オレは核廃棄論者だし・・・。二人でがんばろうぜ。そろそろ会見の時間か。」
安「よし。お互い笑顔はナシな。」

安倍 VS トランプ ゴルフ対談

安倍総理 VS オバマ大統領 (パールハーバー)

架空緊急極秘対談 トランプ VS 習近平


 「ソナー・メンバーズ・クラブのHPは ソナー・メンバーズ・クラブ
をクリックして下さい。」 

贋作 ジェットストリーム (横浜編)

2016 MAY 26 0:00:53 am by 西 牟呂雄

 横浜の歌特集

 又、お目にかかりました。パーサーのジェット・ニシムロでございます。港町は昔から歌に歌われていますが、その中でも横浜は独特の響きがあります。
 本日はその『横浜』をテーマに珠玉のバラードをお送りします。
 ところで、飛行機は船と用語が同じなのを御存知でしょうか。旅客機をシップと言い、舵を取ると言います。乗組員はクルーです。風を受けて走る帆船から空に行く飛行機に進化していったのでそうなったのかもしれません。
 そうです。船も飛行機も港(ポート)に帰るのです。

 

 エア・ポート・ホテルの喧騒は早朝も深夜もない
 今朝着いたばかりなのにもうチェックアウト
 ここは人がすれ違うだけの仮の宿なのに
 なぜ心が騒ぐのだろう、気が急くのだろう
 スポーツ・バーで一人、よく冷えたカクテルを

 あの素晴らしいプロポーションのチャイニーズ
 いま入ってきた白人がズーッと見てるよ
 どちらも上手くやんなさいよ
 イッツ・ノット・マイ・ビジネス

 いかがでしたでしょうか、横浜のメロディーを聞きながらの夜間飛行は。港の風を味わって頂く事ができたのならば幸甚です。
 お相手はジェット・ニシムロでした。
 又、空の旅でお会いしましょう。

贋作 ジェット・ストリーム 

贋作 ジェット・ストリーム Ⅱ

贋作 ジェット・ストリーム (セクシー編)

贋作 ジェットストリーム (アーバン・サウンド編)

贋作ジェットストリーム (女性バラード編)


 「ソナー・メンバーズ・クラブのHPは ソナー・メンバーズ・クラブ
をクリックして下さい。」

ハマのマイクと呼ばれた男

團菊祭五月大歌舞伎

2016 MAY 22 21:21:48 pm by 西 牟呂雄

抱っこされてます

抱っこされてます

 

 いやはや物凄い顔ぶれです。居ても立っても居られずに行ってきました。夜の部です。
 勢獅子音羽花籠。なんてったって音羽屋(菊五郎)さんと播磨屋(吉右衛門)さんの孫、和史ちゃんのお目見えですから華やかです。初日に転んで泣いちゃったとの噂を聞いてましたが、今日は抱っこされながら泣かずに頑張りました。
 菊五郎さん、胃潰瘍で大喀血をしたそうですが元気に勤めておられました。この人のお酒の量ハンパないですからね、気をつけてくださいよ。
 場所は我が産土神の神田明神。成田屋(海老蔵)さんも鳶の頭で出てます。
 このお芝居の楽しみはズバリ獅子舞、面白いんですよ。
 それに私の贔屓、高島屋左團次が世話役で出て来たのがうれしかった。この人が子役だった頃は新橋演舞場の裏手の築地川で釣りができたそうですから超ベテラン。
 團菊祭は何と明治の市川團十郎(九世)と尾上菊五郎(五世】を顕彰するために昭和11年から今年で八十年という催しであります。二人は能狂言や黙阿弥狂言を素材として古典歌舞伎を磨き上げ、今日にまで至る現代歌舞伎の礎を築き上げた名優なんですな。
 河竹黙阿弥の得意の白波者(盗賊話)で『三人吉三』が次の演目でした。女装の盗賊お嬢吉三(菊之助)・御家人崩れのお坊吉三(海老蔵、ピッタリ)・悪徳坊主上がりの和尚吉三(ギョロ目の松緑)が百両を巡って七五調のセリフで沸かせます。上手いなぁ、海老蔵。この人が出て来るだけで万座が固唾を飲んでいるのが分かります。yjimageKQENJ076

 最後が安珍・清姫の悲恋物語『男女(めおと)道成寺』にまたまた菊之助・海老蔵コンビが舞います。
 これは最後に蛇身に変身することになるのですが、どう代わるかは見てのお楽しみ。しかしその艶やかなことといったら!そもそもこれは踊りがウリでズラリと並んだ小坊主が入れ代わり立ち代わり。

 昼の部では楼門五三桐(さんもんごさんのきり)で『絶景哉、絶景哉』の石川五右衛門を吉右衛門さんがやっていますよ。

九月花形歌舞伎

九月大歌舞伎 千穐楽

猿之助四十八撰


 「ソナー・メンバーズ・クラブのHPは ソナー・メンバーズ・クラブ
をクリックして下さい。」 
 

ヨコハマ・ベイ・ブルース

2016 MAY 19 21:21:56 pm by 西 牟呂雄

 相模湾は良く晴れていて、この季節に珍しく富士山のシルエットがうっすら見える。
 ところが、だ。毎年この季節は風が悪い。今年は特に前線の通過が頻繁で、物凄い南風が吹いた。
 せっかくホーム・ポートまでやって来たのに、湾の最深部でも波が立つのでいやな予感がした。
 船の艤装をやっていると、帰港してきたツワモノがグッタリした表情で入ってくる。
『初めに保田に入ったけどドン吹きくらって2日間閉じ込められた』
『うねりがひどくてキャビンにまで海水がドッと入った』
 こういうことを聞くと、我等オールド・セイラーはやる気をなくすではないか。
 仕方なくデッキにサン・バイザーを掛けて(日差しは強い)とうとうビールをやりだした。
 そうなってしまうともうダメで、だんだん強い酒も欲しくなるし昼寝するのも出てくる。
「大体この風で遠出するのはバカだよな。」
「こう吹いちゃスピンなんか上げられんだろ。」
「おまけに明日から雨だって。もしレースがあってもオレがレース委員だったら中止するね。」
「そうそう。皆に恨まれるだけだよ。」
「それで今年どこ行く?」
「大島行って、新島行って、三宅まで行こうか。往復島伝いで一週間。」
「◎◎さんは今年新盆だろ、クルーが足んねー。」
「その前にレース出ようよ。」
 他愛もない会話が続いたが、そのうちスキッパーがポツリと言った。
「一体いつまでこうやってられんのかねぇ。」

 オーナーたちの平均年齢は軽く還暦を超えている。船は色々と手を加えているから大丈夫なのだが、乗っている人間の方が先にガタが来てしまうかもしれない。現にベテランのオーナーが一人、引退を表明している。
 思えば、先代の船も含めて相模湾を中心に伊豆の島や房総半島へと随分行ったものだ。
 色々上手くいかなくてどうしようかと思った時、ここに来て船を沖に出して波風を浴びると『まァもう少しやってみようか』などと英気を養った事も少なくない。
 長い航海は好天ばかりじゃない。突然の土砂降りに合ったり、寒い北風に煽られたときは『もう二度と来るものか』という気になる。
 それでも長年船を操る事に楽しみを見出し、海に癒されてきた。
 ハーバーから見る風景も別荘・宅地開発で多少変化したが渚の趣は変わらないし、出港すれば海は少しも年を取らない。
 いい加減酔っ払ってから港まで行って鮪漬け丼をイヤと言うほど食べ、無論ドンチャン騒ぎをした。

 翌日は曇り空にもっとひどい風になったので船を下りた。雨も降り出しそうだった。
 帰路に着いたのだが、途中どうにもこうにも海が又見たくなり横浜で降りた。
 実は今回、三浦岬を東京湾に北上してヨコハマ・マリーナで一泊、さらに北上して夢の島マリーナまで行く計画だったのだ。湾内といってもワン・レグ7~8時間はかかる距離なので3泊を予定した。一緒にランデヴーする僚船もいたのだが、やはり全艇取り止めにしていた。風はないとつまらないが、強すぎてもどうにもならぬ、全ては海の思し召し。
 海から見るベイ・ブリッジや京浜・京葉工業地帯はどんなに綺麗なのかワクワクしていたので残念。以前東京湾クルーズに(大型クルーザーで)乗ったことがあったが、その風景は素晴らしかった。それをより海面に近いヨットの目線で見れば、巨大さに圧倒されただろう。

 港の見える丘公園から海を眺めた。
 もう年なので近未来のことを考えた。いつか海に出られなくなってこうして港から見る日が来る事だろう。すると珍しく感傷的になって横浜にまつわる人を思った。
 近くに神奈川近代文学館と言うのがあって「百年目に出会う夏目漱石」という展示をやっている。

 海よ、お前は年を取らないなァ。

 「ソナー・メンバーズ・クラブのHPは ソナー・メンバーズ・クラブ
をクリックして下さい。」 

猫は芸をしない Ⅱ(今月のテーマ 無為自然)

2016 MAY 17 0:00:42 am by 西 牟呂雄

虐待じゃありません

 猫は生まれながらいつまでも無為自然である。
            ージェット・ニシムロー

 

ベタッ

更に怠惰になると

ぶさ!

 「ソナー・メンバーズ・クラブのHPは ソナー・メンバーズ・クラブ
をクリックして下さい。」

来るぞ! ファイターズ実況版 Ⅱ

2016 MAY 15 17:17:13 pm by 西 牟呂雄

 ホームランを量産するも好投して勝ちが拾えない大谷。
 チャンスに不甲斐ない所へ持ってきて股関節を痛めたらしい中田。
 しかし相手はリーグ最下位のライオンズだ。諺に言う。弱い獅子は千尋の谷に蹴り落とせ!

 すると中田はチャンスにホームラン性の大飛球で先制するではないか。
 大谷の課題は立ち上がり。得意の四球を出した後に、メヒアに159kmを打たれてヒヤリとしたが中村を161㎞で三振に仕留めた。よかった。
 先頭の陽が打った後がマズい。浅間!バント練習しろ、バカ。ところがきょうはどうしたことかまた中田が打点を挙げた。それでいいんだよ、それで。
 4回にも四球からバントを決められる(よく見ておけよ、浅間)。岡田にタイムリーを浴びて1点を献上。ここなんだよ、ここ。全球ストレートにしろ、と念じていたら変化球で止めた。それができるんなら岡田にもそうすりゃいいだろうに。
 5回、先頭打者秋山ごときに打たれたら栗山に連続となる四球、かんべんしてくれ。そしてメヒアに162kmを投げたのでよしよし。と安心した途端161㎞を運ばれて同点だ。さすがにプロだな。これからだぞ。この回160㎞台を4球も投げて大谷は100球を越えた。
 考えてみれば今季野上には一度も勝っていないじゃないか。
 6回、先頭金子を塁に出す、ヤバいぞ、ヤバい。だが大谷抑える。この回までか・・・、いつもそうやって負けてるだろ、エースは踏ん張れ。
 ライオンズも野上を引っ込めてサブマリン牧田に代える。ここで攻めろ!ファイターズ!レアードを送って四球を呼び2アウト満塁にしたものの浅間ダメ。こりゃあ二軍だな。
 そして栗山監督は大谷を代えなかった。ここが勝負所になるだろう。栗山に3打席連続の四球とは・・・。メヒアにショートがエラーとは・・・。そして中村に3ランとは・・・。
 ガンバレガンバレ3点差なんか。こっちだってクリーン・アップだぁ。が、三者凡退。
 斎藤佑樹が9回をキッチリとゼロにしたその裏、満塁で期待させておいて中田は犠打。近藤は11球粘っても、それでおしまい。疲れたー。

 しかし大谷で負けて来週には宿敵ホークスとは参る。大谷はDHにしか使えないだろうか。

「ソナー・メンバーズ・クラブのHPは ソナー・メンバーズ・クラブ
をクリックして下さい。」 

隼は征く 雲の果て 

2016 MAY 13 22:22:32 pm by 西 牟呂雄

 「エンジンの音 轟々と 隼は征く 雲の果て――」の歌で知られる加藤隼戦闘隊は南方戦線で最後まで活躍した陸軍飛行第64戦隊のことである。そしてその愛機の正式名称は『中島 キ43 一式戦闘機』、隼である。海軍びいきの筆者ではあるが、ゼロ戦について書いておきながら(ゼロ戦と秋水)隼にもコメントしなければ名機・名パイロットに申し訳ない。

隼の雄姿

隼の雄姿

 西はインド(カルカッタ)、南はオーストラリア(ダーウィン)、東はソロモン諸島、北は千島列島まで大活躍した。特にビルマ、中国の戦線では大戦末期まで互角の結果を残したことはあまり人口に膾炙しないのではないだろうか。新鋭スピットファイアやハリケーン、P-38・P-47・P-51に対して、軽快な運動性能で内側に回り込んでは仕留めた。特に戦闘フラップ”使用したときの旋回能力はきわめて高く、中島飛行機の設計陣でこのフラップ開発にロケット工学の権威、糸川英夫が携わっていたことは知る人ぞ知る。ゼロ戦が皇紀二千六百年にデビューして零式とされたのに対し二千六百一年に量産されたので一式という名称になる。後継機も開発されたのだが、量産性・稼働率が際立って高かった。
 米・英空軍はこの隼部隊を「ブラックドラゴン」と呼んで恐れた。

 武装は12.7mm機関砲でゼロ戦の20mmより小型ではあったが、陸軍は防弾装備の重要性を認識しており防弾鋼板を装備した。このため技術交流やラバウルで実際に乗ってみた海軍のパイロットからは『狭い・乗りにくい』といった感想を持たれたようだが、対B-29戦績では良く弾幕をしのぎ防御の弱いゼロ戦と比較しても互角以上であった。

 加藤隊長は無論名パイロットだが、もう一人「ニューギニアは南郷で保つ」と謳われた第59戦隊飛行隊長・南郷茂男中佐を上げておきたい。この人は学習院から陸軍航空士官学校に進んだ。
 大東亜戦争開戦後すぐにジャワに進出していた同戦隊に着任する。
 明朗快活、竹を割ったような性格の快男子で上下問わず同僚に愛された人物だったが、1944年には戦死してしまう。
 実はこの人の実兄、南郷茂章(みちふみ)もエース・パイロットでこちらは海軍。学習院の旧制高等科から兵学校入りをし少尉時代は艦上勤務だった。その後霞ヶ浦海軍航空隊で源田実に鍛えられ飛行機乗りとなる。支那事変が始まっており大陸に派遣され撃墜王の名を欲しいままにするも、惜しい事にこの頃はまだゼロ戦がなく、海軍九六式艦上戦闘機だった。撃墜した敵機と衝突して戦死。
 他にも「白色電光戦闘穴吹」と呼ばれた(どういう意味か不明だが)トップ・エース穴吹智曹長、と数え上げたらキリがない。yjimage[5]

 しかし、戦争は悲惨なものであることも語らねばなるまい。この写真は有名な知覧の特攻隊である。250kg爆弾を抱え離陸する第二十振武隊の穴沢利夫少尉である。そしてこの愛機こそ一式戦闘機「隼」Ⅲ型甲。特攻はゼロ戦ばかりではない。知覧は陸軍航空隊の基地なのだ。知覧高等女学校生徒が桜の小枝を振っているということは敗戦の四ヶ月前だ。
 穴沢少尉は婚約者がいて、その物語は既に取り上げられている。
 昭和二十年の女学生は三回忌を済ませた亡母の同世代でもある。
 幼年学校、陸士予科、航空士官学校全て恩賜で卒業した若杉是俊大尉が殉義隊としてミンドロ島沖に特攻したのもまた隼であった。

 誠に蛇足ながら筆者は一度かの地を訪れ、平和祈願とともにあのような悲惨な戦争なきことの誓いを新たにして来た。

 「ソナー・メンバーズ・クラブのHPは ソナー・メンバーズ・クラブ
をクリックして下さい。」 

いいものはいい 悪いものもいい (今月のテーマ 無為自然)

2016 MAY 10 3:03:25 am by 西 牟呂雄

yjimage[6]

 太極図をジッと見ていると落ち着きませんか。
 SMCの道士こと神山先生の「道元流 鬼谷子の帝王学」を読んだ時に妙に心惹かれた覚えがあります。太極図は完全な調和を意味した図案なんですね。白と黒はどちらが良くてどちらが悪いということはない、どっちかが美しくてどっちかが醜いということもない、善悪もない。
 この感覚、一神教の世界に住む人々には全くわかりづらいもののようです。
 キリスト教徒は『人間は原罪を背負ってこの世に生まれてくる』と信じており、イスラム教徒はアラーの神は絶対に性善説でありこれを妨げる者は同じイスラム教徒でも激しく排除します。
 それに対して、老荘学徒タオイストは『あるがままに』と無為自然を説きます。
 現実の宗教としての道教はチョット置きます。

 話は変わりますが、セッセと野菜作りに励んで自分では丹精込めたつもりだったのにキュウリは全滅し大根は出来損ないが4~5本採れただけ。さすがに『あるがままに』という心境には程遠かった。それでも大根に関してはヒョロっとした出来損ないをそのまま捨てる気にはなれず、水で洗ってかじったものです。このダメな大根にもピリッとしたところがあって捨てがたい。こいつがいるから出来のいい方の良さも際立つというものです。
 無論経済的には大赤字を蒙った訳ですが、今年もポツポツ再挑戦を始めました。ガラにもなく種を蒔いたりしていれば十分”無為自然”の境地に浸れます。
 もっとタオの修行にいいのはゴルフかもしれませんよ。自分のイメージ通りにはまず行かない私のようなゴルファーにとって、何処に飛んでしまおうが木に当たろうが”無為自然”に大地と戯れるのは誠に結構(しばしばそうでないが)。無為自然

 ペットを飼うのもいいですね。芸も何にも仕込まれていないペットはそれこそ”無為自然”。
 これはさる友人の飼っているワイルドな猫ですが、あまりのドヤ顔に記念に撮ってもらいました。しかしこの猫は何も欲しがっていないし、何も自慢をしている訳でもありません。
 多少ブサイクとの声も聞かれますが、この子に罪はありません。恐らく機嫌が悪いのでもないでしょう(そう見えますが)。人間と一緒にいて居心地がいいか悪いかも良くわかりません。多少飢えなくてすむのは確かでしょうが。これでメスだというのだから見事な無為自然ぶり。
 オマエは一体何かの役に立ってるのかい。

 共存するノウハウを持っているのは人間だけです。そして人間になってしまうといくら”無為自然”でもただぐうたら何もしなければいい、ということにならなくなる。ましてや”悪いものもいい”といって犯罪に手を染める事を推奨するなどとんでもない、ということなんですが。
 非常に優秀な人がいたとして、もし世の中にそういう人ばかりだったら個人は優秀でも何でもなくなるのです。

 さてさて、俄かにタオイストを自称して何をどうするかというと、これが特に無い。目の前のことを淡々と丁寧にやりましょうというつまらないオチでして。残りの人生トコトコやりながら考えてみようっというお話にお付き合い下さい。

 「ソナー・メンバーズ・クラブのHPは ソナー・メンバーズ・クラブ
をクリックして下さい。」 

 『行雲流水』書評 野に遺賢在り 石山喜八郎

2016 MAY 7 12:12:03 pm by 西 牟呂雄

帯にこうあった。

 行く雲や 流れる水の 心もて
   静かに我は 生くべかりけり
ー ある大本教信者の数奇な生涯 -

  巻末にも『没後21年が過ぎるにあたり、この類いまれなる奇人の生涯を書き記すことで供養に代えることとしたい』と書かれているように、大変な人物がいるものだと一読三嘆に至った。
 明治四十四年生まれ、平成七年没。全くの市井にありながら波乱万丈の人生を送った人の物語である。
 詳しくは本書に譲るが、小学校卒業後家業を手伝いながら膨大な読書量によって独自の教養を練り上げていく中で大本教と出会い入信する。
 大本は無学文盲の出口なおが神懸って記したお筆先という文書を、あの大宅壮一をして”昭和最大の怪物”と言わせしめた出口王仁三郎が体系化したいわゆる新興宗教で、戦前当局から激しく弾圧された。
 主人公喜八郎はその中で、投獄・兵役と厳しい運命に翻弄される。
 本書は御子息が御尊父について書いている作品であるが、読後感は優れて小説なのだ。以下キーワードを軸に評してみたい。

胆力
 主人公喜八郎は家業を手伝った後、青雲の志を抱きながら群馬の藤岡から東京に出て、好奇心の赴くまま様々な出会いをする。
 それが驚くべき事に2・26の理論的支柱となった北一輝。玄洋社の頭山満。さらにその子分杉山茂丸。私のような昭和史マニアには垂涎の面子である。
 筆者は「この当時著名人と言われている人が、見ず知らずの一書生に面談してくれるという風習があったようである。」とさらりと書くが、そんなことがあるはずがない。喜八郎のような並々ならぬ気迫と度胸がなければそもそも会いに行こうと思うことすらないのが普通だ。
 又、そんじょそこらの熱血漢が気迫を持って面談におよんでも、相手は常に身辺の危ない連中である。門前払いにならないのは只ならぬ気配があったに違いない。ここがまず面白い。
 更には、原敬を刺殺した中岡艮一。合気道の達人、植芝盛平ときてはもう読者として目も眩むばかりである。
 中岡は後に恩赦を受け大陸に渡り、その後イスラム教に改宗して現地のタタル人と結婚するウルトラ級の変わり種。植芝盛平は近代武道最強の達人として知る人ぞ知る。
 兵隊として大陸に行ってからもこの度胸はますます磨きがかかる。信仰が深まって不殺を誓った二等兵が上官を脅す、古兵に火傷を負わせる、何でもありだ。小生はつくづくこの時の上官でなくてよかったと思う。この辺、筆者はかなり抑制して筆を運んでいるが腕っぷしの方も恐らく相当のもので、隠されたエピソードは他にもあると小生は睨んでいる。

教養
 小学校を出た後、独学で身に着けたとすれば異常な読書量と言わざるを得ない。果たして本が好きだけでこのような英知が備わるものだろうか。
 フトしたきっかけで大本教と出会った喜八郎はその”お筆先”を読み込む。それも読み込みというような生易しいものではない、格闘するのだ。”お筆先”は一種の予言の書であり、一般人が読んでも「面白い話だ」で済んでしまうが、何かが喜八郎の琴線に触れた。そして導かれるように門を叩くが、その時点で悟入十分の境地に近かった。
 その後は弾圧・徴兵となるのだが、その節目節目でほぼアドリブの驚くべき弁舌が展開される。
 取り調べの鬼警部に一歩も引かず、敏腕検事を事実上論破する。只の不貞腐れならいじりにいじられてひどい目に合わされるのがオチだが、そうはならないのは相手が感心してしまうからだ。
 そして帝国陸軍解体の際に大舞台が廻ってくる。武装を解かない殺気立った部隊を前に、将校も佐官級の聯隊長も匙を投げ、どういう訳か喜八郎万年二等兵が演説をする。歴史を振り返り、将来を憂い、諄々と論理的に喋り見事にその場を納める。本書のクライマックスであり、筆者の筆は冴えに冴える。
 武装解除に当たった国民党将校を煙に巻くなど朝飯前のことであったようだ。
 ここは少し解説しておきたいが、南方戦線は米海兵隊相手に加え兵站不足から悲惨な状況で敗退するが、大陸における大規模作戦約50回の殆どが負けなし。即ち部隊は〝勝っている”と思い意気軒昂のまま終戦に至った事実がある。そこを理解しないと、作中の緊張感は分からない。

楽天
 検挙されて懲役に行く。懲罰的に徴兵される。当然のように営倉にブチ込まれる。
 ところがいずれのケースも喜八郎は動じない。普通の人間なら絶望的になるところをむしろ楽しみ、三度の飯をペロリと平らげビクともしない。
 一つは深い信仰に根差しているからだろうが、小生は生来の楽天的な気質があったと推測する。もっと言えば、現状を愚痴る、悔いる、嘆くといった気質が全く欠如しているのかも知れない。
 戦後は苦しい生活を強いられるが、喜八郎は何の不都合も感じていない。
 むしろ”お筆先”は日本の敗戦を予言しているそうだから、やはり信仰は間違っていなかった、くらいの気持ちだったのではないか。
 その後も論文投稿・応援弁士等は闊達にこなすが、果たしてギャラを貰っただろうか。天は二物を与えず、これ程の度胸・英知を授けておきながら、それで生計を立てるという意欲を与えなかった。
 若き日の遊学時代、読書は左翼系の読み込みにも及ぶが共産主義には共鳴していない。又、当時の風潮から日蓮宗系の右翼思想も流行したがそれにも接近して行かない。上記『楽天的な気質』の明るさが遠ざけたのかも知れない。あくまで一信者として生涯を貫く。
 
 読後不思議な感覚に陥った。著者の言う『一市井の奇人』の緻密な人生が、かくも分厚いものであるのか。このことは日本文化の奥の深さの一端を表しているのかもしれない。そして健全なる日本の社会では、奇人は成るべくして奇人になりつつ極普通に市井に溶け込むのだ。ぜひ一読を勧めたい。

『行雲流水』
著者  石山照明
発行  株式会社 エスアイビー・アクセス
発売  株式会社 星雲社
 
 「ソナー・メンバーズ・クラブのHPは ソナー・メンバーズ・クラブ
をクリックして下さい。」

▲TOPへ戻る

厳選動画のご紹介

SMCはこれからの人達を応援します。
様々な才能を動画にアップするNEXTYLEと提携して紹介しています。

ライフLife Documentary_banner
加地卓
金巻芳俊