Sonar Members Club No.36

月別: 2016年8月

オリンピックの言葉 (今月のテーマ リオ・オリンピック)

2016 AUG 31 21:21:43 pm by 西 牟呂雄

「ありがとうございます。皆さんのお陰です。」
 まぁ、型どおりで無難なセリフだが、思わず本音が出てしまうコメントの方が個性や努力を感じさせて好ましいと思う。
 今回のリオ・オリンピックで印象に残ったコメントとかつての名言を並べてみると世相が見えないか。

明るい選手たち

「イヤー、疲れちゃいました」瀬戸 大也(せと だいや)400m個人メドレー
 この子は僕の甥っ子にそっくりなので(そいつも水泳をやっていた)応援していた。銅メダルも立派だよ。子供の頃からのライバル萩野の金は悔しかったのだろうがケロッとして言ってのけた。明るいよなコイツ。まだまだ4年後もあるぜ。

 この明るさの系譜を過去に遡るとこの二人に思い至った。

「オリンピックのプレッシャーなんて、こんなん言ったら失礼ですけど、斉藤先生のプレッシャーに比べたら、もう、屁の突っ張りにもなりません」石井 慧(いしい さとし)
 北京の柔道100キロ超で金メダル。この明るさが実にいい。

「めっちゃ悔しぃ、金がいいですぅ~。」田島 寧子(たじま やすこ)
 バロセロナ400m個人メドレーだったっけ。この人いい味出してたけどな。その後表彰台からコケて足を捻挫するオチまでやってくれたし。

涙を流して

「応援してくださった方に申し訳ないです。…ごめんなさい。」吉田 沙保里 (よしだ さおり)女子レスリング53kg級
 マットに突っ伏している姿が痛々しい。本人にしか分からない後悔の念があるのだろう、表彰台でも泣きじゃくるとは。しかし四連覇って足掛け干支の一周り、33歳ですぞ!本当にお疲れ様。
 ってことは伊調選手って凄いな。

「何も持たないで日本に帰れないと思って戦った」松本 薫 (まつもと かおる) 柔道女子57kg級
 泣いちゃった。悔しさが滲み出ていた。『お父さんがサイフを失くしてそれどころじゃなくて』は競技の話じゃなくて、家族で会話するどころじゃない、ってこと。インタヴューで「腹の中は煮えくり返っていますよ」と言った時に笑顔だったのでホッとした。この子なら腹を切りかねないと心配だった。

「…みんなの足引っ張ってばっかりいて。(中略)本当に苦しいオリンピックでした。」福原 愛(ふくはら あい)卓球女子団体
 あの愛ちゃんもキャプテンシーを発揮する年になったのか。チームを励まし引っ張った。これは他の競技もみんな同じで昔から、そしてこれからも続く。あんまり時代を感じさせないものだ。

「始めて自分で自分をほめたいと思います」有森 裕子(ありもり ゆうこ)
 バルセロナで銀、アトランタで銅。このセリフはアトランタで出た。バロセロナの後に足底筋膜炎となり、恩師小出監督との軋轢もあって長いスランプに陥ったためだった。インタヴューの時は泣いているように見えた。

感極まった

「信じられない」金藤 理絵(かねとう りえ)女子200メートル平泳ぎ
 この選手は北京にも出場した。長い競技生活でけっこう苦労もし、大輪の花を咲かせた。エラい。

 同じ種目でかつて大穴に入ったこの言葉を思い出す。
「今まで生きてきた中で一番幸せです。」岩崎 恭子(いわさき きょうこ) シドニー女子200m平泳ぎ。
 かわいらしかったなぁ、14歳だったと思う(中学生!)全くのノー・マークだったのに金メダルですぞ。

「チョーキモチイー」「ナンモイエネー」北島 康介(きたじま こうすけ)
 アテネと北京だった。またロンドンでは400mメドレー・リレーで「康介さんを手ぶらで帰らせるわけにはいかないぞ」とバタフライ松田丈志の発言があり、見事銀メダル。北島は金・銀・銅の全てを取ったことになる。

 こうしてみると平成の世の中はあんまり変わっていないのが透けてみえる。思えば昭和は遠くなった。

 最後に最もスポーツマン・シップに溢れていた、内村に惜しくも敗れたウクライナ体操選手の一言。

「審判も個人のフィーリングは持っているだろうが、スコアに対してはフェアで神聖なもの。航平さんはキャリアの中でいつも高い得点をとっている。それは無駄な質問だ」ベルニャエフ 男子体操個人総合

 

凄いオーラ

凄いオーラ

萩野選手と松田選手

萩野選手と松田選手

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Pカンパニーの『虎よ、虎よ』観て来ました 

2016 AUG 28 21:21:55 pm by 西 牟呂雄

 司馬遼太郎の『国盗り物語』で有名な〝美濃の蝮”斉藤道三と、その子にして父を討ち取った義龍を題材にした舞台を観に行きました。SMC仲間の早野さんが出演していて、義龍の母親・深芳野を演じます。
 息子義龍の実父は土岐頼芸という説は司馬遼太郎がネタにして通説のようになりましたが信憑性はないそうです。むしろ父親殺しの汚名を着るのをいやがった義龍が自分でそういう噂をバラまいたのではないかと疑っています。
 実は斉藤道三は嫌われ者だったりして、旧家臣団は殆どが義龍につくのですよ。
 さて、話は戦国のリア王のような父子の葛藤でしょうか、はたまた復讐劇か。
 義龍は記録によれば六尺五寸、2m近い大男なのだが、役者さんはそうもいかない。

 現代のテレビ・クルーが謎の案内人に導かれて結界の中で斎藤道三・義龍親子と会う、という斬新な設定。
 後半の盛り上がりが素晴らしい演出で、笛・太鼓も効果的です。
 特に感心したのは義龍が仏典にのめり込み、釈迦の前世で飢えた虎に身を与える挿話の際に虎を表す踊り。狂った深芳野が凄味のある演技をする後ろで般若の面を付けた女優さんの踊り。バックに土岐家の紋を映し、それがのちに斎藤道三の紋に変わる映像。
 この辺の舞台芸術の進化は見事に尽きます。
 ただ、この演出に至るまでがやや冗長に感じられるのが惜しまれる。前半のテレビ・クルーのいかにも業界的なノリ(いわゆるビーテレ)も残念ながら笑いを取れませんでした。
 もう一つ、終わりのあたりで準主役が60年安保を目撃したことが語られますがこれも余計かと。作者もしくは演出家の経験が盛り込まれたのでしょうが、物語のテンポを悪くしています。
 舞台と思想は切り離せませんね。
 挿話は事実で、デモ隊に恐れをなした政府は一時は自衛隊の治安出動も考え踏みとどまります。その代り補完勢力として右翼行動派に手を回すのです。この間は非常に事情が複雑に入り組んでいて簡単ではない。その右翼の暴力を警察が傍観したと語られますが、それも確認されている事実です。しかし実際には警察は手が出せなかった。なにしろデモ隊の統制が取れなくなり警備以外はできませんでした。その渦の中で樺美智子さんが痛ましい犠牲者となったことは広く知られていますね。
 オット長くなりました。本題に戻って芝居は。
 仲間の演技は特に目が行きます。
 早野さん、狂気の場面凄かったですね。目がイッテました。こういうの得意なんですよ、彼女。そして終わりに歌って踊ります。元々シャンソン歌手なので上手いに決まってますし、踊りは妖艶。華がありました。
 まだ見に行けますよ、チケットは大分売れているそうですが。

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本当かよ 承久の乱

2016 AUG 25 1:01:51 am by 西 牟呂雄

 後鳥羽上皇は『新古今和歌集』を撰したことで知られるが、武芸も好み自ら刀剣に焼刃を入れるような変わった天皇であった。その異色振りは皇統の魔人、後醍醐天皇にも匹敵すると筆者は考えているが、いかんせん巡り合わせが悪すぎた。
 平家が木曽義仲に追っ払われて僅か四歳で三種の神器が無い中に即位。在位中に鎌倉幕府が出来てしまった。
 しかし初期鎌倉幕府は畿内を中心に朝廷が一定の勢力を保持する二重政権で、後鳥羽院も広大な荘園を維持していた。西行法師や鴨長明などとチャラチャラ暮らしていればいいのに、一方で北面に加え西面の武士を組織し幕府への対抗心を隠そうともしない。
 そこでまた間の悪いことに鎌倉三代目将軍実朝が暗殺されてしまい、新将軍の件でモメる。そしてとうとう北条義時追討の院宣(いんぜん)を出すに至った。
 鎌倉では動揺する御家人を前に北条政子が涙ながらの大演説を行ったことは良く知られた話だが、鎌倉武士は団結して京に向かった。
 やる気満々の上皇はこれを迎え撃つため、美濃・尾張の国境に布陣するが、実に情けない事に京方は総崩れ。ついに宇治川の決戦となってしまった。後鳥羽上皇は自ら武装したらしい。宇治川は豪雨により増水していたが、鎌倉方は溺死者を出しながらも強行渡河し京へなだれ込んだ。

 以上が承久の乱のあらましだが、最近面白い事を知った。
 上記北条追討の院宣は当時の公文書、漢文で書かれていた。ところが追討される北条義時をはじめ、鎌倉武士団でそれを読める者がいなかった!慌てて坊主かなんかに読ませてわかったという有様で、都と関東の文化程度はかくも差があったのかと今更ながら驚いた。
 どうやらこの時代のサムライとか軍師は、戦国時代の黒田官兵衛のように『孫子』や『六韜』を読みこなしているようなインテリではなく、梶原景時とかは暦と占いで戦争の日を決め、また占いで陣の方角を決め出陣式の段取りをつけるだけ。あとはせいぜい情報を取るぐらいが関の山だから、奈良時代には入っていた『史記』なんぞ読んでないのだ。これらが熱心に読みこなされるのは戦国時代になってかららしい。鎌倉武士団の教養なぞ推して知るべし。

 後鳥羽上皇は隠岐の島に流されそこで20年余りを過ごす。することがないので七百首近い和歌をお詠みになった。

 我こそは 新島守よ 隠岐の海の 荒き波風 心して吹け 

 配流後も強い気迫が感じられる。あながち妄想とも言えないのは百年後に流されてきた魔人・後醍醐天皇は脱出に成功している。忠臣楠公ありせば・・。
 余談だが、百人一首のパロディーとして「股引や 古き軒端にぶら下がり」と落語のネタに使われる

 ももしきや 古き軒端のしのぶにも なほ余りある 昔なりけり

 は、後鳥羽院の三男順徳上皇の作品です。オヤジ以上のイケイケで佐渡に流されて詠んだものです。

わかったぞ弓削道鏡 

わかったぞ南北朝 


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真夏の決戦 勝負だぞファイターズ

2016 AUG 21 17:17:04 pm by 西 牟呂雄

 散々遊び散らして東京に帰って来ると盛り上がるオリンピック観戦に関係なく、パ・リーグの天王山が始まった。
 宿敵ホークスはどうしたことか前回対戦以来6連敗してくれて今週も連敗中。我が軍は現在5連勝中でついに首位をとらえたぞ。中田が19打席もノーヒットで大谷も投げずに、だ(だから気が休まらない)。
 実はファイターズの前回リーグ優勝は4年前のオリンピック・イヤーだったのだ。世間がそちらに気を取られている内にこっそり優勝するという高等戦術である。
 恐らくこれが事実上の優勝決定戦だと踏んだ僕は、過去のデータと合わせてフォースの発揮するタイミングを慎重に選んだ。
 問題は中田がいつ本領を発揮してくれるか。

 初戦は和田との直接対決する有原だ。同じ対戦で現在2連敗、まさか3度続けるとも思えないが。
 酔っ払って急いで帰りCSを見ると3-0で負けているではないか!
 ここが発揮所とみた僕は、中田の打席に猛烈なフォースを照射した。するとガーンと一発・・・ファールを打った。 更に最終打席にももう一度チャレンジをすると三振。和田もいい投球だったがそれを打つのがプロであり4番だろうが。ええい、もう仕方ない、お前は来年トレードだぁ。
 第二戦、こっちはもうCS気分。先取点を取り大谷もホームランを打ったが、余裕綽々のホークスは代わった宮西から鮮やかな3連打。その後2点をもぎ取られて連敗。ついにもう一つ負けるとマジック点灯に追い詰められた。何しろ2日で2点という貧打である。
 そして第三戦、怒りに燃えた僕は体調を整え斎戒沐浴して試合に臨んだ。
 ファイターズのミスター・スポックこと加藤よ頼むぞ。
 だが考えてみると、ここで投げられない大谷はどうしたものか。HR4発くらいじゃ落とし前はつけられんのじゃないのか。
 しかもホークスは守備もいい。3回、西川の長打コースを見事な中継で三塁アウト。松田のヤギ面が『ヨーシ』となって憎らしい。だが近藤は四球を選ぶ。大谷三振で中田だ。ここが勝負だっとばかりにフォースを準備した。それも、いつも中田に照射しても全く効き目がないので今日は相手の岩嵜に向けてだ。すると本当にタイムリーを打って追加点。そうか、この手を使えばいいのか。
 ところが次の回にホークス打線に照射するフォースはふざけたことに効いてしまい、四球にフィルダース・チョイスでアッという間にノー・アウト満塁から押し出し!更に追加され、なんとヒット一本で2点だと!
 5回。ヒットで出た大谷を塁に置いて中田である。もうフォースを封印すると何故か打ち、百球越えの岩嵜を代えて飯田が来る。そして陽岱鋼の詰まったゴロを名手今宮がエラーしたぞ。レアードに四球押し出しだぞ。4-2に押し戻した。
 さて7回。ここからがファイターズは厳しい。まずはいつも通り谷元で。
 お次は昨日メッタ打ちを喰った宮西、今日はリベンジだ。
 8回にホークスは森福から五十嵐に繋いでくる。正に死闘だ。
 最終回。ジャイアント・マーティンを投入。内川が物凄い顔つきになったがセカンド・ゴロ。ヤギ、じゃなくて松田は三振。代打福田も空振りで三振。三連敗して目の前のマジック点灯だけは避けられた。
 
 アー疲れた。再び0.5ゲーム差に食いついた。直接対決は一月後だ。だがシーズンはまだ30試合以上ある。その頃までこれが続いたら死んでしまうよ。ところで大谷、キャッチ・ボールでもやって早く投げてくれ!

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神々が集った島 神津島航海記 後編

2016 AUG 20 17:17:28 pm by 西 牟呂雄

どこへ行こうか衆議の結果、島北端の名組湾沿いにある赤崎遊歩道に行くことにした。 切り立った崖にウッド・デッキ風の回廊があり、その下に底まで透けるほどの澄み切った入江がスポットなのだ。
 バスに乗って信号もない道をトコトコ行く。あまり大きくないせいか観光開発も大々的ではなくこじんまりした感じ、景観は素晴らしかった。

私ではありません

歩いていくとせり出した所が二ヶ所設けてあって、子供がビュンビュンと飛び込んでいた。
 しかしこの飛び込み台、海面まで4m程度だと思うがそこに立った恐怖感は凄かった。オジサンは禁止とでも書いてあれば止めたがそんな表示もない。しょうがなく飛んだ。その瞬間水面に落ちた衝撃が足の裏に伝わった。続いて視界はグリーンの泡ブクブクの中で、体はどっちに向いたのかと思っていると直ぐに明るくなってポッカリと水面に出た。やってみると面白くて二回も飛んだが、海は上がると震えるほど冷たかった。
 これは今年の冷水隗が大島から神津島まで居座っていて、漁にも影響が出るほどだったとか。
 実はこの写真を撮ったのはそこに通じる橋の上で、7~8m位の高さがある。そこからも勇気ある若者は飛び込んでみせた(オジサンはやらない)。
ここだけの話、飛び降り自殺だけはやめておくことにした。
 食料を買い出しに島に一軒のスーパーから船に帰ろうとしたら、偶然タクシーがいたので交渉すると乗せてくれた。ところが運転手が不気味な事を口走った。
「お客さん等ヨットで来たんだったら早く帰ったほうがいいよ」
「ん!」
「次の台風が出来てこっちに向かっているよ」 
 ナニ!そうか、さっき出て行った船が『直撃』と言っていたのはこのことだったのだ。あわてて船に戻ってパソコンで天気図を検索すると本当に台風七号が発生しているではないか。当初予定通りアイランド・ホッピングを諦めきれない連中は
「大島まで逃げて波浮で様子を見よう」
「イヤ、下田の方がいいだろう」
 等といい、オレはよんどころないヤボ用で神津ー調布のフライトを予約していたが飛ぶかどうか不安になり、結論は明朝未明に決める事にして取り合えず持ってきた酒を飲み尽くしてしまおう、となった。

離島のホームレスではない

 翌朝、四時半に起床して天気図を見ると事態は更に切迫してきた。そして、多数決によりキャンセル料金を出し惜しむオレを置いて船は帰港することになった。
 この哀れな姿は決して離島のホームレスではない。行き場を失って途方に暮れるオレだ。フライトが欠航になれば、イチかバチか高速船で下田か熱海にでも出なければ帰れない。それも欠航になるとしたら・・・。
「じゃっ、気を付けてね」
 と船は朝日の中出港して行った。

朝日を浴びる海岸に突き出た岩

朝日を浴びる海岸に突き出た岩

 気を付けるって、オレは何を気を付ければいいのか。
 更にヤバいことにこの明るい天気は一気に曇り、無情の雨まで降り出した。オレの運命は一体どうなる。雨の中ちっぽけな空港に行き必死に祈った。

 結果は(当たり前だが)20人乗りの飛行機は無事に飛び、オレは何事も無かったように調布に降り立った。アー疲れた!

名機 ダニエル228

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神々が集った島 神津島航海記 前編

2016 AUG 19 20:20:22 pm by 西 牟呂雄

 
  

航海計画

航海計画

 伊豆七島を造った神様達が集って談合したので神集島、現在の表記『神津島』までクルージング。 伊豆七島には少ない白いビーチが広がる別名ダイアモンド・アイランドとか。

 何しろこの暑さ、日差しを避けて夜7時前に出港すると風は北東5ノットの追い風だ。
 いつもはここで『出港祝い』と称してビールの一杯も飲むのだが、夜間帆走でもあり、又オレのワッチ・ローテーションは午前1時から4時まで。酔っ払う訳にはいかない。
 江の島の灯台を見ながら暫く進むと左手に館山の灯台が見える。この辺りから東京湾から出て来たり、逆に入港する貨物船が増えて気が抜けない。
 スピードが全然違うので遠くに点のように見えた光がアッと言う間に目の前まで来てしまう。汽笛を鳴らされてサーチ・ライトを浴びたりすることはヨット乗りの恥だから、セールにライトを当てたりしながら慎重に進む。
 今回はオート・パイロットを新規購入しているので、針路を大島の竜王埼にとってローテーションに入った。ちょうど風早の灯が見えた。

 結局1時間程寝たのだが12時前には起きてデッキに上がると大島は右やや後方に、前方には利島がボーッと見えていた。コンパス185度位で真っ暗な海を行く。ここまでくるともう船は来ない、と思ったら後ろをイージス艦みたいな船型が移動していた。
 ただ、GPSでみる対地速度は4.6ノットくらい。船速メータ-は5ノットを越えている。今年も黒潮に食い込まれていて時間は予定よりかかりそうだ。 

水平線上の日の出

水平線上の日の出

 台風六号は行ってしまったが大気は不安定のようで、満天に星が見えたりすぐに月まで霞む。新島灯台がチラチラ。
 次のワッチ・マンを起こしたがそのまま持ち場について、意外と寒いので長袖を重ね着。大島を交わすとウネリの方向が今までと逆になって船のローリングが激しくなり、オート・パイロットを切って舵を取る、途端に大波を喰らってキャビンで寝ていたスキッパーがバースから落ちてしまった.ゴメーン。
 4時半過ぎに未明の薄明かりが漂ってくると、待つこと30分。
 分厚い雲の水平線上の切れ目にオレンジ色の日の出が登って来た。ありがたく拝んで少し寝た。岩肌

 午前7時過ぎに目が覚めると神津島・多幸湾の入り口に来ていた。地滑りでも起こしたのか、岩だらけの峻険な山肌がむき出しになった迫力のある景色を見ながら着岸する。途中1ノット程度の潮を受けて13時間の航海。早速ビールでカンパーイ!多幸湾の廻りには集落もお店もない。漁師さん達は車で通って来るらしい。かわいらしいキレイなビーチでライフ・セーバーが練習をしている。

 さて、島内は村営バスが移動手段。タクシーは4台でその運転手さんはバスが忙しいとそっちを手伝いに行く。バスは1時間に1本だから行き当たりバッタリとは行かないから、どこへ行こうかと相談する。
 ところで湾内には、やはり停泊しているヨットが2杯いた。その内の一艘は知り合いでヤアヤアと挨拶したのだが、何やら急いで出港準備に余念がない。随分前から来ていたのだろうか、アタフタと出て行ったが、その際
『直撃ですよ、直撃!』
と言ったが聞き流した。。

 着いたばかりの僕達はその意味することが分からずに手を振って別れたのだが、後にとんでもない事になってしまった。

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贋作 ジェット・ストリーム (セクシー編)

2016 AUG 15 5:05:17 am by 西 牟呂雄

 又、お会いしましたね。パーサーのジェット・ニシムロです。
 セクシーを日本語にしますと『お色気』でしょうか。
 私はその訳、違和感があります。
 セクシーという言葉からはもっとパワーを感じます。o0800055012718972928[1]

 彼女達はアメリカの五人組みガールズ・グループ、
 先日初来日したフィフス・ハーモニーです。
 内二人は10代ですよ。
 この娘達には『カワイイ』や『お色気』は当てはまらない。
 このリズム感!セクシーです。

「あたしマイアミから来たの」
「あたしはテキサス」
「あたしはルイジアナ」
アトランタの街角で思いっきり明るい娘達
あのね、この日本人はくたびれていて
もう君等と遊び歩いたりはできないんだ
もっと若くてハンサムと行きなさい
恋もイヤというほどするがいい
エッ、日本に行きたいの
素敵な恋人と一緒においで
そうしたら案内してあげるから
ところで君たち、足太すぎるよ

さあ、次はセクシーの範疇を大きく越えるダイナミック。
いやワイルドでしょうか。
マイケルの妹、ジャネットの迫力あるステージをお楽しみ下さい。

眩しい夕日がもう少しで消えてしまう
待ってくれよ
もうちょっと待ってくれよ
一日経てば 落ちるポイントがずれてしまうんだ
オレを置いていかないでくれ
オレを置いていかないでくれ
オレはまだここにいるんだよ
地球よ
地球よ
そんなに急がないでおくれ

空の旅、おくつろぎいただけましたでしょうか。
お別れはお馴染みのスタンダード。
サンタナです。
この特徴ある官能的なギターをお楽しみ下さい。
又、空の旅でお目に掛かりましょう。
お相手はパーサーのジェット・ニシムロでした。

贋作 ジェット・ストリーム 

贋作 ジェット・ストリーム Ⅱ

贋作 ジェットストリーム (横浜編)

贋作 ジェットストリーム (アーバン・サウンド編)

贋作ジェットストリーム (女性バラード編)


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がんばれ!さくらジャパン (今月のテーマ リオ・オリンピック)

2016 AUG 13 7:07:49 am by 西 牟呂雄

さくらジャパン

さくらジャパン

 

 女子ホッケーさくらジャパンは予選Bリーグを戦う。それがこのリーグ、イギリス・アメリカ・インド・アルゼンチン・オーストラリアと強いチームばかりだ。まあAリーグもそうなんだが・・・。それでもオリンピック四大会連続での出場と、地道に精進を重ねている。
 ホッケーのボールは堅い硬球だから女子の場合(いや、男でも)顔にでも当たったらどうするのかと心配しつつ唯一の実況の機会の初戦を見た。相手はかつてのホッケー大国インド。この1年、国際試合で1勝1敗のライバルらしい。
 選手は天理大学・山梨学院大学の出身者が中心で、永井監督の二人のお嬢さんもいる。

 ホッケーの経験も無く見るのも初めて。強い日差しの中、観客はまばら。さくらジャパンのユニホームはノー・スリーブだ。
 始まってみるとカンッ、カンッとスティックで打つ音がしてボールの転がるスピードが速い。即ち物凄い運動量なのだ。ホッケーは〝打つ”のではなく〝転がす″のだなと分かった
 第一クォーター(15分)終了間際にペナルティーから先取点を取った。このペナルティーは独特で相手ゴール側からサークルの外にいる味方に打ちだしてそれから攻撃が始まる。
 不思議なことに人工芝のグラウンドで何故か水しぶきが上がるのは何故だろう。危険防止に水でも撒くのか(後で分かったが転倒やスライディングの際の怪我防止でジャブジャブに水を蒔いていた)。
 第二クォーターにも中島選手がもう1点追加した。いいぞいいぞ。
 後半第三クォーターのが始まると1分も経たない内に今度は日本に反則。いきなりペナルティーで得点される。ゴールした時はドスーッと凄い音がした。10分頃にも同じくペナルティー・ゴールを決められ同点に。
 終わり直前の日本のペナルティーゴールはダメだった。
 で結局引き分け。次に繋げよう。

 第二戦は4大会連続メダル獲得、世界ランキング2位の強豪アルゼンチン。観客は隣国であるアルゼンチンからたくさん来ている。そしてタテもヨコもでかくて分厚い選手達。
 始まるとすぐにペナリティーを受けたが、物凄いプレッシャーだ。因みに体に当たってしまうと即ペナルティー。
 二度目のペナルティーでは強烈なシュートを決められる。このドドドッと突進される時ゴール裏のカメラアングルで見るとコワい。ペナルティーのシュートを受ける時は危険防止のためディフェンスの選手はマスクを被る。
 アルゼンチンはスティック捌きもうまく、さくらジャパンも必死に走るのだが攻撃をカットされてしまう。
 結局前半はほとんど攻撃することなく終わった。キーパーの浅野は大変だ。
 ところでグラウンド・ホッケーのスティックは持つと左側がフラット、右側がラウンド面となっていてフラットでなければシュートは打てない。すると右利きでなければ競技が出来ないのではないか。アッ、クルッと持ち替えてシュートしてる。なるほど・・。
 後半5分、永井(姉)選手がイエロー・カード、5分の退場。
 走れ走れ、さくらジャパン!
 しかし中盤の当たりが強くてパスさえ通らないのだ。
 第四クォーターで立て続けに2点シュートを決められる、スピードも違う。
 終わってみればシュートを1本も打てない完敗だった。残念。
 関係ないが今日は日本ハムファイターズもライオンズに負けた・・・・。

 お次はそのアルゼンチンを下したアメリカ。雨中の対戦となった。
 初っ端に2点取られる。どうも日本のパスが通らないのだ。
 せっかくの相手反則もペナルティーが決まらない。逆にアメリカは同じプレーで追加点。U・S・A!U・S・A!の大合唱が起きる。
 後半もさくらジャパンは動きが鈍い、と思っていたらドスーッとシュートを決められ、絶対絶命になってしまった。
 それでも何とか1点を返すが結果は1-6で負け、オイオイオイ。
 そして何故か本日もファイターズが敗けているのでした。

 そして英国。もう1シュートに賭けろ!勝敗は度外視だ。阪口よ、湯田よ、永井姉妹よ、スティックをしならせよ。そして浅野よ、守りを固めよ。
 だが結論から言うと2-0で負けてしまった。世界の壁はまだまだ厚い。
 試合は録画だったので選手のコメントは聞けない。だが本当によくやっていた。
 満席ではなかったが、国内の試合はこんなに入っていないので戸惑う事もあったろう。何よりも『さくらジャパン』はまだ若い。君達の本番は四年後のトウキョウだ。その時は僕も応援に行くぞ。

 あと一試合あるが、あすの今頃は船の上。勝利を祈りつつ『さくらジャパン』の応援レポートの筆を置く。

追伸 誠にどうでもよいがファーターズはきのうも負け。さらに大きなお世話だろうがホークスも6連敗中。

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変なことは予言するモンじゃない

2016 AUG 11 9:09:39 am by 西 牟呂雄

 与党が2/3を衆参両院で確保し、改憲の可能性が出てきた。
 私の立ち位置は自主憲法策定なので、第九条二項の訂正はやりたい(一項は残しますよ)。
 しかし以前も書いたが、勢いでやるもんじゃない。反対意見も根強くあるし、熱くなった所で国民投票なんぞやったら後で後悔しても遅い。じっくりがいい。
 国論を二分するのだからある程度の妥協は右も左も止むを得ないはずだが、互いに一歩も譲らずではロクな結果を生まないだろう。
 しかも国際関係は今後も微妙に変化する。その変化に少なくとも50年は耐えられる内容を、それこそプロの議論のレヴェルで戦わさなければ。現在の妥協線は何処にありや・・・。

 等と思料していたら突然天皇陛下の生前退位の報道がどこからともなく伝わった。これは只事ではない。
 佐々淳之氏の著作に、皇室は100年に一度の国難に当たって究極の国民の拠り所である、旨の一文があった。我々の世代は敗戦を知らないが、大災害のたびに被災地を見舞われる姿に等しく励まされる人々は見ている。
 東日本大地震の時に、時の総理大臣は罵倒され、大会社社長は土下座させられたが、陛下のお言葉には誰もが心を打たれた。
 そして平時は淡々と『権威』となって『権力』を持たない。そういうように擦り込まれているのだ。
 周辺国家の挑発やゴリ押しもエスカレートするばかり。常識的には国際協調で押さえ込まなければならないが、米国・英国と内向きの世論に大きく傾いた。

 誰がリークしたか(恐らく千代田筋?)知らないが、陛下のお気持ちも忖度していることは間違いないだろう。問題はなぜこの時期か。
 ここは皇統に伝わるDNAが何かを国民に伝えていると思えてならない。
 そう言えば僕は3年前に オリンピックへの道 という大バカなブログを書いたが、こんなことになったらアブないアブない。
 だが現にトルコが変になったばかりだ(関係ないがあの大統領の目がコワい、処分が尋常じゃない、ヤラセ疑惑もむべなるかな)。
 皇室の絶妙なバランス感から見て、これから今上陛下の御在位中に議論していって、というスパンで考えるのがいいという警告ではないだろうか。
 筆者は昭和の最期を良く記憶している。昭和天皇が崩御され一斉に自粛となった。とても飲み歩く雰囲気ではなかったので夜を待って車を飛ばした。すると新宿が本当に真っ暗だった。
 ところが、だ。車では滅多に入らない歌舞伎町を徘徊すると様相は一変する。暗い通りにパチンコ店内の明かりが漏れ、音量こそ落としてはあったがガンガン・ジャラジャラは聞こえてきた。よくよく見ればその暗がりの中にも酔っ払いや客引きはうごめいていたのだ。
 渋谷も同じ。センター街に突っ込んだら当時流行のワン・レン娘がウジャウジャしていた。下々は自分なりに従来のペースを崩さなかった。

 そしてついにビデオ・メッセージが発せられた。象徴の地位と、国事行為・慰霊・お見舞い、といった国民に寄り添う活動は一体であるという合理的なお話だった。
 筆者は忖度することも無礼に当たる、という右ッパネなので
 
 誠に厳かなる問いかけと受け止めた。

 冷静に議論を進めよう。
 ところで周辺国家はそっとしておいてくれ。余計なことすると一瀉千里だよ。

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本年振り返り (2014年末オレ編)

2015年には起こりそうもないこと

2015年も・・少し早いか (今月のテーマ 振り返り)

やるときはヤルじゃないか (今月のテーマ リオ・オリンピック)

2016 AUG 7 21:21:02 pm by 西 牟呂雄

 政治が不安定だろうが資源安で不況だろうが治安が悪かろうが工事も何とか間に合わせて、やる時ゃやるじゃないかリオ・デジャネイロ。素晴らしい開会式だった。
 低予算だったそうだが見事な物、僕は感動さえした。
 強烈なサンバ!凄いのは一国ごとに打楽器奏者が何人も付いていて、これが一糸乱れずリズムを刻む。僕はドラムの経験があるが、あれだけの人数があの広い会場でピタリと合うのは全員が相当のプロだろう。とすると200チームが入場したのだから千人近くの奏者が集結したことになる、さすがに層が厚い。
 このリズムにノリノリで入って来たのはトリニダード・トバゴだ。ちゃんとステップを踏んで、カリブのノリはレゲェだけじゃない。
 きらびやかさに目を奪われたのはインドネシア。前列の女性が被っていた王冠のようなもの、実際の重さはどのくらいなのだろうか。

 参加選手が少ない小国にはいじらしささえ感じる。
 それで良くみるとこういう参加国には三つのタイプに分類できることが分かった。
 まず、射撃・馬術やボート・カヌー・セーリングといった特定のスポーツが伝統的に強く、まさに『参加し続けることに意義がある』国。ヨーロッパの小国に多い、東欧とか。
 次に一国の存在を強くアピールする必要があるため、必死に少ない予算を付けて少人数でも参加するタイプ。アフリカや中東の小さな国がそれだ。中には紛争・内乱中の国もある。
 そして三つ目に摩訶不思議なタイプ。スポンサー・タイプとでも言おうか、怪しげな国家及び地域でどこから資金が出たのかも良く分からない。〇〇領◎◎といったチームや破綻国家である(難民チームのことではない)。極端に格差が大きくて、大金持ちがタニマチとなっているのではないかと推測してみるのはヒネクレすぎだろうか。

 いずれにせよ参加者全てが力を出し切って胸を張って帰って欲しいものだ。

 と、書いていると水泳400mメドレーで萩野・瀬戸両選手が金と銅。三宅選手が重量挙げで銅。柔道で近藤・高藤選手が共に銅メダルと日本選手は好成績が出た。三宅選手が思わずバーベルをナデナデしたのは微笑ましい。
 しかし国技でもある柔道選手は金メダル以外では本人も指導者も日本で見ている観客も満足できなくて気の毒にさえなる。昔とは競技人口もケタが違う世界スポーツとなりルールも変わった。オリンピックに出たのだから銅でも立派だ。
 相撲も剣道も、今回は野球でさえ種目ではないのだからね。
 僕は朝競泳を見て、ネイチャー・ファームでナスとピーマンを収穫し、東京に戻ってからファイターズの首位決戦に声援を送り、これからフェンシングと女子ホッケーに備えている。
 来週からもズーッと同じ状況が続き睡眠不足になり、週末はクルージングの夜間帆走で神津島まで行く。実に殺人的なスケジュールだ。

 エッ?働け?・・・・スイマセン。

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