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「今日電話した?」という新手の迷惑電話

2016 SEP 12 21:21:46 pm by 西牟呂 憲

 日曜の夕方、私はTVを見ながらくつろいでいた。そこへ家電が鳴った。
「はい、もしもし」
「あっ今日電話した?」
 いきなり切り出され、一瞬甥っ子の声に似ていたので、
「いや。してねえよ」
 とぞんざいに答えた。すると、
「二回くらい着信があったんだけど何かあったかと思って」
 分かったぞ。表示を見れば非通知だ。
「してねえよ。」
 しかしこういう輩はすぐには会話を終わらせない。
「公衆電話からだったんで取らなかったんだけどさ」
 バカめ、今時公衆電話から二回もかけるのがいるとでも思ってるのか。
 丸出しの詐欺電話には非常に丁寧に対応することを心掛けている。なるべく会話を伸ばして詐欺師の電話料金を使わせ、更には次の被害者に使う時間を短縮させ、詐欺師ども(又はその詐欺師に使われているガキ)のヤル気を失くさせるように勤めている。向こうは『~か?』と名前を確認するのを待っているのだ。
 暫く聞いていると同じ事を繰り返してばかり。
「公衆電話からの電話は取らないけど何か起こってたら」
 ベラベラ喋り捲る言葉をさえぎって、
「それはさっき聞いたけどマニュアルに他のことは書いてないのか」
「へっ?」
「棒読みしてるんだろうけど次はどうする」
「だから・・。」
 耳を澄ますと後ろの方でもガシャガシャ喋ってるのが聞こえる。こりゃオレオレ詐欺と言うより迷惑勧誘崩れだ。私はこういうのに滅法強い。昔、オレオレ詐欺の電話番号を聞き出し、朝から晩まで(色んな電話から。着信拒否にされるので。)『まだやってんのかこのバカ野郎』と留守録に吹き込み続けたこともあった。
 おもむろに質問した。
「お前誰。」
「ハァ?」
「誰なんだ。名前言ってみろ」
「意味わかんね」
「名前だ。ナ・マ・エ。太郎とか二郎とかあるだろ。」
「だーかーらー」
「言えねーのか。名前も言えねーのか。それとも名前もないのか」
「オレはー」
「〝オレ”なんて名前の知り合いはいねえ。早く言え」
 どうもこの業界のシロウトらしくここで向こうがキレてガシャンと電話を切っってしまった。
 しかしこの業界は後ろで鵜飼の鵜匠みたいなのが会話をチェックしていて、自分から切ると怒られてもう一度掛けさせられるのを経験で知っている。そら来た。又非通知。
「はい、もしもし」
「きょう電話した?」
「同じ所にかけてくるんじゃねぇ!」ガシャン。
 さあ来い。いくらでも遊んでやるぞ。どの手で行くか。アレッあきらめたのか。
 来た。非通知だ。
私「ボク、ドラエモン」
詐欺師「(呆気に取られ)・・・・きょう・・・電話した?」
 後は受話器をテレビの前に放り投げておいた。15分後に取ってみると嫌がらせの騒音がガーガー鳴っている。まだ電話しているのかと更に15分放置してそのまま切った。
 次は外人のフリでもするか、それともモノマネでもしながらアントニオ猪木『元気ですかー』で行くか、ワクワクしながら待っていたがその日はもう掛かってこなかった。

 読者の皆さん、特に女性の方は非通知の電話に『〇〇でございます』と名乗るのはやめましょう。

春夏秋冬不思議譚 (終わらない電話)

雑感 話さない会話 突然思い出した事など


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Categories:春夏秋冬不思議譚

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