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3分後の世界は見えているのか

2016 DEC 20 8:08:31 am by 西 牟呂雄

 新幹線をこのところ頻繁に利用している。
 東京駅の新幹線乗り場に立つと、3分おきに各種『こだま』『ひかり』『のぞみ』が発車・到着し続ける。
 最高時速270kmの猛スピードでひっきりなしにアレだけの車両が行き交っているのだ。俯瞰すれば物凄い密度であの重量が移動していることになるのである。
 乗っていれば車窓の景色はアッという間に後方に飛んでいって、約3分前に別の人が見た光景が目に入る。
 だが、フト気が付いたのだ。それは約3分間の時間にこの線路と自然がそのまま残っている前提に過ぎない、と。
 自然災害がこうハイ・ペースで起きると、なにやら心騒がしい。
 例えば新幹線でいつも見る富士山が本当に大噴火してしまえば、そして大きな火山弾が飛来して3分後に僕の乗った車両を直撃したとすれば、その前に通り過ぎた人と僕の明暗は大きく別れる。
 神戸で東北で熊本であれだけの地震があっても、新幹線の車両ダメージはあれほどの高速運行にしては少ない。とにかく乗客全員が死亡というような参事にはなっていないので極めて高い安全システムが構築されていることは分かる。
 そういう話ではなく、我々の3分先の運命は全く予見できないのだ。
 飛行機に乗れば更に3分後の位置は遠ざかり、不確実性は増すのか。
 実はこの理論はパラドックスがあって、『危機』に近づく確率と『危機』から遠ざかる確率は同じなのだ。そしてそれは取りも直さずジッと其の場所に止まっていても『危機』に合う確立と同じと推定される。
 そうでなければあれだけ世界中を飛行機で飛び回り、新幹線をしょっちゅう乗っている人の生存確率は物凄く低くなっているはずだ。

 それでは宇宙ステーションに長期滞在することはどうか。
 なるほど重力の影響は少なく地震だ津波だという地表の『危機』からは遠いだろう。今の所宇宙空間での事故はないのだが、数が増えるに従って万が一もあるだろう。すると外の空間は真空なのだ。まず助かりっこない。おまけにスピードは地上とはケタ違い。とてものんびりと安全でございとはならない。

 そう考えている間にも最近東北・関東界隈で地震が起きた。要するに自然災害は避けられない。富士山が噴火したら喜寿庵にいればまず助からないだろう。
 即ち未来の予測は確実ではないというのが現実。
 私自身は還暦を越え、5年後10年後のある程度の姿も想像できなくはないが、そんなものはない。それは若い人も赤ちゃんも同じ事で、未来自体が無い物であることは変わらない。

 従って未来予測というものは、経済予測から国際関係の見立てがほとんど当たらないように、やってもしょうがない。あるのは目標値にすぎない。
 だからといってノンベンダラリンとやれないのがオトナの普通の感覚だ(それでテキトーにやる人はどうぞ勝手に)。
 人によってやり方もやる事も違ってくるだろう。

 僕は還暦を過ぎてから面白おかしく暮らすことにしているが、なかなかそうもいかないのだ。
 

矛盾を矛盾と感じるのは常識という感情

 

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