十二月大歌舞伎 玉三郎艶(あで)やかなり
2017 DEC 14 19:19:08 pm by 西 牟呂雄
いやはや、舞台を見て思わずアッと声を上げそうになりました。
以前から玉三郎さんが京劇も熱心に研究していることは知ってはいましたが『楊貴妃』を見るのは初めてです。
本当に才能のあるひとですなぁ、この人。
この演目は能にもありますが、歌舞伎は夢枕獏の原作です。
筋なんかどうでもいい、とにかく艶やか(あでやか、つややかではありません。念の為)。
一幕ものの「踊り」で振り付けは梅津貴あき(永ヘンに日)ですが、おそらく玉三郎自身の考えも入っているはずです。
唄がありますが演奏は三味線ではなく、何と琴に胡弓。
ところがですな、申し訳ないが相手の方士は澤瀉屋・市川中車、即ち香川照之。この踊りがマズい。
この人、父親の猿之助が離婚して25歳で芸能界入りするまで会っていないとか。多分小さい時から芸事を仕込まれてないかもしれません。俳優としてはイイ味出しているのだから何もよりによって澤瀉屋に。おかげで右團次さんが弾き飛ばされてしまいました。
一幕だけの『幕見』(千円!)ですから気付かなかったのですが、今月は昼夜の二部制ではなく三部になっていてその内3幕に中車が出ています。二部の一幕目に落語『らくだ』の酔っ払い、三部は『瞼の母』で番場の忠太郎、そして『楊貴妃』の方士。
それで『瞼の母』のおっかさん役が玉三郎、やりすぎでしょう!
昼間は他に松緑や愛之助。まさか回転を良くするために三部にしたんじゃないでしょうね。
それでですね、周りの自称ツウの中の通しで観た連中が声をひそめて言うのです。
「あの『瞼の母』、大和屋(玉三郎のこと)は思いっきり手ぇ抜いてやがる」
そりゃ地味目のおっかさん役じゃ華はないけど・・・。あの方は手抜きはしません、天才ですから。
その代わり下手なことすると恐いんだそうですよ。下っ端なんか、申し訳ありませんでした、と楽屋に誤りに行くんだそうです。すると・・・。
『あたしはいいけど・・・・。マズいお芝居を見せられたお客様はどうなる』
コワーイ。中車は無事だったのか・・・・。
それはともかく『楊貴妃』はお勧めです。まだ間に合うしここだけの話し、空いてますよ。夜の部最終幕、たったの千円!
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