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桃・栗三年柿八年 喜寿庵紳士録

2018 JUN 16 10:10:54 am by 西 牟呂雄

黄色い薔薇

 

 伐採により原野となってしまったネイチャー・ファームの開墾は遅々として進まない。梅雨入りして早く何とかしないと物凄い勢いで雑草のジャングルになってしまう。
 思案しながら試しに薔薇を植えてみた。

 ようやく猫の額くらいの所にピーマン・ナス。やや遅れて3年越しのチャレンジになるキュウリの苗を買って来た。
 ところが不思議な事に何もしていないのにジャガイモの芽が出てきたのだ。
 今頃なぜ。

自生するジャガイモ

 これは去年掘り出し損なったクズ芋が地中に埋もれていて、この日当たりの良さに野生化して芽吹いたのではないだろうか。あんな重機が入ったにもかかわらずに。もしそうだとすれば、この荒地は開墾しなくても自然にジャガイモが自生を繰り返すリサイクルが完成したスーパー・ネイチャー・ファームになったのかもしれない。
 
 それでは景気よく切り倒した檜のあとはどうしようか。再びあんなに育たれてもチト困る。
 そういえばこのあたりに多少の収穫を恵んでくれた栗の木と渋くて食べられなかった柿の木があった。
 突如『桃栗三年柿八年』を思い出した。しかし桃は虫がついたり手がかかる。柿は収穫まで8年もかかると私が生きているかどうか。
 ここはやはり栗ではないか。
『やあやあやあ』
 ワッ、ヒョッコリ先生だ。また勝手に入ってきた。
 しかも久しぶりにピッコロ君とマリリンちゃんを連れていた。
 来るぞ来るぞあれが。
『いや、昔はね』
 ほら始まった。きょうは何だ。
 今ではこの先生とチビ達はこの世の人ではないと思って付き合うことにしている。普通の人だと思うと辻褄が会わない話が多すぎるから。

根付きかけた胡瓜

『…と言ってたんだ』
 ヒョッコリ先生が何か喋っていたが、その隙にピッコロ君が根付きかけているキュウリを引っ張ろうとしているではないか。
 過去2年、栽培に失敗しながら今年やっとできたものを。
『コラコラコラー、それはオジさんが育ててる野菜だよ』
 ピッコロ君は、きゃあきゃあ笑いながら逃げて行って今度は薔薇の花をジーッとしゃがんで覗き込む。
『でもって栗の木を植えたんだね。栗の木は太くなると堅くて腐りにくいから。門柱に切り出したこともあったね』
 ナニ?クリ?そういえばさっき・・・。
『はぁ、栗ですか』
 何の話か適当に相槌をうつ。
『栗は種から3年ですかね』
 3年ねぇ、僕の脳は3年後にまだかろうじてマトモに働いているかな。そもそも最近幻覚や独り言に悩まされているし、実際に物が無くなったり出てきたりするので困っているのだ。

これは・・・

 と思いつつ我に返ると、いつものようにヒョッコリ先生とピッコロちゃん・マリリンちゃんはいなくなっていた。ヤレヤレ、子供たち今日も何も喋らなかったな。

喜寿庵紳士録 ピッコロ君

 翌朝、水をやりにスーパー・ネイチャー・ファームを往復していると、きのうまで見なかった苗木が目に入った。
 これは何だ。ポツンと突っ立っている。
 スマホで撮って色々と検索してみたのだが、どうもよく分からない。
 ハッパの形が特徴があるように思えたので年のために画像を確認すると、アッ。
 これは栗かもしれない。
 だけど・・・まさか・・・。
 ま、本当に栗かどうかはあと3年すれば分かるのだろう。それまで元気でいなくては。
 で、栗の木なのは一向に構わないのだが、ヒョッコリ先生が植えたのか化けたのか。怖くなりつつ水をやった。

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Categories:和の心 喜寿庵

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