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残暑に背を向けて

2018 AUG 19 15:15:31 pm by 西室 建

 喜寿庵の夏は八月になると夕方にはカナカナ蝉が鳴く。暑いことは暑くても赤トンボまで飛ぶ。
 お盆を過ぎても今年の異常な暑さはひどい、日中に蚊が飛んでいない(日陰では刺された)。だが秋の気配はわかる。日の出、日の入りは変わった。
 夜半に、ビール片手に庭に出て星空を見ている。無論スプレー&蚊取り線香で完全武装。

花火 ポツン

 川の流れが聞こえているが、人工の音ではないのでうるさくはない。たまに遠くに車の走る騒音、踏切の音。
 何の気なしにコンビニで売っていた花火セットを買ったことを思い出してガサガサと持ってきた。

漆黒の 闇に 華やぐ 色添えて
     一人灯した 花火はさびし

 手慰み、と言った感じでいくつか火を点けてみた。
 だが、見ているのが自分だけということは、恐ろしく孤独な寂寥感が沸きたって全然面白くない。特に線香花火はいけない。
 こういうのはせめて三人以上でないと楽しくも美しくもないらしい。両手に持ってやってみたがダメだった。
 芝生にゴザをしいて寝転がると(直に寝ると夜露で濡れる)Tシャツだけでは寒い。
 何とも無駄なような気がしてもう母屋に入ろうとしたら、カサッと音がする。いささかドキッとして暗がりに見入ると白い生き物、猫ではないか。
 以前時々姿を見せた黒ブチがいて、勝手に「シナシナ」と呼んでいたのが姿が見えなくなった。こいつはその縄張りを継承したのだろうか。
 シナシナがいなくなった後も複数のノラが夜に目撃されたがそいつ等とも違う。しかもまだ子供のようだ。どうやら警戒心もまだ発達していないようで、遠巻きに寄って来た。

こわい

 これは写メでも撮ろうか、エサでもやろうか。スルメを取ってきたら置いてあった缶ビールに見入っている。そーっと寄って行って「ほら」と投げてやると食べた。ところが以前の「シナシナ」は芝生の上に時々糞をしていき、その跡が円形脱毛症のように痛んでしまって苦労したからあんまりなつかれても困るのでほどほどに。あっ、もういなくなってしまった・・・。何か街灯も不気味に。 

 熱い日差しで目が覚めると顔も洗う前に庭に出る。モグラは芝生を掘り起こしてないな。
 先日やけに家屋に近い藤棚にヤマバトが留まっていていて、しきりに小枝を咥えている。近寄ってもなかなか飛び立たないので二階から覗く。なんとつがいがセッセと巣を作ろうとしていた。力を合わせてやっているのは微笑ましい。
 一般的には家の近くの営巣は「トリイレル」と言って縁起がいいとされるが、フンと羽で掃除が大変になってしまう。『おーい、そこは困るよ』などと声を掛けても全然動じない。よほど真剣なのだろうか。こっちもだんだん『シッ』とか『コラ』とか大声になるんだが無視された。しょうがないから竹竿で威嚇するとやっと飛んでいく。一生懸命作りかけていた巣を払うと、まだ大したものではない。どこかもっと家から遠い木の上の方が居心地がいいよ。そこでたくさん雛を育てなさい。それにしてもカワイかった。

ファームが草原に・・

 夏野菜はもうシーズン・オフといったところか、茄子も胡瓜ももう成らない。収穫は例年に比べると伐採して日当たりが良くなった割には低調の大赤字だった。
 そしてその日当たりのせいかもしれないが、いくら草取りをサボッたとしてもこれはないだろう。離れて見るとネイチャー・ファームが埋没してしまった。去年まではこんなにならなかったぞ。おまけに耕運機が故障して周りの土を掘り返すこともできゃしない。

 草繁り 我が営みの 細ければ
    ただ幾一筋の  汗したたるや

 これは最近知ったのだが「八月十五日」さんという名字の人がいるそうだ。読めますか。「なかあき」さん、もしくは「あきなか」さんと読むらしい。
 旧暦で言えばもう太陽暦で言う秋分の日に近いから「あきなか」の実感があり、風流な名前だがお目にかかったことは無い。

 季節が変わってしまう。一人でいると、この残暑に背を向けて走り去って行きたい衝動に駆られるが、行く当ては無いのだ。

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Categories:和の心 喜寿庵

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