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車は大事に乗りましょう

2019 DEC 19 7:07:24 am by 西 牟呂雄

 今の若い人は車にあまり興味が無いとか。若い人のみならず、特に東京は車を持たない世帯が増えていて、某マンションでは駐車場が埋まらないと聞く。だが我々の世代は違う。車が無ければ生活が成り立たないのではなかろうか。
 江崎さんがGOLFのマニュアルを手に入れたことをブログに書かれた。前のオーナーがいかにその車を愛しんでいたか、というくだりがあって、僕は自分を恥じた。このところ次々に車を変えてきたのだ。
 無論、各車ともそれなりに愛着のある車だったが、変えざるを得なかった理由は全て廃車になったから。まずいことに同じディーラー(外車の中古専門)なので、そこでは『廃車王』と呼ばれているらしい、お得意さんだ。
 ケチのつき始めは友達から譲り受けたシトロエンのイグザンチア。まだオイル・サスペンションで、江崎さんが言うところの国別・メーカー別の個性が際立っていた車だ。
 しかし致命的な欠陥があって、やたらと故障した。その際に助けてもらった上記ディーラーのあんちゃんは腕のいいメカニックで、在庫の無い部品は自分で間に合わせた。しかし、これはカモネギだと思ったか「シトロエンは石畳を疾走するようにつくられたので」とか「ヨーロッパの車は日本の夏に弱い」と僕を煽り、終いには「故障して喜ぶくらいじゃなきゃシトロエン乗りとは言えません」とまで断言した。
 そのため取得価格以上に修理代と車検がかかり、そのたびに借りていた代車は軽自動車なのはいいとしても、奴がいじりまわしたおかげでバカみたいに加速が良くてまるで弾丸のようだった。そしてシトロエンはついにオイル漏れが手が付けられなくなって廃車となった。
 次に浮気して(そのディーラーと縁を切りたくて)グロリアに乗る(中古ですがね)。これはターボ・チャージャーでメチャクチャ速い。時効だから白状するが、大手町から知多半島のつけ根まで2時間45分!ただあまりに速いので恐くなって売る。
 そして何故か例のディーラーからアウディA4を買ってしまう。部品取りにしかならないシトロエンを引き取ってもらった借りもあったので恩返しのつもりだ。乗り心地は格段に悪くなったがこいつもさすがに速い、おかげで高速で捕まった(グロリアの時でなくて良かったが)。それでも車重1.5トンでドアも重く、絶対に当たり負けしない安心感があった。
 ところがしかしある男に貸した際に(そいつは悪くないのだが)サイドにブチ当てられてあえなく廃車の運命を辿る。廃車になる程の事故でもその男はカスリ傷一つなかったから鉄板も厚かったのだろう。
 次は(同じディーラーで)目を付けていたプジョー407。エンブレムのスタンディング・ライオンが光っていた。僕は嬉しくて「やっぱ乗り心地はフランス車に限る」等とうそぶき、車は「中央道のダンディ・ライオン」と名付けていた。
 ところが前オーナーが長いことほったらかしたようで足回りが異常に悪く、結果的にディーラーを潤わせることになる。
 しかもさる複雑な事情により、一発免停で府中行きのオマケまでついた。

夏至の日に府中にて


 そして最後は煙を吐いてオジャン。いつもの中央道を帰って来る途中、調布のインターを降りてコンビニに寄ったところ、やけに焦げ臭いと思ったらボンネットから湯気のような白煙が。慌てて開けて見てもエンジンは何とも無い。右のタイヤのあたりから上がっていた。これはまずいと恐るおそる動かすと今度はギアが入らないような感じで、いくら踏み込んでも30km位しか出ない。あきらめてハザードを付けながらやっとの思いでかのディーラーまで辿り付いた。ベアリングが焼けていた。今日の車はそういう事態になると(詳しくはわからないが)制御がかかって、昔だったら火を吹くところだったのがその程度で済んだという話だが・・・。
 にいちゃんは親切そうに寄ってきて「シトロエン好きでしたよねぇ。いい出物があるんですが」と囁く。その顔には『このカモ』と書いてある。「あのオイル・サスにはこりごりだよ」と逃げようとしたが、「今のシトロはオイルなんかじゃないですよ」と食い下がる。
 ということで、現在はシトロエンCー5を大事に大事に転がしている。

 思えば僕に乗られた車はほとんど下取りされることなくタダで人手に渡ったり廃車になる運命をたどっている。実に申し訳ないことをした気がしてならない。特にもっとも愛したセリカ・ダブルⅩは(廃車にこそならなかったが)あのような事故に巻き込んだことを懺悔したい。

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Categories:遠い光景

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