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私のコレクション 今井俊満

2020 NOV 9 9:09:52 am by 西牟呂 憲

 どうです!このコレクション。アンフォルメルの大家、故今井俊満画伯の作品です。
 左の塗りたくった躍動する赤、右の流れるような青。
 残念ながら私は強度の赤緑色弱ですので、普通の方の見えている印象とは違うでしょう。子供の頃の御絵描きで太陽を黄色く塗り、赤いボールペンでノートを取っても赤で書いていると気が付かなかったくらいですから。それでもこの色彩が弾けるような感覚は分かります。
 左の絵は昔から家にあった物で、筆遣いが右の青のような線に変わる直前の作品です。左側のいわゆる肉太のシリーズは他に青と黒があり、そのうちの青はさる個人の所有で私は見せてもらったことがあります。黒は残念ながらどこにあるのか分かりません。どなたかご存知の方、ご連絡いただければ是非見たいと思いますのでご一報下さい。
 左の赤を眺めてはニヤニヤしていたある日、右の青がオークションに掛かっていることを知りがぜん血が騒ぎました。画風が変わった前後の色違いを二つ並べてみたい、という思いが抑えられなくなって入札する気になったのです。このオークションは一発入札方式ですからセリにはなりません。さあいくらの札を入れたものか。相場を鑑み、手持ちの金を考慮し、まだ見ぬ競争者の思惑を推測し、私の心は千々に乱れました。この心境に最も近いと思われるのは、麻雀のオーラスで一発逆転の役満をテンパった途端に親のリーチがかかり、次のツモが激ヤバの筋牌だった時でしょうか。
 結果、今さら後に引けるかの気迫で入れた金額が一番札でこうして並べることができました。めでたしめでたし。
 但し二枚横並びにしてみるとチョットいけない。二枚が互いをけなしあっているような、遠慮しているような。左右入れ替えてもそうでした。どうも片方を部屋の反対側に架けて向かい合わせにした方がいいようです、相互が睨みあっている感じが。しかし如何せん我家はマンション暮らしで反対側は窓。仕方なく絵に向かって『どうかケンカしないで仲良くしていてください』とお願いしました。
 ところで、そろそろネタバラシですが、今井画伯は昭和3年の生まれで我がオヤジと旧制高校の同級生なのです。赤の絵はその昔に(要するにまだ安かった頃)同期の仲間と買い付けた一枚でした。今井画伯は卒業後に第12回新制作派協会展で入賞しフランスに留学しますが、当時の仲間内では行方不明になったとされていて、絵の修行をしていたことは誰も知らず、帰国後に個展を開いた時点で初めて絵描きになったことを知ったそうです。同期会にゴリラの毛皮のコートで現れて仰天した、とも。
 落札したことをさぞ喜んでくれるかと思いきや、第一声は『お前アイツの絵にそんな大金を払ったのか』という怒声でした。ゲージツがわからん人には困ったものです。

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Categories:遠い光景

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