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我が友 中村順一君との約束

2021 NOV 13 19:19:49 pm by 西 牟呂雄

 早いもので彼が他界してもう5年が経つ。
 先日、故人の親しかった者4人でご家族を囲んだ。既に思い出・エピソードの類は語りつくしているのだが、生前に約束していたこと等が話題に登り、未達の事案については忸怩たるものがあった。
 彼と僕は子供の頃から右っぱねしていたのだが、微妙なところでズレがあった。
 ロシア人と仕事をしていた時に、彼らの領土問題に対する認識の無さに呆れたことがあった。無論仕事上の付き合いなので、露骨に返せと言ったわけではない。係争していると表現したのだが、相手はこう言った。
『そんな小さな島で揉めることはない。この辺り(ウラル地方)に役に立たない土地がいくらでもあるんだからお前が買えばいいじゃないか』
 この話を披露した際、彼は烈火のごとくまくし立てた。
「それをヘラヘラ聞いていただけか。だからお前はダメなんだ。そういう時は南樺太も返せとなぜ言わん」
 それもどうかと思う主張だった。
 その後話の流れで、仮に領土問題がある程度の妥協が成立したとして、国防の任に当たるため住民票を移そうぜということになった。その際、択捉島と尖閣列島のどっちがいいかでジャンケンまでした。どちらも暖かそうな尖閣を望んだからだ。バカバカしいことに真剣になって3回戦をやって彼が尖閣になったのだが、その直後に石原都知事が買い上げると言い出してスッタモンダが始まり国有地となった。『国有地なら住民票を移せるだろ。ジャンケンまでやったんだから早くしろ』と迫るとツベコベ理屈を並べ立てた挙句『インフラを整備するのに5千万はかかる。お前がそれを負担するなら移す。その点、択捉なら今でも人が住んでいるんだからお前こそ自慢のヨットで上陸して見せろ』とか言い出してウヤムヤにされた。

 実は彼とは還暦になった時にある約束をした。それは〇〇才になったらお互いに仕事をしないで旅に明け暮れたり酒を飲んだりして遊ぼうという計画だった。彼はその年齢になる前に逝ってしまい、取り残された僕はズルズルとテキトーに稼ぎ日々を過ごしている。
 因みにアグリ・デヴューしてから数年になるが、このコロナ禍にセッセと畑で作業する姿を見たら何と言っただろう。しかも最も収穫が上がるのは彼が生前大嫌いだったピーマンなのだ。自分はアグリに興味はないくせにあれこれイチャモンを言って我がグリーン・ハート・ピーマンをけなしたに違いない。
 席上、記憶から抜け落ちかけていたことも思い出として蘇った。彼の妹さんがアメリカ人のペン・フレンドができた、と喜んでいたのを二人で寄ってたかった『ブスに決まってる』『おそらく友達もいないような暗い子だろう』などと苛めて遊んだら妹さんが泣き出してしまったこと。スキーに行って僕が頭から突っ込んで顔中血まみれになった時の彼の仰天した表情が面白かったこと。みんなでモノポリーに興じていて二人とも破産しそうになり、条約を結んで(条約文書まで作った)共同戦線を張り何とか復活したものの、最後はいつ裏切るか疑心暗鬼になり結局どっちが卑怯な手を繰り出すか知恵を絞ったこと(これは最後に僕たち以外が全員破産してしまい引き分けにした)。どうでもいい話ばかりだ。

 もう五年も経ち、ひとりでは約束は果たせないなとこうしてブログを書いている。
 今年はお前が子供のころから好きだった阪急のオリックスが四半世紀ぶりにリーグ優勝したんだそ。我が東映フライヤーズはファイターズになって5位だった。

    ー合掌ー

わが友 中村順一君の命日

我が友 中村順一君との会話

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Categories:遠い光景

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