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真冬の富士と魔王天神社

2022 FEB 24 0:00:08 am by 西 牟呂雄

 性懲りもなくスノボに行く途中に富士山のヴュー・スポットがある。
 曇り空にうっすらと富士山を見るとなんか変。ぼやけた写メで見にくいだろうが、山頂がすっぽりと雲に覆われまるでお椀を被ったようだった。
 これは「富士山が笠をかぶれば雨が降る」と古くから言われている笠雲で、検索してみると事実冬場では70%ほどの確率だそうだ。
 この日は寒い曇天で、降れば雪。車はノーマル・タイヤだから下手すると遭難。這う這うの体で帰ったらやっぱり降った。富士山の言い伝えありがたや。

山中湖にて

 このところ山荘暮らしが長いので(テレ・ワークのせいで)、休日には富士五湖をひとつづつ一周するドライブを今年から始め、西湖・河口湖・山中湖と回った。どこからでも富士は見えて観光客もオフ・シーズンとコロナのおかげで少ない。
 こちらは山中湖からの富士だが、山裾から湧き上がっているような光景が珍しいので納めた。
 こんなに晴れているのにあの雲の下は風が舞っているのだろうか。

 先日、西村さんの初詣ブログに第六天魔王についてコメントしたが、第六天魔王とは別にサタンではない。仏教における天のうち、欲界の六欲天の最高位(下から第六位)にある他化自在天のことであり、日蓮などは修行者を堕落させる者と説いた。
 かの織田信長が叡山を焼いた後、正覚院豪盛等が武田信玄を頼ったため信玄から信長宛てに書状が届くが、「天台座主沙門(しゃもん) 信玄」とあったため、その返信に信長が「第六天魔王信長」と署名し叡山残党への恫喝の意味を込めたとされる。但しその書簡はいずれも現存せず、宣教師ルイス・フロイスの報告書にあるだけなので疑う声もある。だが世間でそう言われたり噂されていたのだろう。フロイスの書簡を見たことはないがアルファベットで『ダイローテンマオ』と読めるそうだ。

うわぁ

 一方、仏教の世界観を表す名称を持つ神仏習合の神社はその伝承はともかく多く、五湖の西湖の近くに魔王天神社はある。
 いつも行くスキー場の入り口だ。
 この日、また性懲りもなくスノボをやりに行って恐ろしい目に合った。ボードを抑えるビンディングは樹脂でできていて、固くシューズを固定しているが、3本目を滑ろうと締め始めたら『パリッ』と音がして、左足の甲の所が飛んでしまった。もう20年も使ったから来るべきものが来たのだ。仕方なく足首だけ固定して降りてきたがヤバいの何の。それにしても・・・。以前スキーでも似たような目に合ったことがある。

春夏秋冬不思議譚(ゲレンデに砕けたスキー靴)

 
 あまりのことに、お祓いがてら魔王天神社をのぞいてみた。山が神体というので長い階段があり、見上げてみるとこのおどろおどろしさはどうだ。
 そしてたまたま通りかかった人に聞くと地元での呼び名は「オダイローサマ」。まさにフロイスが聞いた通りの第六天魔王そのものだった。よいこらしょっと登ってみると何と石段は108段!

オダイロー様

 ヒイヒイいって上ると質素なお社があり、まさしく『魔王天神社』なのである。
 覗くと御神体はなく、奥は吹き抜けになってその先への階段があるだけだった。
 人っ子一人いない狭い境内で、おもむろに10円玉を放り込み、本日起こった不幸を払い年末から続く諸々の厄災を報告し、家内安全世界平和商売繁盛、祓い給え清め給えカシコミカシコミ申し上げ奉りました。

舞殿

 ふと見ると、参道の前にかわいらしい神楽殿があったから、ついでに大魔王踊りでも奉納しようかと思ったが『不審者を見た場合は村内放送の上通報します』などと書かれていたのでさすがにやめた。

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Categories:和の心 喜寿庵

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