ビブラフォンの誘惑 Ⅱ
2023 SEP 24 6:06:28 am by 西 牟呂雄

仲良しの大井貴司さんの演奏を聞きに行った。
この人はお茶目なところがあって『さて、次の曲はなんでしょう』と言いながらソロをとり、バックが入って始まったら『ルビーの指輪』だった。
アメリカではモダン・ジャズ・カルテットとも共演していて、同じビブラフォン・プレイヤーのミルト・ジャクソンのスティックを譲り受けたこともあり、よく演奏もしている。
今回のレパートリーにピアノのジョン・ルイスが書いたヴァンドームをやったのだが、あれっこれってバッハじゃないの、と気になった。出だしのピアノとの輪唱のような掛け合いでハッとした。
無論僕は熱心なバッハの聞き手ではないが,亡母が好きで1日中流れていた記憶があるので、刷り込まれたのかもしれない。それでジョン・ルイスを検索してみると、1980年代になってバッハの「平均律クラヴィーア曲集 前奏曲とフーガ」の全曲を、アドリヴも入れながら吹き込んでいる。やはり素養があったのだろう。聞いてみたかったが、TOUTUBEにはソースが見当たらなかった。バッハのコード進行はスタンダード・ジャズとは比べ物にならない程複雑だから、リズム・セクションはともかくどんなアレンジで編曲したのか興味は尽きない。
それこそ大昔の話になるが、山中湖で大きなジャズ・フェスがあった時に大井さんやバンドのメンバーと一緒に聞きに行き、喜寿庵に泊って大騒ぎをしたことがあった。その時にこの業界の連中の物凄さを目の当たりにしてビビッた。時間は守らず行動計画もなく金銭感覚もない。十人程が雑魚寝をしたのだが、メンバー同士知らない人が混じり、アンプを持ち込みギターやらベースをかき鳴らし、見たこともない女性二人はただの飲み屋のオネーチャンだったことが後で分かった。当時のこととはいえ、運転した途端にビールを飲みだしたのには唖然とするしかなかった。この人達はあんなにテクニックがあるのに、クラシックの道に(一応音大を出ているにもかかわらず)進めなかった理由の一端が覗けた気がしたものだった。
ヴァンドームの演奏シーンがアップされてたのでお楽しみください。
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