怪奇 マンモス・フラワー
2024 JUL 5 13:13:47 pm by 西 牟呂雄
これは以前ブログで紹介したこともある、孤高の観葉植物で、喜寿庵の奥にある通称ネイチャー・ファームのはじっこにひっそりと佇んでいる。
それがですな、この梅雨時になって異常な姿に変身したのである。
あまりの奇怪さに、思わず昔見たウルトラQ(50代以下の人、ごめんなさい。ウルトラマンの前の特撮テレビ)を思い出した。
この番組ははじめはオトナを対象に企画された特撮物のフシがあって、怪奇現象を扱う不気味なテイストだったが、途中からもっぱら怪獣の出番が増えて後の子供向けウルトラマンの出発点ともなった作品である。
ゴメスとかナメゴンとかカネゴンのキャラクターを僕たちは白黒で見たのだった。
その中に東京の都心で突如巨大な植物が花を付ける『マンモス・フラワー』というのがあったが、それを彷彿させたのがこの写真である。あの寂しげな観葉植物の中からニューっと茎が伸びて花を咲かせた。
長年見ているが花を咲かせたことはない。何じゃこれは。
よく見ると花自体はそうケバケバしくはないものの、どうも突然変異的に出現されると不気味ですらある。あまりの気候変動でおかしくなったのだとするとコワい。
という訳でその後必死に画像検索をすると、どうやら一番近いのはリュウゼツランという植物だった。そしてこの種は成長が遅く花を咲かせるまでに数十年を要し、開花・結実後に植物は枯れる一回結実性(一稔性植物)だとある。
なにー、すると今現在見ている花は、こいつが生涯をかけてその最期に力を振り絞って咲かせた結晶とでも言うのか。
そんな珍しい物に興味を示すのは僕の二代前、即ち変わり者で有名だった爺様に決まっていて、その爺様がヒマに任せて普請したこの喜寿庵はそろそろ百年が経つ。爺様、例によって凝った仕掛けをしたな。孫の僕が突然咲いた花に仰天して、その最期を見届けるのを今頃どこぞでニヤリとしているに違いない。
ヨシッ、これで枯れてしまうならその時までをちゃんと記録してやるぞ、と意味もなく力を込めた。
ところでその横でゴソゴソやっているネイチャー・ファームのアグリであるが、去年植えたスーパー・ニンニ君とお彼岸に蒔いたニコニコ・ポテトの収穫が始まった。ロクに肥料もやらず、厳しく育てられたニンニ君は締まった表情だが、ポテトの方は新品種かと思うほど小ぶりになってしまった。料理の材料にはなりそうもないので、茹でて自分で食べた。今のところ体調に変化はないので、少なくとも毒ではないだろう(不味かったけど)。
さて、枯れてしまうのをドキュメントしようとスケジュールの合間を縫って見に来たら、枯れるどころかますます健やかに咲き誇っている。どういうことだ。
その後、二週間経った。
相変わらず花は咲いている。
下の方から枯れて来るという記述があったが、ご覧の通りドヤ顔で立ったまま。
本当に枯れるのか、今度はそっちが心配になってきた。
今年は梅雨も短く、その後は酷暑という。
まさか・・・。
梅雨空の元、
更に一週間が過ぎてついに花が落ちた。
いよいよ百年の寿命が尽きるのだろうか。
但しこの硬い葉はまだ青々としたまま。
まてよ、一部はすこーし白っぽいかな。
そうなるとやたらと応援したくなった。
せっかく異常気象なのだから、もう百年くらい行けるのではないか。
そう思って周りに油カスを埋めたり水をやったりしている。
ガンバレガンバレ!
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Categories:和の心 喜寿庵
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西 牟呂雄
7/17/2024 | Permalink
ネットで知ったが都内でリュウゼツランの開花が相次いでいるという。みんなウチと同じタイミングで植えられた株なのだろうか。
ところが識者の解説によると、この種は夜の気温が10℃から30℃が生育に適しているそうで、今年は平年より高かったため開花した個体が多かったらしい。
やはり地球変動のせいでウチのも咲いたのか。
だが画像を見ると、はるかに高い7mくらいの茎が伸びてしかも黄色い花なのだ。
ウチのと違うじゃないか。
一体ウチのは何が咲いたと言うのだろう。