怪奇 水生ヘドロ人間
2024 JUL 28 12:12:30 pm by 西 牟呂雄
日本橋から上流に向かって常盤橋と言う名前の橋が二本架っている、日銀の直ぐ横だ。近い方は車も通れる道路橋だが更に上流には石造りで歩行者専用の旧常盤橋があって、あまり知られていないが渋沢栄一の銅像がたもとに立っている。
この日は雨模様で上を高速道路が通っているため雨宿りのホームレスが映ったのは御愛嬌。
お江戸御府内から奥州街道へ抜ける木戸門があったため、ご覧の石垣が残された。
美しいアーチの姿は江戸情緒と言うより帝都感満載で、元の職場が近かったこともあり昔からここが好きで今でも時々散歩する。
子供の頃、即ち高速道路ができる前などは悪臭を放つドブ川だったが今では水質も改善され、濁ってはいるが小魚がいて実際に魚が釣れるドキュメンタリーを見たことがある。
それが、この日何気なく川面を見ていると不思議なモノが漂っていた。
川底から細かい泡がブクブクと湧き上がって来てそれとともに黒いシミのような塊が浮かび上がってゆっくりと流れて行く。因みに日本橋あたりの川面は東京湾と同じ高さなので満潮の時はジワジワと上流に流れる。すると、泡の発生源が何なのか分からないが、水中で何かが息を吐きながら移動しているように見えて不気味なのだ。
昔、宇宙から飛来した物質がヘドロの中で生命体となり、て巨大化した怪獣ヘドラとなってゴジラと闘うという映画があった。さながら水中からヘドラが歩いて上がって来るような光景を想像して気持ち悪くなった。
尤もこの河川は浅いところでは水深1.2m程度しかないため、大怪獣が水中移動などできるはずもない。
問題はこのブクブクは何かということなんだが、川底に溜まったヘドロの中の有機物が分解した際に出る気体ではないだろうか。だがそうであればヤバい。想像できる範囲で思いつくのはまずメタンガス (CH₄)、次に硫化水素 (H₂S)、それから二酸化炭素 (CO₂)とアンモニア (NH₃)といったところで、地球や体に悪いものばかりである。
だが、地球で最初に出現した生物は硫化水素をを利用して炭水化物を合成するバクテリアで、このバクテリアが生み出した有機物が起点となった生態系が進化してきた。
おそらくそのバクテリアのエネルギー効率は恐ろしく低いためその後の進化はなかったのだろうが、現在のバイオ技術で高能率の合成が可能になる生態系は生み出せるのではないだろうか。硫化水素を吸収する水中人間とか。
ところが、面白いもので色々夢中になって検索するとアクア説という仮説があった。500万年以上前にヒトが類人猿と別れた頃、人類は水生だったというトンデモな話だ。すると悪い発想が湧いてきて、強烈な硫化水素を合成することによってエネルギーを蓄えられるアクア・サピエンスなる亜人類に進化したらそれはどんな姿なのか想像したくなった。
水生だから足は必要ない。硫化水素を吸い込むだけだから口もいらない。知的作業をするなら手は必要だろう。脳もそれなりの大きさになる。
想像するに、形状はエビ型かオオサンショウウオ型になるのではないか。
そう思って色々検索してもどうもしっくりくる画像がなかったので自分で書いてみた。
こういう生物が日本橋の川底を、硫化水素を吸いながら泳いでいるとしたら、なかなか面白いのではないか。
しかしこの姿、どっかで見たような。そう思って検索したらあった。
これ、享和元年(1801年)に水戸藩東浜で捕獲されたとされる河童の絵としてWikiに載っていた。なんだ、お江戸の時代にも僕と同じようなことを考えた輩がいたのか。人間の想像力と発想は変わらんものだな。
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