『格下』考
2025 APR 20 21:21:45 pm by 西 牟呂雄

赤澤大臣が会見で『格下も格下』と発言したことについて、野党だの政治評論家だのがガタガタ言っているが、一言でいって『ウルセー!』で片付く話。
格下はその通りである。大統領は国家元首で、わが国であれば天皇陛下にあたる。交渉の席にヒョコヒョコ出てくる方がおかしいのであって、なんのはずみか同席してしまったのだ。そのこと自体がやや洗練されていない行為だが、そのことを批判する人はいまい。概ねドランプ流の振る舞いとして受け入れればよろしい。大統領はいささかオッチョコチョイでもある。
そしてオーバル・オフィスの写真を見る限り、執務机に座る大統領に対峙する赤澤大臣の厳しい表情が見て取れる。ヘタはできない緊張感が伝わって来た。
曰く、日本を代表して交渉するのに格下とは何だ、へつらっている、それじゃ何か、ゼレンスキーのようにつっぱってぶち壊しになったらどうなる。
外交のプロトコールに照らし合わせれば、礼を尽くして言うべきことを伝える、これ海外で交渉する要諦なだ。僕の経験から言えば結構ツカミが効く。オベンチャラではないが、初めにうまいジョークを入れるのが一番良かったようだ。
それはともかく、飛び入りで大統領になだれ込まれたのに対し、卑屈にもならずに対処した結果、大統領はご機嫌に。これは大成功ではないか。ホッとして帰国し、国内向けに『格下も格下』とリップ・サービスしたところ、あの反応。
エラソーに論評した政治評論家はブンヤ上がりで、一人で海外要人と交渉した経験などないくせに怒ってみせたが、ブンヤらしい思い上がりも甚だしい。国士を気取ったつもりかどうか知らないが、国内ばかり見ている教条右翼じゃあるまいし、100年前なら戦争必至の交渉を何だと思っているのか。
極めてバランスの良い政治家だと評価していた野田党首までがツベコベ抜かした。あなたの政党が政権を取っていた時に日米関係をメチャクチャにしたことをお忘れか。そういうあなた方は大陸には卑屈な態度でスリ寄って格下振りを満天下に晒したのは国辱ではなかったのか。野田党首も野党暮らしのせいで政権の足を引っ張ることしかできなくなってしまったのか、覚醒せよ。せっかくの少数与党なのだから、つまらんイチャモンに明け暮れてないで党内基盤の弱い総理を育てて行こうという気にならんのか。
そもそもトランプ大統領の主敵はわが国ではない。あくまで中国なのだ。ここを読み誤ってジタバタするのが一番マズイことになぜ思いが至らない、
外交は票にならないからプロの政治家が育ちにくいのは確かだ。椎名素夫という地味な政治家がいたが、この人なんかは実にプロとして知る人ぞ知る頼もしい人だったが、裏方に徹していた。直近では故安倍元総理だが、つくづく惜しい人材を失ったものだ。
ドランプという異形の大統領によってゲームのルールが変わったのだ。いい悪いの次元ではない。いずれにせよ後3年は巧みに対応するしかあるまい。僕は思想信条から高市早苗氏を支持していたが、日米関係は平和の基軸であり続けるために、ここは石破総理に頑張っていただくのが最善の策と信じている。そして今から3年は英国を加えたTPPやクアッドで足慣らしをしていればいいのだ。
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