AI天国の成れの果て
2025 JUN 6 23:23:58 pm by 西 牟呂雄

以前にも同様の趣旨のブログを書いてみたことがあるが、ネットがAIによって異常なボリュームで個人データを蓄積をすると消費行動は単純になり景気の循環は無くなるのではないか。現在、個人が自由意思で消費しているつもりになっているものは、実際にはサプライ・サイドの繰り出す様々な思惑に踊らされて買わされているモノが大半を占めることだろう。
例えばブランドとか流行の類は、供給側が提供するコンテンツを、機能性とか個人の好みに関わらず、使わざるを得ないで必要もないのに手に入れてしまう。また、ネット社会になってこれでもかこれでもかと見せられて無駄な消費を煽られるから始末に悪い。果たして本当に自分が欲しい嗜好品、ファッション、生活スタイル、といったものを人々は認識しながら自問自答しているのだろうか。おそらくほとんどの人はそうではあるまい。普通はそうまで思考をしながら暮らすほどヒマではない。
一方で普段の生活には何ら必要のない高額の嗜好品・芸術品といったたぐいには、単に消費と言うわけにはいかないような高額の値段で取引されるものもある。面白いことにかつては後ろ暗い政治的な金の流れに絵画が介在したことは公然の秘密で、フィクサーの肩書が画廊のオーナーだったのはそのためである。その場合には絵画の芸術的価値やコストとは関係ない架空の価値が勝手の付与され記号の役割を果たす。まるでマネー・ロンダリングに使われる仮想通貨と同じだ。
冒頭の例で引いた『買わされている』ゾーンの話はさておき、ヒマといっては差し支えるが、少なくとも自分らしさを自問自答することができるゾーン。そこの人々が交わす取引・交換といったものは金額換算できないのが本質ではないだろうか。美しい絵画・至高の演奏・先祖伝来の置物、これらは欲する側のパッションによって評価される。そして欲する側のそれと制作・演奏・保持する側のパッションが一致したときに取引・交換が成立すると考えられる。
すると、ここにバーチャルなソサイエティが完結し、何も高い金額を介さずに物々交換と役務提供だけで経済が成り立つ。そこには消費税もなにもなく、その延長でサービスを多少我慢すれば行政の世話にもならないユートピアが成り立つ。あのバカ高い値付けは投機目的が半分は混在しているから芸術を金額のレベルに貶めているのだ。
そして近未来の『買わされている』ゾーンの人々は、個人がアトム化してしまったAI社会に管理されるだろう。生産ー消費はすべからく膨大なデータ化された個人レベルの情報や自然現象までも取り込み、無駄な在庫などない効率化が進む。生産性も飛躍的に上がって安価なコストでモノが手に入る。このゾーンの住人は、ネット漬けになって安い安直な娯楽に浸りつつ怠惰に暮らすことだろう。
その頃はバーチャル体験が自在にできるようになっていてゴチャゴチャ混んでいる観光地でウンザリしたりグッタリしないでも世界中観光できるかも知れない。人々は旅をする努力をしなくても済んでしまうほどに落ちぶれる、すなわち人間である必要がないほどに。
そう考えるとさすがに怠け者の筆者でさえ、AIに隷属して満足を得る暮らしには心惹かれない。便利さは享受するものの、いささかマズい。
いずれにせよ巷間言われている『分断』の進行は避けられず、ここでは二つの例を挙げたが実態はもっと複雑で、それぞれの亜流もあるだろうし、また別の切り口で見れば3つにも4つにも分かれるだろう。その時は国家は成り立っていくのか。
仮に今のモデルが近未来に実現するとし、そのころの日本が人口8千万を切るとすれば金額換算されたGDPは激減し、税収もボロボロになる。それでは国家が成り立つのかな。露・中・北の核保有国に取り囲まれて国防費は減らせるわけがない。すると公共う事業と福祉を削る・・・。ところで国家とは何なのか。
国民の大多数がAIに従属する社会とはGAFA及びそれに準ずるAI企業にすがって生きることではないのか。それを免れているのは分断され少数の(筆者の試算では20%程度)のバーチャル・ソサエティの貧乏人だけ。そんな構成の国家がSNSに踊らされた怪しげな選挙で政治家を選ぶ民主主義など国民国家と言えるだろうか。AI植民地とでもいった方が腑に落ちる。そんなことならロクに選挙もやらない北の国や大陸の方が体裁としては国家らしいとさえ言える。日本が将来そうなったらいっそ政治もAIに任せてしまえ。その時は筆者は山荘に引きこもって金を使わない物々交換暮らしに引きこもり、誰にも看取られずに病に没したい。
と、ここまで書いて来て、そのAI植民地に成り果てた日本を想像してみたら・・・。
政治家・官吏・中央銀行は無くなる。企業はあるものの、大企業でさえ経営判断は人間がやらない。結局誰がやっても消費者の行動はAIに差配されるから同じ結果になるので余計なことに悩む必要はない。AIは同じ答えを出すので、売りと買いが成立しないから株式売買は機能を失い、相場も一つの価格しか示さない。裁判・司法も全部AIで時間は大幅に短縮。
人々は人間に僅かに残された仕事を分け合うのでヒマと言えばヒマ。この高能率化社会は一方で膨大なヒマ人が無駄を吐き出すことになる。そうなると一部のクズは当然のように犯罪に走るが、監視カメラとAIの顔認証でかたっぱしから逮捕・検挙される。警察は事務官僚化するだろう。公務員では自衛隊に人数が集中する。その自衛隊もドローンとロボットを駆使したハイテク・デジタル化が進み自衛官はエンジニアの就職先として高い収入が保証された人気職種である。何しろ他に公務員はほとんどいないのだから。そうなったらAIに強い国防意識があるとも思えないから無駄な戦争はしないですぐに白旗。ん?えーと、国家って何だっけ。
AIに飼いならされた無気力で軽薄な大多数の国民と一握りの隠者しかいない国を、強い国家意思を堅持する独裁者のいる核保有国が舌なめずりしている構図が浮かんでゾッとした。
「ソナー・メンバーズ・クラブのHPは ソナー・メンバーズ・クラブ
をクリックして下さい。」
Categories:チャットGPT
