『幻燈辻馬車』公演終了!
2013 NOV 24 13:13:57 pm by 早野 ゆかり
11月17日(日)無事に全公演が終わりました。
ご来場頂きました東さん、西室さん、そして親友のあそ、本当に有難うございました。
お二人とはお知り合いになって間もないのに、来て下さってとても嬉しかったです。
今回の芝居は、明治一新後、この国がどのような変貌を遂げて行ったのかを考える良い機会になりました。お客様からも多数、そのようなご感想を頂きました。
暗殺された坂本竜馬や、西南の役で亡くなった西郷隆盛がもう少し生きていたら、どうなっていたか?
私は日本人ですから、日本の歴史劇がやはり好きです。
今回、私が演じたお竜について振り返ってみます。お付き合い下さいませ。
小説『幻燈辻馬車』で山田風太郎さんの描くお竜は、能面のように表情を変えず、クールで何を考えているか分からない、実態が掴みにくい印象を受けました。小説は想像しながら楽しむのでそれで良いのですが、舞台では、観客に伝わりやすく印象も強烈にしたかったので、激しい性格にしました。会津県令・三島通庸が頭が上がらない頭脳明晰、したたかで、感情を露わにする女です。
お竜はもともと越後の百姓娘でしたが、瓦解の時の戦で会津兵に家族を皆殺しにされた恨みがありました。その後、上京して柳橋で芸者時代に会津の侍とは知らずにその男の子どもを身籠ってしまいます。自分が惚れた男が会津の侍だった・・・お竜には、会津の血を受け継ぐ子をどうしても育てられず、門前に捨ててしまいます。
さて、西南戦争で亡くなり幽霊になった昔の男と自分が捨てた子どもとの再会シーン。
ここでお竜は自分が一人の哀れな女であり、子供の母親であり、命がけでその子を守ることに目覚めます。
そしてそれまでの裕福な暮らしを捨てて、子供と義父たちとの貧しいながらも人間らしい長屋生活を選ぶのです。
・・・と、お竜という人物の段階、局面が描かれていてその変化が明確に出ることを意識しました。
写真は昼夜公演の間に記念撮影したものです。
舞台写真ではないので、役の表情ではなく気が緩んでいますが・・・
どの役でもそうですが、自分ではないその時の役の人生を生きること、表現することに、充実感を覚えます。勿論、公演が終わって暫くしてから、こんなやり方もあったな~と気づくこと、反省することもありますけれどね。その時の私の精一杯の表現です。
次回の舞台は劇団東演、またもや外部出演ですが、『ハムレット』ハムレットの母であり、王妃、ガートルード役です。2014年2月~7月迄の長~い地方公演。東京は下北沢・本多劇場で3月5日(水)~9日(日)迄。
是非いらして下さいませ~~~どうぞよろしくお願い致します。
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東 賢太郎
11/25/2013 | 3:02 PM Permalink
早野さん、公演お疲れ様でした。『幻燈辻馬車』にはご一新とは何だったか大いに考えさせらました。権力側の目からではなくですね。お竜は大義や公儀と一人の女という運命のはざまにいましたが、早野さんさすがですね、それをとても説得力を持って演じられました。シェークスピアは駒場であの小田島雄志さんが英語の教師だったのに猫に小判だったので今さらですが関心を持っております。3月楽しみにしております。
早野 ゆかり
11/26/2013 | 9:53 AM Permalink
東さん、有難うございます。
私も演劇科の学生時代に小田島雄志先生のシェークスピア論を学びました。先生の授業は面白くて、最前列か2列目に席を取っていました。先生とお会いする度にその頃のお話をして下さいます。
今度の『ハムレット』は小田島先生の翻訳ではありません。
演出家がロシア人で、原本を構成台本にしている為、ロシア語翻訳・通訳の佐藤史郎さんという方です。稽古でも佐藤さんが通訳をして下さっています。今まで見たこともない変わった演出なので、地方の演劇鑑賞団体の方々に呼んで頂けたのではないかと思います。来年100ステージ以上の公演です。
宜しくお願い致します。
阿曾 靖子
11/27/2013 | 4:43 AM Permalink
ゆかり様、公演お疲れ様でした。
三島由紀夫作「鹿鳴館」 のヒロイン朝子を彷彿とさせる
きりりとした人物造型、素敵でした。
役作りの上で、舞台美術・演出効果の影響はもちろんですが
「衣装とメイク」から受けるインスピレーションは
役者にとって絶大です。(納得のゆくものが無くて
度々直前まで都内を駈けずり回った事を思い出しました。)
幽霊というモチーフは、今回の重要な鍵なので
前半の効果にもっと「インパクト」が欲しかったような・・
幽霊つながりでは
「頭痛肩こり樋口一葉」井上ひさし作の 花蛍
「陽気な幽霊」ノエル・カワード の 前妻の幽霊
一度は演って見たかった私の大好きなユーレイ達です。
「ハムレット」前回観劇日はまさに2年前の3月12日でしたね。
最近は小田島先生の訳に慣れていたので違いを感じましたが
納得です。
先生の授業は本当に楽しくて、まさにご自身と一体化するほどの
愛情たっぷりの解説が懐かしいです。
早野ゆかり
12/6/2013 | 10:53 AM Permalink
靖子ちゃん・・・。有難うございました。
メイクと衣装で、俳優はその気になりますよね~だからこそかなり重要だしこだわります。演出家、衣装プランナー、制作プロデューサー、との話し合い、そして何よりも時分の役に対するイメージを台本から読み、調べられることは調べて、交渉する・・・。その過程も戦いつつも楽しいものです。
幽霊については、私も花蛍の新橋耐子さんが強烈に残っています。
『陽気な幽霊』カワードの幽霊も面白いですね。舞台劇ですが映画にもなっていますので、皆様におススメです。古き良き時代の・・・今のような特殊効果が無い時代ですから俳優の演技力にかかっていて、面白いです。
二つとも喜劇タッチですが、以前出演した『怪談牡丹燈籠』のお露とその侍女、お米の二人の幽霊は切ない役どころでした。私はこの時は幽霊役ではありませんでしたが・・・。
幽霊や物の怪が登場するドロドロした演劇は大好きなので、良く観ています。
10年以上前、自作で幽霊の出る喜劇を書いたこともありました。中目黒で上演、その時も観に来て下さいましたね~。
『ハムレット』2011、3、11初日。2時46分舞台稽古真っ最中でした。(その時の詳細、よろしければ私のブログをご覧下さいませ。テーマ・・・俳優雑感 タイトル・・・2011年の舞台『ハムレット』)
翌日12日・・・。交通機関が麻痺していて世の中が大混乱している中、私達関係者も劇場へ辿り着けるのか毎日サバイバルでしたが、大変な時に本当によく来て下さいましたね。感謝です。