発表会の選曲
2017 NOV 29 13:13:32 pm by 吉田 康子
来年3月に生徒の発表会を予定しています。私はいわゆる「街のピアノの先生」で、近所の子供たちにピアノを教えています。
今は、幼稚園の年中組(5歳)から大学2年生(20歳)までの生徒10数名。毎年友人のピアノの先生と一緒に発表会をして、次回が18回目。その前に別の場所でも2回おさらい会をしているので、はや20年になります。会場は近くの300名定員のホールでベヒシュタインのセミコンサートグランドがあります。
地域によってはコンクールやグレードなどの格付けに熱心で、その成績がそのまま先生の評価になるという所もあるようですが、私は興味がありません。楽器を演奏するにあたっての基本的な技術や知識の習得をした上で音楽の楽しみを伝えられたらと思っています。音楽がそれぞれの子にとって長くお付き合いできる友達になれたらいいなと。日本ならではのお墨付き願望でしょうか、昔のソロバンから始まって習字やスイミングに至るまで○○級というようなランク分けが幅を利かせているように思います。何かの競技会で勝てるタイムとか受験の為の偏差値獲得など、明確な数字と目標のもとに評価できるものであれば、客観的な指針となると思います。音楽の場合もプロとしてやっていくならコンクール優勝みたいな「勲章」が必要でしょうけれど、楽しみで続けている生徒を他人の評価に委ねる気持ちはありません。
そろそろ発表会の曲決めの時期になり、大変な手間暇がかかるものの楽しみでもあります。それぞれが独奏と連弾を弾くので結構な数を選び出さなければなりません。年々増えていく楽譜の整理を兼ねて目を通していると、自然と「この曲はあの子に」みたいに顔が思い浮かびます。
私が子供の頃に習っていた先生は、先生自身の数少ないレパートリーの中から順列組み合わせ的に生徒達に与えていたので、毎年似たような曲ばかりだったのが不満でした。
発表会は公の場での生徒の勉強成果を披露する場ですが、それは同時に指導者の勉強の成果の発表でもあると思います。私の「先生」としての名刺代わりみたいなつもりで、毎年総入れ替えで前回とは違う曲を選ぶようにしています。
そして最後に先生の演奏、ということでもう一人の方との連弾が恒例です。20回もやっていると主だった連弾曲には挑戦済みですが、前回はなんとメンデルスゾーンの弦楽八重奏曲を作曲者がピアノ連弾用に書き直したものを見つけ、終楽章のプレストを弾きました。こちらもまだまだ楽しみが沢山ありそうです。
Categories:催し物
西室 建
11/29/2017 | 10:00 PM Permalink
吉田さん、
発表会にそんなにエネルギーがかかるとは想像していませんでした。頭がさがります。
以前知り合いのお子さんの発表会で、右手首に障害のあるお子さんのために左手用にアレンジして、先生が連弾のように手伝っている演奏を見て感動したことを思い出しました。
吉田 康子
11/30/2017 | 2:02 AM Permalink
西室さま
心温まるお話をありがとうございます。その方は素晴らしい先生ですね。きっとそのお子さんも周りの生徒さん達もピアノが、音楽がますます好きになったのでは?と思います。
それぞれの事情に合わせてアレンジすることは、よくあります。
「弾けた!」という心からの笑顔が何よりの励みです。
西村 淳
11/30/2017 | 6:48 PM Permalink
私も子供のころピアノを習っていて、発表会に名前を連ねたことがあります。演奏するほうは大変です。いまでこそあがり症はずいぶんと克服されていますが、子供のころは頭が真っ白!
それこそ喉から心臓が飛び出してしまいそうでした。自分のことで精いっぱい、先生のご苦労なんか思い遣る余裕はこれっぽちもありませんでした。
吉田 康子
12/1/2017 | 1:18 AM Permalink
西村さま
先生は準備をする脇役で発表会の主役は、出演者である子供達。人前で注目をあびて1人で舞台に出て行って演奏するなんて!
普段あり得ないほどの緊張の中で「しっかり弾けた!」とか「惜しかったなぁ・・」を経験出来る機会ですね。
舞台袖でハラハラしながら一緒に味わっている気がします。