Soner Menbers Club No43

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タコのピアノ五重奏曲

2019 SEP 4 16:16:27 pm by 吉田 康子

タコは、ショスタコーヴィチのことです。
9/14の本番の最後に弾く曲なので、あと10日を切って合奏は最終練習を残すのみとなりました。先月にはピアノの師匠にもしっかりレッスンをしてもらい、全体のアンサンブルについてもいつもの先生に長時間にわたってご指導頂きました。

盛りだくさんのレッスンを乗り切った安心感からか、指導内容が出来たような気になっていました。実際に弾いてみると、まだまだ改善点や演奏に反映できていない部分が散見されて、残り少ない時間と焦る気持ちの背中合わせの状況です。「ここまできて今更?」と言ってしまえば、それまでですが、最後の最後まで1ミリでも上を向いて背伸びしたいと自分を励ましているところです。

当初はオールタコのプログラムを聴きに来て下さるお客さんがいるのだろうか?と疑心暗鬼の気分でしたが、蓋を開けてみればビックリ!公演案内を出してからというもの、応募が途切れることなく続いています。しかも「タコばかりの珍しいプログラムが魅力」「弦楽四重奏が聴きたい」「ピアノ五重奏が楽しみ」という熱烈なタコファンの方々からのコメントばかり。想定外の根強い人気は、嬉しい誤算でもあります。それと同時に期待が伝わってきて、緊張感が高まるばかり。

以前は「このピアノ五重奏は最初のピアノソロがドラマチックでカッコいいけど、あとの楽章になるにつれてショボくなる曲」という認識で敢えて避けてきました。華々しく終わるのではなくてフッと風に乗って消えてしまうような締めくくりは、煙に巻かれたような気分で苦手意識がありました。

でも聴くと弾くとでは大違い。弾くほどにとてつもない名曲だと認識を新たにしています。古典的な組曲を思わせる5楽章で成り、プレリュードから始まり、フーガ、スケルツォ、インテルメッツォ、フィナーレと一切の無駄も隙も無い構成。変則的に変わる拍子と調性は、起伏に富んだタコの独特な世界に誘ってくれます。こんなに洗練された曲だったなんて!という素直な驚きの連続です。

全体を見て各楽章のバランスが大事。最初の楽章を壮大で重々しい感じで始めてしまうと、最後がショボくなる印象を持たれてしまう。あくまでも本の表紙のような序章として第1楽章を扱うと後に続く楽章とのバランスが取りやすい、という考え方を先生から提示されて、今迄考えもしなかった観点に「なるほど」と思いました。どうしても目先にとらわれがちで全体に目がいかないものです。たぶん以前私が持っていた先入観もこのあたりに因るものなんでしょう。

タコは、1927年の第1回ショパンコンクールにもソ連代表として出場したくらいのピアノの腕前で、優勝を逃し名誉賞しか取れなかったことに深く落胆したようですが、やはり神様からの贈り物を与えられるに相応しい器です。作曲においてもこの曲での1941年のスターリン賞受賞は大いに頷けます。こんな極上の曲に出会えて、チャレンジ出来る機会を得た幸せをヒシヒシと肌で感じています。やっぱり演奏してこそ真価を味わえるものだと思います。

本番まであと僅か、私達の熱い想いが皆さんに届きますように。

Categories:ライヴ・イマジン

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