早速の鍼灸治療
2021 FEB 6 0:00:40 am by 吉田 康子

翌日夕方5時に予約が取れました。電話口にはおっとりとした可愛らしい声の女性。昨日の師匠の治療院の玄関に「予約時間に遅れた方は診察いたしません」という札が下げてあったのを思い出しました。駅から徒歩9分とありましたが、初めての場所だし遅刻厳禁だろうと大幅に早めの40分前に到着。昔ながらのアーケードがある長い商店街は昭和の雰囲気。キョロキョロしながら歩き、その外れの路地にある診療所に着きました。木造の古いアパートの一室、入り口は昨日と同じような引き戸でした。
ここは2018年夏開業のようです。大学を出てから会社勤めの後に鍼灸専門学校に3年間、鍼、灸、マッサージの3つの国家資格を取得し、師匠の下で5年間の修行を経て開業とありました。厳しい世界です。一体どれだけの人がここまで辿り着けるのか?師匠が推すくらいなのだから大勢の弟子の中でも見込みのある優等生でしょう。
HPには「痛くなったり悪くなったりしたところを応急処置的に治すだけでなく全身へきめ細かく100本以上の鍼を打つことで体が本来備えている自己免疫や抵抗力を目覚めさせる根本的な治療」という方針が書かれていました。
昨日戴いた本には、師匠自身の鍼灸師としての心構えも。「あいさつ、身なりも治療の一つ、掃除は鍼灸治療の原点、お花は生き物です、メモを取るな、自分に限界をつくらない、治療は時間をかければいいというわけではない、他力本願にさせない、気配を感じる、開業は早ければ早いほどよい、はじめの一歩を忘れない・・・」師匠自身の矜持が伺える内容でした。耳の痛い話ばかりで、そのまま日常生活にもあてはまる感じがしました。臨床で治療をする鍼灸師も治療を受ける患者も体調を改善しようという強い気構えが必須だというのは大いに頷けるところです。
今日の鍼灸師の方は穏やかで柔らかい雰囲気の女性。娘より少し歳上かしら?と思いました。初対面なので前日のいきさつを伝えたら「あの引き戸を開けて尋ねるのは勇気ありますね」と言われました。「たまに訪ねて来る人がいるけれど、大抵は一言で追い返されますよ。鍼は痛いと脅されましたか?でも本まで戴けたなんて、きっと先生も感じるものがあったのでしょうね。」と。
落ち着いていて、にこやかな雰囲気とは対照的に治療に入るとキビキビしてとても手早い。私は診察台に仰向けで横になって、まな板の上の鯉の気分でビクビクでしたが、何の迷いもなく次々と鍼を打っていきました。
HPの治療メニューには、「あおむけで頭の先から足先まで全身に鍼を打ち、うつぶせで同じく全身に鍼を打った後、置き鍼をしながらお灸・遠赤外線で深部を溶かすよう温めます。その後に軽くマッサージをしてから再びあおむけで治療の総仕上げとなる鍼を打ちます。」と書いてありました。
予習はしてあったものの、肩、腕、お腹にも次々と直径5ミリほどの金属製の筒を皮膚にあててトントンと鍼を打つ様子に「ひぇ~」と思う間もなく直ぐに次へ・・お腹周りなど見えるだけにオソロシイ。無数の鍼が刺さったハリネズミのような自分を思い浮かべました。10本に1本くらいはズキっと痛みが出るのもあり、奥深くの神経に触れるような感覚も。でも次の瞬間には痛みが消えていました。そうだ「鍼は痛いよ」って昨日の師匠が言ってたっけ、と今更ながらに思い出しました。
その後うつ伏せに。首、肩、背中、足 腰だけでなく頭にも。「頭にも刺さるんだ!」と変に感心。
腰がじんわりと暖かくなったので「これ何ですか?」と聞いたらお灸とか。本の写真には8センチくらいの長い針の上に2センチくらいの団子にしたモグサを刺して燃やしているのがありました。そして再び仰向けに。なんだか網焼き魚の気分です。仕上げには顔にも。瞼やこめかみにも。最後の顎の脇が痛かった・・それも数分後には痛みが消えていました。「日頃から歯を食いしばっていたんですね」と言われました。
私は採血や注射の時も針をじっと見ていられますし、骨折手術の縫合の抜糸も何針か数えていました。以前通っていた手指の鍼も指2本に20本ほど刺しているのを眺めていました。でも今回は全身どこに刺されるかがわからないだけにドキドキでした。所要45分、指圧と違って運動量の負荷が少ないという点で男女差なく施術出来ると思いました。
治療の後の待合室には、温かいお茶。いつの間に用意して下さったのでしょう?!ようやく治療が終わってホッとした気持ちと有難く戴いたお茶で心もお腹もホカホカに。帰り道は腰回りが暖かく、あちこちの関節が油を刺したように滑らかになったのを感じながら足取り軽く帰途につきました。
帰宅後は気疲れしたのか、ぐったり。早めに就寝して爆睡。
翌日にはスッキリ元気いっぱい、と思っていましたが甘かった。関節は滑らかに動くようになったのに、指圧後の揉み返しのように全体がだるく頭が痛い。こめかみと後頭部、目の奥がジ~ンとするような感覚が3日続きました。例の本を見ると鍼灸の刺激で血流が変わり、それまでよりも不調が表面化することがあると。身体が活性化に移行するのに時間がかかるようです。そんなモヤモヤのトンネルを抜けてようやく昨日あたりから体調が落ち着いた感じがしています。
歳をとると筋肉痛も数日後に出ると言われますね。やはり今迄の蓄積した疲れは少しずつ回復していくのでしょう。「ようやく頼りになる拠り所が見つかった」という安堵の気持ちで一杯です。
Categories:雑感

西村 淳
2/6/2021 | 9:08 PM Permalink
投稿ありがとうございます!
五十肩になったときに部分的な皮下の鍼を経験しましたが、どうもそれとは次元の違う話のようですね。私のは痛くなかったけれど鍼を大量に打つと痛点に命中することがあったり・・一寸覚悟が必要なようです。
体調がよくなったようですから、効果抜群、叩けよさらば開かれん、まさに実践でした。
吉田 康子
2/7/2021 | 1:36 AM Permalink
一般的に男性の方が鍼に対して「痛い」とか「怖い」気持ちが強いようですね。先日私の治療の前に来ていた患者さんは、私と同世代の男性でした。意外な感じがしましたが、やはり肩や腰の痛みは鍼の一瞬の痛みには代えられないものなんでしょう。
鍼は確かに痛みを感じる瞬間がありましたが、その後の回復を考えると今後も定期的に通って体質改善を目指したいと思っています。