映画『バベットの晩餐会』を賞味する
2016 DEC 29 6:06:36 am by 野村 和寿
久しぶりに、映画『バベットの晩餐会』をみました。この映画、もう30年も前のデンマーク映画(1987年公開)なんですが、グルメ好きにはたまらない映画です。圧巻なのはクライマックスの食事のシーンです。貧しい寒村で、干した塩鱈(たら)を戻したスープをごく少しのパンにひたして日々の食事をする人々。ウミガメを調理すると聞いて、なにがなんでも食事の間に食事の感想を述べ合うのを一切辞めようとする村人たち。それが、パリからやってきた女性シェフの料理をひたすら黙っていただきます。料理は、ただもうそれだけで人を幸せにするということが、映像に満ちあふれていて、観ているだけで、こちらも幸せになってきます。
今回観て、改めて細部に気がつきました。食前酒アモンティラード(スペインのシェリー酒)とウミガメのスープ、シャンパン ブーブ・クリコと前菜 ブリニのデミドフ風(自家製のビスケットの上に、キャビアとサワークリームをのせたもの)、うずらのパイ詰め石棺風(うずらのフォアグラ入りパイ包み)とブルゴーニュの赤ワイン クロ・ヴージョと組み合わせの妙と、食事には食後酒と珈琲まで、流れというのがあるんだなということを思いました。
1,海がめのスープ 飲み物はアモンティラード
2,キャビアのドミドフ風ブリニ添え
飲み物はヴーヴ・グリコ(1860年の シャンパン)
3,うずらのフォアグラつめパイケース入りソースペリガール
飲み物はクロ・ヴージョ1845年
4,季節の野菜サラダ
5,チーズの盛り合わせ カンタル・フルダンベール フルーオーベルジュ
6,クグロフ型のサヴァラン ラム酒風味
7,フルーツ盛り合わせ マスカットなど、色んなの。
8,コーヒー
9,コニャック フィーヌ・シャンパーニュ
公開当時、以前銀座にあった「ホテル西洋銀座」の企画で、「映画と同じコース料理をいただく」というイベントに参加したことがありました。「うずらのパイケースフォアグラ詰め」の味は、サクッとしたパイの食感とともに、うずらの嘴(くちばし)までいただいてしまったことを今も覚えています。
**映画に出てくるお酒について**
*アモンティラード スペイン・アンダルシア産の酒精強化シェリー酒です。白葡萄からソレラ・システムという独自の方法で作られます。日本でも成城石井などの高級スーパーではみかけます。ボクも飲んでみましたが、日本人には甘ったるくて、しかもアルコール度が高いので、そう何杯でも飲むというよりも、食前に1杯だけいただくという感じです。
*ヴーヴ・クリコVeuve Clicquot Ponsardin
日本でもすでにおなじみになったシャンパンで,ヴーヴクリコジャパンから販売されています。あまり知られていないのですが、この会社の上部会社はLVMHエルヴァエム・アッシュ・モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンという名前のコングロマリットで、つまりは、ルイ・ヴィトンが親会社なのです。この会社には、ほかに、ヘネシー モエエシャンドン ドンペリニオンなどを傘下に収めています。なあんだ! 同じ穴の狢かと最初、ボクも最初思いましたが、こうした傾向は、スイスの時計メーカーにもいえることで、たとえば、オメガやブレゲ、ブランバン、ハリー・ウィンストンも、上部会社は、格安時計メーカー スウォッチの傘下にはいっていることなどとともに、ブランドを維持していくためにはしょうがないのかもしれないな、と最近思うようになりました。
『バベットの晩餐会』1987年 デンマーク映画 監督/脚本 ガブリエル・アクセル 製作・ボー・クリステンセン 原作・アイザック・ディネーセン
出演 ステファーヌ・オードラン ビルギッテ・フェンダースピール ポディル・キュア 撮影・ヘニング・クリスチャンセン
* 原作者のアイザック・ディネーセンは、本名をカレン・ブリクセンといい、デンマークのアイザックと称していましたが女流小説家です。「アフリカの日々」という自伝的小説がありますが、こちらも、『Out of Africa(日本名 愛と哀しみの日々)』という題名で映画になりました。ロバートレッドフォードとメリル・ストリーブ主演で1985年、映画になりました。とてもいい映画でした。こちらも、のちのち語ることになるかも知れません。
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