旅する哲学 南イタリア・ナポリへその④考古学博物館
2017 JAN 27 4:04:46 am by 野村 和寿
過去の何が<人間>の観念を拡大し、さらに美しいものにすることができたのか。何度も何度も、過去の偉大さに思いをめぐらすことで力を得、人間の生とは素晴らしいものだという感覚に触発されて、目覚めた何人からの人間がいたのだ。 ニーチェ
ナポリにいったら行ってみようと思っていた国立考古学博物館に行ってきました。ナポリの考古学は、主にフランスのナポレオンがこの地をおさめていた頃に始まるようで、それでか、フランス人の団体が非常に多かったです。すごいのはお城のような建物に、ポンペイや、ファルネーゼから発掘したブロンズや大理石ぞうがまことにおびただしく、ちゃんと見ようと思ったら、たぶんまったく1日ではすまない量でした。ぼくがとりわけ面白かったのは、大理石の石像の顔が、現代のイタリア人とさほど変わらないことでした。どうも、昔の人の像をみて、見学者をみると、あまりにも似ている人が多くて、これがイタリア文化のプライドなんだろうなと思ったりしました。それはそれとして「どこみてんの?」
ナポリ国立考古学博物館のいちおし。紀元前33年に、マケドニアのアレキサンドロス大王(3世)が、ペルシャのダリウス3世をやぶったイッソスの戦いを描いたモザイク画です。なにしろ、はじめて、当時最強といわれたアケメネス朝ペルシャ(今のイラン)を破ったヨーロッパ方の王様として有名なわけで、これはまさに、今の世界情勢にも通じる根が深いお話です。もちろん、このモザイク画の周囲にはいつも人だかりができていました。ヨーロッパが強いという人々が確かめたいのでしょうか?この絵の中には、ペルシャの女性の姿や、大王のわかいときの戦いぶりも描かれています。もともとは、あのポンペイから出土されたものだそうです。きょうはこれから、そのポンペイにいってこようかと。
国立考古学博物館の「順当な」写真です。まるで生きているみたいなアグリッピーナの王女の像です。アグリッピーナは、ヘンデルが後年オペラにしています。その周囲を歩いているイタリア人でどこか似ていると思った人がたくさん、像になっています。なんか西欧の文化みたいなものを、しみじみ感じてしまいました。
ポンペイから出土した夫婦のモザイク画です。まさに鮮明そのもので、しかも、なんというか、夫婦の絆みたいなものまでわかるような。こうした文化が一瞬のうちに埋まったのですから、すごいです。ナポリ国立考古学博物館はトイレもちょっと面白くて、男女別々ですが、日本でいえば、女性のトイレのように、男性のトイレでさえも、個室しかないのです。なにか不思議でした。
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