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ラーメンに殉じた求道者たち

2020 NOV 20 7:07:12 am by 松下 寛

こんにちは松下です

東さんにラーメンネタを振られたので
これはソナーズクラブの掟としてレスしないといけないな、と感じ入りアップいたしますね(笑)

さて僕のラーメン行脚は思い出すところ
1980年代に発刊された山本益博氏の「東京味のグランプリ200」からだと思います。
(まだこの赤い本を僕は手元に大事に置いています)

この本はそれまでヨイショの提灯記事しか掲載されていなかったグルメガイド本に対抗し
きちんと本人が覆面で取材し 
料理やサービスに対する評価を良い点も悪い点も下して記述したという点で
画期的なものと考えています
(その分 当時の料理人には随分と恨まれたようですが)

同書には寿司とか鰻とか天婦羅なんか名店も紹介してあるのですが
当時はお金のない貧乏学生だったので縁がないと諦め
手に届くラーメン追求の決心し
ガイド片手に都内のラーメン屋を求めて行ったことのない地域を探訪していました
東京というのは巨大な田舎の集合体です
行ったことのない地域を地図を頼りにラーメン屋を探し当て
新しい味わいに驚き感動すると これはやめられなくなりました

それらの多くは日常食の延長としての普通においしいラーメンでした
地域の風情と相待って 昭和の雰囲気を一緒に食するという感じでしたね

ところがその中に次元の違う味の妙味を感じさせるお店が何店かあったのです
中国の麺の日本的な変種として戦後に発生して昭和の世代の日常食として普及したラーメン
ひそかに職人がクオリティを追求して
食としての芸術性と言えるレベルまで高めたものが生息していたのです

いわば
美川憲一や水前寺清子の演歌を日常的に楽しんでいる中で
ひそかにフィーシャーディスカウが石川さゆりに変装して「天城越え」を唄っているようなもの
崩壊しそうな不倫の恋の下でのアイデンテティを必死に堰き止めようという葛藤と苦悩
演歌の枠をはみ出しそうな表現を盛り込んでしまった とでも言った感じでしょうか

皆さんがよく知っている人口に膾炙している例としては
藤沢の支那そばやの店主 佐野実さんなんかがそうでしょうね
彼のウィキべディアを検索すると 
食材の選択や製法に対する尋常ならざるこだわりがみてとれます 
「ラーメンの鬼」との異名もうなずけるものがあります

僕は本店を訪問する機会は失ってしまいましたが
自宅近くの支店で食べたときには
麺やスープ 具といったそれぞれの食材が各々の風味 食感 味わいにおいて練り上げられ
パートごとの美味しさを主張しつつ 
全体としても一杯の丼としての調和した味わいを形作っていることに唸りました
これは良質な室内楽や室内オーケストラの演奏を聴いた時の感動に比肩するものです

日本というのは面白い国だと思います
かつては中国麺の変種として町中華の日常メニューだったラーメンを
独自に追求し オリジナリティあふれるジャンルとして確立してしまう
料理でも他にも枚挙のいとまがありません
コロッケ然り とんかつしかり カキフライも
ナポリタンも 明太子スパも 各種の変種カレーも
原産国の料理をモディファイして 全く違うものを追求して作り上げ
しかもその追求の仕方が半端ない 命をかけて道として追求する
またそれを理解する お客さんがいて フォローするものだから
追求の度合いに拍車がかかる
(佐野さん 実際に命を落としてしまいましたからね 残念)

その一方では
ミュンシュの幻想みたいに爆演系のこってりむっちりのラーメンも
発展して それも熱烈な支持を受けている
この振り幅の大きさを俯瞰すると ラーメンの全体構図が面白くてしかたない
(吉村家を起点とする家系 二郎系 背脂の土佐っ子系 なんかです
 でもよる年並で さすがにこれらは最近はご無沙汰ですが)

たかがラーメンなんですが
一杯の丼の中には 魅惑の小宇宙が存在しています

皆さんもご興味あれば 探訪してみてはどうでしょうか
ただし選択肢を間違うと 血糖値やコレステロールが急上昇し
次回の食事が食べられないという事態に発展しますので
ご注意ください
(僕の自己紹介さんで推薦しているお店はひとまず大丈夫です)

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