新撰組外伝 公家装束 Ⅱ

 夜半、島原に通じる道を影が落ちるほどの明るさで月が照らしていた。  一人の公家が早足で歩いていたが、人気のない辻で歩みを止めて後ろを振り返った。しばらく虚空を見つめていたが、体を反転させて両手をダラリと下げた。 「何用 … 続きを読む 新撰組外伝 公家装束 Ⅱ