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東北海道の物語、その2(最果ての街、根室)

樺太北緯50度、日露国境の碑

樺太北緯50度、日露国境の碑

根室、花咲の車石

根室、花咲の車石

タクシーで厚岸に近い茶内の無人駅まで送ってもらった。ここから再び根室本線に乗って、東に向かう。

根室は日本の最東端にある正に最果ての町である。この最果ての寂寥感が好きで筆者は数回根室を訪れている。根室本線がゴトゴトと終点根室駅に到着したのは夜7時前だった。予約していた駅から徒歩数分の”イースト・ハーバーホテル”にチェックイン。ホテルに聞いて、まずは地元の魚がおいしい居酒屋へ。根室の魚はうまい。採ってすぐに居酒屋へ持ってくるからだろう。さんま、ブツ等、期待通りの味に大いに満足。そのあとはショット・バーに行った。一人で地方都市に行くときはショット・バーがいい。できるだけ行くようにしている。地元のショットバーのマスターとじっくり話し込むのだ、その地方の風土を実感できる。一人旅の魅力だ。今回もPというショット・バーでマスターと盛り上がった。

マスター「安倍ノミクスと言うけれど、根室では全く実感できません。根室の人口は2万数千まで減ってきています。昭和40年代は5万弱まで行ったんですけどね。北方領土は早く解決してほしいです。戦前の根室は、それはそれは千島との交流でにぎわったそうです。千島が帰ってこない限り、根室はやっぱり最果ての街です。これ以上、先に行くところがないのですから。宗男さんが、もう少しで歯舞・色丹だけでも解決寸前まで持って行ったのに田中真紀子がこわしちゃった。俺も根室生まれでずっと根室にいるの、根室が好きでしょうがないです、今47歳ですけど、えー、お客さんは今年還暦!若く見えるねー、55歳くらいかと思った(客へのワンパターンお世辞)。」

筆者「僕は亡くなった中川昭一の友達だったんだけど、昭一の評判はどうなの?」

マスター「お父さんの一郎さんの人気はすごかったけど、昭一さんは選挙区が変わって関心は十勝に移ってしまいました。根室ではやはり宗男さんです。」

バーには筆者以外に、筆者よりはかなり年上の親父が一人いた。バイクで北海道を回っているらしい。バイク親父とも適当に会話する。そこで40歳くらいのまずまず美貌の女性が入ってきた。マスターの対応は筆者やバイク親父とは違う、うーん、これはマスターと特別の関係だな、とすぐに気付く。女性も会話に参加してきた。

女性 「地方はやっぱり、何かを持ってきてくれる政治家がいいのよ。宗男さんは良かった、捕まって可哀そう。根室は人口も減ってきて、2つある公立普通高校も、生徒不足で近々ひとつに統合されるのよ、私は中標津生まれだけど、もう根室に住んで20年、いいところです。でも悲しいことに、最近は根室は病院も駄目、病院の建物を新築しても、いい医者が来てくれないんです。」

マスター「そうなんです。最近の根室の医者の質はひどいもんです。診断が全く信頼できない。これではわざわざ釧路まで行かざるを得ない。釧路も結構遠い(根室本線で2時間強)ので不便です。」

筆者「僕は根室は好きだけどなあ、もう少し観光をアピールしたら、日本の最東端、最果てのの街、いろいろ売り込めそうだけど。」

マスター 「市が下手なんですよ。根室には”車石”という奇岩もあるんですよ、こんな光景は日本では根室にしかありません。」

その後、バイク親父は明日も飛ばすぞ、とか言いながら退散。いろいろな話題で3人でかなり盛り上がった。気づけば12時を回っていた。2人を残してホテルへ帰った。

次の日曜日も天気は良かった。ホテルの部屋からは国後島の”爺爺岳”が見えた。運がいい。レンタカーを借りて、まずは「歴史と自然の資料館」に向かった。根室の歴史を覗いて見たかったのだ。資料館では管理主査が親切に説明してくれた。

「根室は、明治政府が蝦夷地を北海道と改め、北海道を函館、札幌、根室の3つの県に分けた時(明治15年~18年)の県庁所在地だったのです。千島への中継基地として栄えました。明治の中頃には、札幌、函館、小樽に次ぐ、北海道第4の都会だったのです。しかし、昭和20年7月の空襲で旧市街は完全に破壊されてしまいました。昔の道東の本府としての面影が残っていないのは、その為です。歴史に興味がおありなら、この資料館には、戦前の樺太の日露国境(北緯50度)の碑のオリジナルがありますよ。見て言って下さい。」

親切な係員だった。根室の寂しい歴史が良くわかった。資料館を出ると、近くにある、昨晩のマスターお勧めの”車石”をせっかくなので、見に行った。確かに、日本ではあまりお目にかかれない奇岩である。20年程前に、北アイルランドで見た、”ジャイアント・コーズウェイ”に良く似ていた。

根室の観光はここまで。レンタカーで道東を南から北に縦断して、女満別を目指すことにした。(続く)

 
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  1. 中島 龍之

    9/11/2014 | Permalink

    一人旅で、居酒屋で根室の魚で一杯はいいですね。その後ショットバーで地元の人と話す、これが旅行の醍醐味ですね。北海道、行きたくなりました。