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緒方監督は松田オーナーの傀儡である (全面改訂済)

2015 OCT 11 2:02:16 am by 東 賢太郎

カープにはメジャーのエース級投手が二人もいる。そのメジャーの投手を日本の1軍で7試合しか投げたことのない人がコーチしている。世界珍百景の一つだろう。

1軍ベンチで暗い顔をした緒方監督をとりまく畝、永田、迎、玉木というコーチたち。長年半端でないカーブファンであった僕ですら一軍選手として見たのは迎の数試合ぐらいで、他の3人は皆無であり名前すら知らなかった。コーチというのは選手に教える人のことのはずだ。実に奇怪なことである。

ということは彼らが一軍選手にコーチと認識されていることは極めて非現実的であり、会社でいうなら監督の秘書のようなものと思われているだろう。だとするとカーブのベンチ内には秘書室があるのであり、緒方は目には見えない壁に囲まれた社長室にこもって選手との会話は秘書の仕事なのだ。だから秘書として自分に尻尾をふらない新井コーチは邪魔な存在だったのだろう。

コーチの面々が秘書室従業員なら緒方はよくて打撃コーチ程度の人材だが、その打撃のコーチングならイチローを育てた新井コーチが格段に上だ。上司になっているのに新井に嫉妬してしまうだけでもこの人は単なる打撃バカであり、それしか拠り所がないと自分で思っている自信のなさを露呈してしまっている。昔の相撲とりは何をきいても相撲のことしかわかんないっすと言ったが、緒方にはあのイメージしかない。

打撃しかわからない人が投手をわかる可能性は低いだろう。しかも彼は外野手だ。おそらく打撃以外はコーチ陣に頼らなくては勝つ可能性の低い人なのてあり、それなのにコーチのポストをイエスマンの秘書で固め、格上の打撃コーチは口をきかずに排除してしまう。勝つためのマネジメントどころか、自分の居場所を作るだけに一所懸命の一年だったわけで、我々ファンは緒方君の新人研修に付き合わされた一年だったわけだ。まじめに応援してきたファンのひとりとしてまことに許し難い。

見せしめのつもりなのか新井コーチが育てた松山、岩本は干した。やはり新井が手塩にかけたキクマルは昨年の主力である上にオーナーの関心事であるグッズ売上に関わるためだろう、キャンプで小学生なみのイジメをして服従を強いた上で、逆に二軍落ちレベルの不調でも使い続けた。

研修というのは学習の場であるわけだが、緒方はオーナーの威を借りて我を通し続けただけであって何かを学んだと客観的に判断できる形跡は最終戦に至るまで見当たらなかった。この頑固ぶりはある意味立派なもので、吉と出れば不幸中の幸いぐらいにはなったが、要所要所で見事にはずれまくった。勝負ごとだから運もあるさと庇う人はいるだろうが、むしろ勝負ごとだからこそ彼の運のなさ、勝負弱さが最大の問題のひとつなのである。

公式戦最終戦終了後のこと。皆さんご記憶と思うが、中日に1安打で負けた緒方はファンは無視して一言の挨拶すらせずケツをまくって逃げた。唖然として物も言えない。逃げたつもりかどうかは知らないがそんなことはどうでもいい。ひとりの社会人、人の上に立つ者としての誠意や礼儀作法という、人間としての根本的な問題だ。こういう人間に部下が心服してついていくだろうかという性質のことである。今年は前代未聞の優勝への期待があり、その結果として前代未聞の2百万人の観客動員を果たし、ロードでも球場は常にいっぱいだった。そのしめくくりであって単なる1ゲームの敗戦ではない。

「CS進出のスピーチしか用意がなかった」という、自分は頭が悪いのでという趣旨の弁解コメントを出すこと自体がきわめて頭が悪いが、そこまでされると誰もがそう納得するしかない。秘書にそれを言ってやる知恵のある者もいないのだろう。彼のインタビューは1年通して数回しかきいてないが、見事に事務的で血が通わぬもので、ぼろが出る前に早く切り上げたいという姿しか印象がない。その姿勢の集大成が最終日に出た。

ファンには野球はできなくてもマネジメント経験が長く、挙動から一発で人格を見抜く者は大勢いるのである。広島県人ではないが、市民球団から頑張ってきたカープを長年応援してきた人にはそういう方も多い。そのひとりとして僕は自信をもっていえることだがこの人の言語コミュニュケーション能力は、12球団監督の中でも歴代監督と比べても際だって低い。我は強い。他人の言うことはきかない。予言しておこう。こういう人は必ずヨイショマンだけに囲まれるようになっていき、裸の王様になって滅んでいくだろう。

ファンは捨て置いてオーナーに報告にはいく。サラリーマンとして見事な行動である。オーナーが成績の不出来を責めた様子はない。任命した自分に責任が飛び火するからだが、それだけではない。監督就任は有望な選手をFAで引きとめる切り札だから1年で切ったりする前例は作りたくない。監督5年保証はいまやカープ株式会社の安定経営の根幹を担う重要な経営戦略の一翼を担っているようだ。ファンが何を叫ぼうが、来年最下位に低迷しようが、経営のカードである緒方がクビになることは絶対にない。

ここで皆さんの注意を喚起したいのが楽天イーグルス球団で今年おきたことだ。楽天は昨年ファンの反対を押し切って大久保を監督にした。オーナーの忠実な小間使いとしてだ。そして大久保を傀儡としてスタメン、選手起用から1、2軍の入れ替えまでオーナーの現場介入が始まった。選手の士気は地に落ち、楽天はぶっちぎりの最下位でシーズンを終えた。大久保は最後までいたがクビ、コーチの田代は自ら途中で退任した。

楽天の三木谷オーナーの場合は稚気あふれる野球ごっこがしたかっただけで、同じことを彼はサッカーでもやっている。経営者のオモチャにされることを現場がどれだけ嫌うか、プライドを傷つけるか、素人にはわからないことを楽天は少し学習しただろう。そして学習能力は高い彼らは今後は広島球団モデルを指向していく。なぜならそれはプロ野球界に12個しかない、相撲でいうなら「年寄株」を有する特権をしゃぶり尽くす手法として広島球団が長年の試行錯誤を経てたどりついた究極の経営ノウハウだからだ。

注目すべきは楽天は大久保監督を切ったことだ。ということは大久保は三木谷オーナーの小間使い、伝令係ではなかったということだ。小間使いに責任という物はなく、監督の指示をマウンドに伝えに行く伝令がその通りやったら打たれて負けたといって批判されることもない。大久保はそんな存在ではなかった。だから結果責任は問われた。でもオーナーの顔色は読んで、選手のプライドを損なわんように、うまいこと遊ばせてくれよな、もし優勝でもしたらオーナーの采配アドバイスが効きましたぐらいは持ち上げろよなという存在だった、と想像されるのである。

大久保のような存在を影法師、または傀儡(操り人形)と称する。大久保はいろいろあったが、野球に関しては真剣だったし勝とうとしていたと思う。成績さえ残せば傀儡政権は安泰だったろう。しかしオーナーの現場介入に選手の側に立つコーチの田代が切れてしまった。体を張ってる選手が素人の口先ひとつで人事異動のように二軍に飛ばされるような環境でやる気になるはずがない。

一見して楽天ほどひどくは見えないが、広島カープにも似たことがおきていたのではないか。新井コーチは緒方を使うと決めたオーナーにとっても邪魔になり、緒方の責任であった打撃不振の格好のスケープゴートとして辞めるはめになったのではないか。カープには楽天の田代のようなコーチはいない。だからそれを雰囲気で感じていた野手陣の士気は楽天以上に初めから地に落ちていたのではないか。その害毒が黒田、ジョンソン、新井の加入で薄まって、見えにくくなっていただけではないか。

それでも2百万人の客が入った。だから緒方は監督としては不細工ではあったが致命的に不適格というほどではなかった。それで大金星なのだ。なぜなら野村謙二郎とソリの合わない黒田が帰ってくるには可もなく不可もない緒方の監督就任は数少ない打ち手のひとつだった。黒田復帰で阪神で腐っていた新井までやる気になってくれ、球場は大いにわいた。それだけで観客動員数十万増のインパクトはあったに違いない。緒方はファンには裏切り者でも球団には功労者なのだ。

3位になってCSに出ていても主催ゲームでない東京ドームでは収入はなく、むしろ選手の契約更改の賃金交渉で不利になっただけだ。マエケンを売った収入でサードとクローザーにちょっと高い外人でも買ってきてお茶を濁せば無邪気なファンなどいくらでも騙せる。来年も2百万は堅いだろうし、今年ぐらい欲求不満がたまった終わりかたがかえって中途半端にCSで敗退するよりよかったというのが経営の本音だろう。

上場企業の役員経験者の端くれとして、僕はその考えを間違ったものとはまったく思わない。合法的に利益が出る以上は企業として筋の通った戦略である。しかし僕は広島カープの役員でもアドバイザーでもなく、単なる市井のファンのひとりにすぎない。ファンとしてどうかということは、松田オーナーが例の阪神戦の誤審の審判団への責任追及について立場を使い分けたのと同じように、僕にも違う立場がある。

畝が黒田について、

「いいよ。ここで終わりにしよう」と言っても、「次に投げる投手は大丈夫なんですか?」と常に聞いてくれます。チーム全体の事を考えてくれるのはチームに対する黒田の気持ちですよね。

と言ったらしい。黒田が心配してるのは緒方とキミの頭のほうだ。

黒田とはいえオーナーの傀儡である緒方に逆らえない。最終戦、自分とジョンソンと福井をベンチにおいているのに、お得意のバカの一つ覚えで「方程式」にこだわって大瀬良を使う。黒田は8回に行く気でいただろうに、それをどう感じただろうか。自分を信じてないと見限ったか、こんなバカの下でやってられんと見限ったか。

あの8回に中二日で投げる。そういう場面でチームを助けるためにこそ黒田はヤンキースの20億円の契約を捨てて帰ってきたんだろう。間違いないと思う。この人生を賭けた決断の重みと、緒方と畝が盲信するちゃちな方程式の重み!アメリカ人にもまれて生存競争を勝ち抜いた男がチームに対する黒田の気持ち」などとのほほんと語ってる能天気な男にそんな理解力があると思うか?チャンチャラおかしくて書く気もしない。

賢い黒田もマエケンも、ここはオーナーが監督なのであり、そこは楽天イーグルスと同じなのであり、その小間使いが指揮官のまねごとを試みて株が暴落しそうなほどベンチの光景を暗くし、そのまた小間使いが投手交代の方程式を愚昧に励行し、一軍でほとんど打ったことのない打撃コーチ補佐が円陣を組んだり投手攻略の指示を出したりしてることを知っている。これは何かの悪いジョークでないなら悪夢でも見ているとしか理解できない。

カープは黒田が監督になるまで優勝など到底ありえないだろう。これだけ学習能力のきわだって低い監督が5年もやれば2、3回は最下位争いも覚悟ということになろう。そんなチームを応援するなど精神衛生上悪く、寿命を縮めるのは必至である。そこで僕はもうある決断に至っている。

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Categories:______広島カープ, 野球

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