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英国の思い出、その1

2015 SEP 1 15:15:05 pm by 中村 順一

英国に滞在したのは1985年から1992年の約6年半の期間だった。僕にとって英国滞在の思い出は、一言でいって、”いいことばかり”である。もう今年で61歳になってしまったが、英国での生活の思い出は61年間の人生でもいちばん良かった頃かもしれない。

まずは何と言っても若かった。御巣鷹山でJALが落ちた直後に日本を離れたのだが、僕は31歳になったばっかりだった。家族は3か月後に呼び寄せたが、子供は息子が3歳、娘はまだ1歳になっていなかった。家内一人で2人の子供を連れてくるのは大変なので、家内の妹にもついてきてもらった。住まいはロンドンの北の郊外にあるサウスゲイトという住宅街だった。一軒家を見つけて借りたが英国らしいいい家で、結局その後6年間一回も引っ越しをしなかった。海外に家族で赴任するのは特に若いときはいいと思う。ほかに頼るものがないので、家族の団結は深まる。最も僕の場合は家内が健康だったのをいいことに、仕事や趣味のゴルフばかりやっていて、家庭のことはすべて家内におんぶにだっこだった。家内にとっても慣れない海外生活、大変だったとは思うが、良く2人の子供を育て、家庭内のことはすべて仕切ってくれた。今から考えても家内には頭が下がるが、僕が英国生活を半分は自己満足的に満喫できたのは、実は家内のお蔭である。この点は家内にいくら感謝してもしきれないところである。

英国は生活はしやすいところである。治安はいいし、気候も日本に近い。気軽に行けるレストランも多く、家が郊外だったので車で10分も走れば、大草原を満喫できた。あえて問題点を言えば、天気があまり良くなく曇り空が多く、いつもしとしと雨が降っていることと、食事があまりおいしくないことくらいか。英国人は一般的に食事を美味しく食べることにあまり関心がない。僕の会社の同僚などは、「ジョニー(僕のニックネーム)、食事は口の中にある時間はせいぜい2~3秒で、あっという間におなかの中に入ってしまう。その2~3秒の為にお金をかけるのはナンセンスだ。食事に高い関心を持つフランス人がどうも理解できない。あいつら、ちょっとおかしいんじゃないか?」などと真面目に言っていた。この考え方の国民が多いのだから、食文化は育ちにくい。

子供たちは、我が家のそばにあった現地校に行っていた。息子はすぐに入校、6年間同じ学校に通った。娘も2歳半から同じ学校に入り、すっかり英国人の子供たちに馴染んでいた。小さい学校で校舎も一般家庭の家屋みたいに小さかったが、ほのぼのとした郊外(田舎)の学校だった。子供たちもこの学校は気に入ってくれて友達もたくさんできた。サウスゲイトはまずまずのレベルの住宅街であり、学校には中産階級の英国人、サウスゲイトに数多く住んでいたギリシャ人、キプロス人、それに日本人など、国際色豊かにいろいろな人種が集まっていた。

海外に住むと日本での生活とは違う習慣に馴染むことがある。そのひとつは我が家に頻繁に人を呼んだり、逆に呼ばれて友人の家に行くということだ。日本ではあまりない習慣だ。よく人を我が家に呼んだ。英国の家は一般的に日本の家より広いし、庭なども整備されている。春から夏は日も長く、庭に出てシャンパンなどを楽しみ子供たちが庭で遊ぶのを眺めたりしてゆったりと時間を使っていた。(家内はディナーの準備をしている訳だが)。日が暮れてくると(もっとも英国では春から夏にかけては極めて日が長く暗くならない。5月6月などは夜10時前まで明るい。)家のダイニング・ルームに入ってディナーとなる。当時、同じ会社の同僚、先輩の家はほとんど行ったし、また我が家にも来てもらった。海外駐在を同じ時期にすると同僚と本当に仲良くなれるが、このような交流を通して、家族ぐるみの付き合いがあったこともその一因だと思う。

あと英国での思い出と言えば、旅行である。夏休み、冬休み、イースター、年末年始、バンクホリデー、あらゆる機会を使って欧州を廻った。ちょっと、これも度が過ぎて、途中からは家内の負担になってしまったくらいだった。自己満足の世界に家族を付きあわせた面がないとは言えず、家内や息子、娘には申し訳ないことをした。ロンドンは欧州のどの街とも飛行機が結ばれており、フライト時間は1~2時間でどこへも飛んで行ける。じっくり行けたという意味では、英国内(含むスコットランド)、フランス、ドイツ、イタリアがやはり一番良かったのではないか。それぞれの国はもちろんロンドン、パリ、ベルリン、ローマ等、首都の大都会はどこも素晴らしい。だが、時間をかけてゆっくり地方を回るのもこれに劣らず素晴らしいのだ。日本から行っても往復に時間と体力を使ってしまうので、なかなかじっくりと田舎を回るのは難しい。でも英国に6年半も滞在すれば、これが簡単にできるのだ。今でもNHK等で昔行ったことのある場所を特集してくれると、嬉しくて昔を懐かしんで見てしまう。

 
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