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英国、ラドローの街 階級社会を覗く

英国イングランドのウェールズボーダー、シュロップシャー州にラドローという美しい街がある。小職は仕事の関係もあり、昨年、一昨年と2年連続してこの町を訪れた。街の中心にラドロー城と教会がある。特に有名な観光地というわけではないが、典型的なイングランドの田舎町で、長い長い歴史を持っている。この地方の人々は英国人としては珍しく、昔から食事への関心が強かったらしい。数多くの3つ星っレストランがあり、美味しい英国料理が楽しめる。

さて、2回往訪し、仕事の関係で友人になったC夫妻の家に一昨年は泊めてもらい、昨年はC夫妻の家のすぐそばにあるローカル・インに泊まった。ともに週末を金曜日からじっくりと使えたので、ラドローの街にはすっかり馴染んでしまった。

C氏は地元の古い上流階級の家系である。パブリックスクールのイートン校を卒業しており、大学もオックスフォードやケンブリッジではないが名門校の出身である。地元のボランティア的な名誉職についており、収入は極めて限定されている。収入は筆者のカウンター・パーティーである金融人のご婦人に頼るところ大である。C氏の両親の家にもお邪魔した。これがものすごい家で領地は見渡すかぎり広がっていた。住宅はお城の様なマナーハウスで英国駐在経験の長い筆者も初めて行くような家で、正に圧倒されてしまった。英国の相続税は日本よりはるかに安いが、それでも最近改定され、増額されたらしく、40%を国に取られてしまうと、不満たらたらだった。日本の相続税の高さを知ったらひっくり返ってしまうだろう。このマナーハウスでイングリッシュ・ティーとスコーンをごちそうになったが、典型的な英国の雰囲気であり、味であり、すばらしく美味しかった。

英国に住むとすぐに気が付くのは、人々の話すアクセントが違うことである。しかもそれは日本のように地域によるアクセントの差では必ずしも無い。日本は関西弁、東北弁、鹿児島弁のように地域によってアクセントが違う。人々の出身階級による違いではなく、純粋に地域差だ。大阪南部に住むお金持ちが、同じ地域の貧乏人と話すアクセントが全く違うということはないだろう。英国の場合、同じ出身地でも階級によって話す言葉が異なるのだ。C氏一家の発音は典型的キングス・イングリッシュであり、小職にも聞きやすい。ところがC氏の運転手P氏は同じラドロー出身なのに、全くアクセントが違う。どうしてそんなことになるのか?英国在住の時から不思議に思えたことの一つだったが、ある日気が付いた。すなわち上流階級と下層階級では普段つきあう人間も違うし、通う学校も小学校時代から違うのだ。だからアクセントに差がでてしまうのだ。

次の年に再びラドローを訪れた。今度は地元のローカル・インに泊まった。インの主人はやたらと筆者に話しかけてきた。C氏の友人だと自己紹介すると、「私もC氏とは長い付き合いだ。お互いよく知っている。私もこのあたりでは有名人だからな。」などと自慢を始めた。C氏に後で聞いてみると、「このホテルの主人も運転手程ではないが、階級は異なる。付き合ってはいない。」とのことだった。確かに話ぶりや教養にはかなり差がある感じだった。C氏の教養はなかなかのもので、歴史が特に詳しかった。筆者も歴史はそれなりに詳しいので、幸いにも意気投合できたのである。運転手のP氏は「C氏の教養はすごい、彼はなんでも知っている。おいらとは住む世界が違うんだ。」と、いわゆるコックニイ英語で語った。インの主人のような背伸びをする感じは全くない、好感のもてる人柄だ。

2回目のラドロー訪問のメーン・イベントは地元の保守党の政治家のチャリティ・パーティーに招待されていることだった。C氏からタキシードを借りて、俄か英国紳士に変身し、これもものすごいマナー・ハウスで行われたパーティーに参加した、インの主人にこのチャリティー・パーティーに行くのだ、というと多少びっくりされた。そして「私も今日のパーティーに招待されている人々はほとんど知っている。私も有名人だからな。」と変な自慢をされた。C氏に言わせると「インの主人はこのパーティーに入れる階級の出身ではない、」とのこと、また、微妙な階級差が出てしまった。インの主人が入れるパーティーではないのだ。

パーティーはすばらしく食事の後は、正に全員で大騒ぎでチャリティが行われた。あらゆる品物が登場し、どんどんと売れていった。日本人で、こんな保守党びいきの上流階級のパーティーに招待されるチャンスはなかなか無い、正にラッキーだった。

日本も階級社会になっている、と社民党や共産党(民主党も)はがなりたてるが、小職に言わせると英国の社会とは全く違う。均一社会に近い。そもそも英国人は生活のパターンも日常の人々との付き合いも、もちろん教養や学歴も全く階級にによって違うのである。話すアクセントで出身階級がわかってしまう。日本ではちょっと考えにくい。

 
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