Sonar Members Club No.22

カテゴリー: 競馬

有馬記念が今年もやってきた

2014 DEC 26 15:15:14 pm by 中村 順一

あっという間に年末になってしまった。今年も、あと一週間もなくなった。さて、競馬ファンにとって年末の盛り上がりは何と言っても「有馬記念」である。今年で第59回を迎える。ファン投票で出走馬を決めるレースで、日本人特有の、年末の盛り上がりの中で行われる大レースだ。筆者の知り合いの馬主に聞くと、一番勝ちたいのは、ダービーでも天皇賞でもジャパンカップでもなく、有馬記念なのだそうだ。一年の締めくくりという意味もあるのだろう。

舞台は中山競馬場の2500M、スタートしてすぐ右回りの第3コーナーになる。今の冬の中山は昔のドロドロ馬場ではなく、芝の整備がいいので、あまり外を回る必要はなく、内をうまく突いてこれる。昭和40年の有馬記念で、シンザンが大外を強襲し、その姿がテレビから消えるほど、外ラチぎりぎりを駆け抜け、ミハルカスを振り切り、競馬の迫力を万天下に示したドラマはもう必要ないのだ。中山は小回りなので, 2500Mだとカーブを何回も廻らなければならない。馬も少し走りにくい。有馬記念は騎手の腕の巧拙がでるのだ。西室兄が、今でもクレームしてくる昭和45年のレースなどは典型で、外を回ったアカネテンリュウが内を突いたスピードシンボリを捉えられなかったレースだった。筆者もあのレースではかなり損をさせられた。

今年はどうなのか。強豪の馬が勢揃いだ。かなり盛り上がりそうだ。G1馬ばかりである。現時点で世界ランク1位のジャスタウェイと2位のエピファネイアが両方出てくる。もっとも最近言われだしたこの世界ランクの概念は筆者には何だか良くわからない。日本馬をちょっと評価しすぎ、という気もする。

有力馬が皆、外枠になった。エピファネイア13枠、ゴールドシップ14枠、ジャスタウェイ15枠である。騎手の腕の見せ所だが、外枠は難しい。折り合いが極めて難しいエピファネイアを初乗りの川田がこなせるか、大レースにはさっぱり勝てない福永が、ジャスタウェイの有終の美を飾れるか、あてにならない大物、ゴールドシップを変則スタイルの岩田が仕切れるか、絶好の4枠になったジェンティルドンナが、苦手の冬の中山の馬場を戸崎の好騎乗でこなせるか、興味はつきない。おそらくこの4頭が1番人気から4番人気を占めるだろう。

中山は東京コースとは違い、何が起こるかわからない。どの馬にもチャンスがある。筆者は内枠の人気薄の馬が狙い目と考えている。28日、日曜日の午後、楽しみですねえ。

Yahoo、Googleからお入りの皆様。

ソナー・メンバーズ・クラブのHPは http://sonarmc.com/wordpress/ をクリックして下さい。

オークス、ダービー観戦記

2014 JUN 5 18:18:57 pm by 中村 順一

オークス、ダービーが終わった。今年は結局あまり盛り上がらなかった、と感じている。オークスではハープスターは勝てなかった。単勝1.3倍の絶対的人気だったが。直線で大外に出したが、最初から爆発的に伸びてくる感じではなかった。おい、大丈夫か、と外に出した途端に感じさせた。ヌーヴォレコルトにクビ差まで迫ったが、突き抜ける感じではなく、惜しいレースとも思えなかった。ハープスターの真価はこれから問われていくわけだが、調教プロセスの失敗かも知れない。凱旋門賞はあきらめていない、と陣営はコメントしているが、行っても勝てないだろう。ガッカリである。

ダービーはもっとつまらなかった。懸念したとおり、枠順の内外の差が大きく出たレースだった。一番人気のイスラボニータは13番枠、勝ったワンアンドオンリーは2番枠だった。逃げ馬のウィンフルブルームが出走取り消し、変わって逃げたエキマエは勝つ可能性ゼロのダート馬、レースはスローペースだった。良馬場だったこともあり、こうなると当然先行馬有利、第一コーナーで先行する好位置を確保しやすい内枠が絶対有利になってしまう。冴えなかったのは期待した牝馬のレッドリヴェールである。これも大外の16番枠、しかも懸念されたとおり、輸送で消耗していて馬体が8キロ減、スタート前から無理だなとわかってはいた。しかし、ガッカリしたのは福永祐一である。タラタラ後方から付いていくだけで、戦闘意欲すら感じさせなかった。内のいい位置が取れず、前の方で競馬ができなかった、と言っているが、もう少し何とかしろよ、という騎乗だった。牝馬が大外から突き抜けられる訳ないだろ。どうやらダービー前の第8レースの青嵐賞で斜行し、またまた騎乗停止になり(今年の祐一は全く騎乗停止ばかりだ)、来週の安田記念でジャスタウェイに乗れなくなって、意気消沈していたのではないか。全くさえない話である。ワンアンドオンリーの横山典は内をうまく回った好騎乗だった。今年は騎手の手腕の差が出た。イスラボニータは惜しい2着、蛯名はまた勝てなかったね。まだ今年の3歳牡馬はどの馬が最強かは答えは出ていない。秋のレースを待ちましょう。

しかし、ここまで馬場が昔に比べて良くなり、内でも馬場が荒れていない現状を見ると、やはり内枠がどうしても外枠に比べて有利になってしまう。阪神競馬場の1600M外回りコースなどは例外なのだが。騎手によっては、内枠と外枠の差はあまり意識しない、と言っているケースもあるが。僕はそう思わない。少なくとも東京競馬場の多頭数の2000M,2400Mは外枠はダメなのだ。

オークス、ダービーともに馬券は取れなかった。捲土重来である。先週、今週と国内、海外出張が続き、観戦記の投稿が遅れて申し訳なし。

 

オークス、ダービーの季節

2014 MAY 20 14:14:08 pm by 中村 順一

オークス、ダービーが行われる東京(府中)競馬場

オークス、ダービーが行われる東京(府中)競馬場

オークス、ダービーが迫ってきた。競馬が盛り上がるシーズンである。春の3歳馬の頂点を決めるレースであり、長い歴史がある。オークスは第75回、ダービーは第81回である。両レースとも戦前からの伝統があるのだ。距離は2400Mのクラシック・ディスタンス、東京府中競馬場のスタンド前からのスタートだ。各馬はスタートしてすぐ左回りに回っていくことになる。昔のダービーは今よりも出走頭数が多く(昭和30年代までは32頭、その後長い間28頭)、スタートの枠順が極めて重要だった。大外では、勝利はまず不可能とまで言われていた。ハクシヨウが勝った昭和36年のダービーで、不利な大外32番枠から直線強襲し、惜しくも鼻の差で2着のメジロオー、ダイシンボルガードが勝った昭和44年のダービーで、大外27番枠から果敢に逃げ、惜しくも3着のハクエイホウ、等々、枠順を巡るレース展開の議論は、昔からダービー、オークスに付いてまわってきた。現在は出走頭数が18頭までに制限されたので、昔ほどの内外の差はないが、やはり、内の方がかなり有利である。

既に寄稿済みだが、牝馬のみのオークスはハープスターがぶっちぎり人気だろう。2番手の馬は評価が分かれる。あまりにもハープスターの存在が大きいのだ。牡馬に交じっても最強かも知れない。ただ、待てよ。3歳牝馬のレースに絶対はない、とよく言われる。例えば2004年のオークスだ。4戦4勝のダンスインザムードが絶対的本命で単勝はなんと1.4倍だった。しかしレースはダイワエルシエーロが勝ち、ダンスインザムードは何と4着。先行策を採った福永祐一の好騎乗だった。ダンスインザムードはパドックから、明らかに入れ込み、発汗していた。自分に負けていたのである。今回もハープスターは自分さえコントロールし、実力を発揮できれば、相当の確率で勝てるだろう。当日は枠順とパドックでの体調に注意したい。追い込み一辺倒なので、先行馬がひょっとしたら番狂わせも、という予想もあるが、府中は直線も長く、あまり心配していない。距離の壁があるかも、という心配もあるが、それはどの馬にとっても初距離であることには変わりなく、血統的には問題なさそう。大外枠になって、外ばかり廻っていると内の馬に逃げ切られる心配はあるが。筆者のハープスター以外の注目馬は、良血のサングレアルとレーヴデトワールである。ただレーヴデトワールは賞金が足りず、出走できない可能性が高い。桜花賞が5着だったのが惜しまれる(4着迄、オークスに優先出走権)。

ダービーはオークスの次週。何といっても、競馬界の頂点といっていい、お祭りの大レースである。本命は皐月賞馬のイスラボニータだろう。6戦5勝、2着1回の堂々たる成績、ただその一回の敗戦はハープスターにぶっちぎられているので、どうも印象が悪い。2番人気は皐月賞2着のトウザワールドだろうが、こちらも弥生賞でやっと勝ったりしており、絶対的な強い印象がない。要は牝馬に比べると混戦ムードとも言えるのだ。予想は難しい。これから各馬の調教をじっくり見て、枠順、当日のパドック等、見極めていく必要がある。注目は既に寄稿した、牝馬のレッドリヴェール。小柄で馬体のキープがポイントだが、桜花賞の後もカイバの食いはしっかりしており、体調は良さそう。福永祐一がうまく乗れば、牝馬のダービー馬誕生もあり得よう。

皆さん、是非この2つのレースに注目してください。

面白かった春の天皇賞

2014 MAY 7 15:15:31 pm by 中村 順一

春の天皇賞、ゴール前のデッドヒート

春の天皇賞、ゴール前のデッドヒート

春の天皇賞が5月4日の日曜日に京都の淀競馬場で行われた。春の天皇賞は3200MでG1レースでは最長の距離である。明治からの帝室御賞典に繋がる長い長い伝統を持つ古馬の最高峰のレースであり、数えきれない程の名馬を輩出してきた。

ところがである。最近はこの春の天皇賞の地盤沈下が激しい。これは3歳馬クラシックの菊花賞にも言えることなのだが、どうも最近の馬主や調教師は長距離のレースを敬遠する傾向になってきた。これは実は世界的な傾向である。競馬のスピード化が進んでいるのだ。英国でも伝統のある3歳3冠レースの最後を飾るセント・レジャー(約3000M)には超一流馬は関心を示さなくなった。どの馬もセント・レジャーの直後にあるパリの凱旋門賞を目指してしまうのだ。日本でも1990年代からスピード化に対応する為に、いわゆるクラシックディスタンス(2400M,ダービー、オークス、ジャパンカップ、凱旋門賞等)と並び、より短い距離の成績が重視されるようになり、短い距離の競走体系が整備されてきた。秋の天皇賞は2000Mに距離短縮され、3歳馬の出走も可能になった。馬を消耗させる3000Mの菊花賞にわざわざ出走させる必要は無いのだ。安田記念(1600M)、マイルチャンピオンシップ(1600M)、スプリンターズS(1200M)、高松宮記念(1200M)等短い距離のGⅠも盛りだくさんである。長距離のクラシックの重要性は薄れ、どの馬も目指したいレースでは既になくなっている。筆者のような古い競馬ファンには寂しい限り。昔はどの馬も菊花賞、天皇賞を目指し、長距離をどうやって克服させるかが、騎手の腕の見せ所だったのに。長距離レースでの、淀競馬場の第3コーナーの坂の攻防は本当に面白かった。最近の春の天皇賞など、筆者としては、まったくつまらない、もう「古馬オープン長距離特別」とか冴えない名前に名称変更すべし、とまで考えていた。
 
ところが、今年の春の天皇賞は久しぶりに盛り上がった。ダービー馬キズナ、いくつものクラシックを勝っているゴールドシップ、惜敗続きだが復活してきたウィンバリアシオン、ダービー2着で去年の春の天皇賞を勝っているフェノーメノ等が出走してきた。出てこなかった牡馬の有力古馬(中長距離型)は去年の菊花賞馬のエピファネイアくらいである。エピファネイアは天皇賞を回避して香港で出走したが、ダサいことに4着に敗れていた。
 
レースは最後の直線のデッドヒートが凄かった。フェノーメノ、ウィンバリアシオン、ホッコーブレーヴ、キズナが叩き合った。ゴールドシップは出遅れて7着に惨敗。勝利はフェノーメノ、前走の日経賞で5着に敗れていたが、豪華メンバーを相手に見事に復活した。1番人気のキズナは伸びずに4着。
 
昔の天皇賞を思い出させる迫力だった。敗れたゴールドシップは、筆者は好きでない血統なのだが、遥か昔の天皇賞馬メジロアサマ、ちょっと最近の春天皇賞連覇馬メジロマックイーンに繋がっている。メジロアサマが絶対本命のアカネテンリュウを破った天皇賞、メジロマックイーンが無敗の天馬トウカイテイオーを破った天皇賞を思い出した。
 
残念ながらその後、キズナが骨折したことが発表された。全治6か月という。10月の凱旋門賞は当然出れない。復活できるかどうかも5分5分だろう。最も痛いのはキズナのお蔭で、少しずつ再び競馬社会のメインプレイヤーとして再認識されだした武豊ではないか。また干されるかも知れない。
 
フェノーメノは秋の日本国内のレースを目指すという。何れにしても、久しぶりに長距離レースの醍醐味を楽しませてくれた名レースでした。
 

春の競馬、3歳クラシックシーズン, 牝馬強し

2014 MAY 1 14:14:20 pm by 中村 順一

ハープスター

ハープスター

桜花賞でのハープスターとレッドリヴェールの競り合い。

桜花賞でのハープスターとレッドリヴェールの競り合い。

春の中央競馬が盛り上がるシーズンである。3歳クラシックは既に桜花賞、皐月賞が終わり、これから5月末、6月初めのオークス、ダービーを目指していくことになる。

でも、今年の牡馬戦線はちょっと盛り上がりに欠けている。皐月賞はイスラボニータとトウザワールドのたたき合いでイスラボニータが制した。この2頭が現在の3歳牡馬で最強と言ってもいいのだが、このイスラボニータは、去年の夏、新潟2歳ステークスで牝馬のハープスターに、3馬身もぶっちぎられて負けているのである。まだ古馬との対戦が無いので、確定的なことは言えないが、今年の3歳牡馬の迫力は去年のキズナやエピファネイアにはかなり劣ると見て間違いないだろう。

じゃあ、牝馬はどうなのか。これは相当のハイレベルである。桜花賞を勝ったのはハープスター、僅差の2着がレッドリヴェール。昨年末の阪神JF(GⅠ)ではレッドリヴェールがハープスターを負かしている。ハープスターは5戦4勝、2着1回、レッドリヴェールは4戦3勝、2着1回である。お互い他の馬には負けていないのだ。

特にハープスターが強い。父はディープインパクトで、祖母が桜花賞、オークスを勝ったベガ。馬群を抜けてくる迫力は特筆もので、最近にない最強の迫力。ダービーに行ってもかなりの確率で勝てそうである。しかし、陣営はダービーではなくオークスに向かうと言う。オークスを勝った後は10月のパリでの凱旋門賞だ。確かに凱旋門賞は3歳牝馬が特に斤量に恵まれている。昨年はフランスの3歳牝馬、トレヴが勝ったが、斤量は54.5kgだった。それに比べて、惜しくも敗れた日本の古馬の牡馬であるオルフェーヴルの斤量は59.5kgだったのである。ハープスターがこの後、精神的に成長できれば勝てるチャンスは十分にありそう。騎手は今までは一貫して川田将雅が乗っているが、フランスでは、また欧州出身の騎手に替えるんだろうなあ。

ではレッドリヴェールはどうするか。こちらはオークスではなく、ダービーに向かうらしい。追い込みに迫力があり、重馬場もこなす相当の実力馬だが、410キロ台の小柄な馬で、レースに使った後の回復に時間がかかる。オークスより一週間後(6月1日)のダービーの方が調整しやすいとのこと。父はステイゴールド、騎手はC.ウィリアムズ、岩田康誠、戸崎圭太と変わってきたが、今般、ダービーでは福永祐一騎乗と発表された。今年の福永は一昨年のワールドエース、昨年のエピファネイアほどの牡馬の乗り馬に恵まれていない。この段階でのGⅠ勝利馬への騎乗依頼はラッキーだが、祐一は牝馬には強い。ハープスターがイスラボニータをぶっちぎっていることから考えると、ひょっとしたら、少し前のウオッカに続く、牝馬によるダービー制覇もあるかも知れない。少なくとも、レッドリヴェールは、ダービーでイスラボニータ、トウザワールドに次ぐ、3番人気にはなるだろう。小柄の牝馬が、府中の直線で馬群を抜けてくるシーンを見たいものだ。

レッドリヴェールも秋の凱旋門賞に登録している。ダービーに勝てば挑戦するだろう。秋のパリでは、日本3歳牝馬のワンツー・フィニッシュが見られるかも知れない。それほどの可能性を感じさせる今年の牝馬陣である。昨年のオルフェーヴルの復讐戦だ。

盛り上がりますねえ。

 

 

▲TOPへ戻る

厳選動画のご紹介

SMCはこれからの人達を応援します。
様々な才能を動画にアップするNEXTYLEと提携して紹介しています。

ライフLife Documentary_banner
加地卓
金巻芳俊