Sonar Members Club No.31

since February 2013

川口成彦さんのスペイン

2026 MAR 16 15:15:11 pm by 西村 淳

2026年3月15日(日)葛飾シンフォニーヒルズ アイリスホール

プログラム;
グリーディ:ノスタルジア(《3つの短い小品》より)
ファリャ:《三角帽子》より3つの舞曲
プーランク:ファリャの主題によるノヴェレッテ
ペドレル:夜想曲
アルベニ:港 (《イベリア》より)
ファリャ:4つのスペインの小品
ラヴェル:グロテスクなセレナード
ドビュッシー:ビーノの門 (《前奏曲集 第2巻》より)
       途絶えたセレナード (《前奏曲集 第1巻》より)
       グラナダの夕暮れ (《版画》より)
グラナドス:《スペイン舞曲集》より オリエンタル/アンダルーサ
ファリャ:アンダルシア幻想曲
     火祭りの踊り(《恋は魔術師》より)

コンサートの感想で川口さんを採り上げるのは何と2回目だ。それほどこの人の音楽に共感しているってこと。ここで使用されたのはエラールの1890年製のピアノで鋼鉄フレームに弦を並行に張ったもの。バレンボイムが従来の現代ピアノ(Steinway、Yamahaなど)に飽き足らず、昔の直弦ピアノの透明感と現代の力強さの両立を試みた例もあるが、ここでその効果を十分に味わうことが出来た。特徴は音色の透明感・明瞭さにあり、各音域(低音・中音・高音)の個性がはっきり分離して聞こえ、より色彩豊かでニュアンスに富んだ響きがする。絶対的な音量や低音の迫力は通常の交差弦ピアノより控えめになるとされるもバランス上からは何らの不足も感じなかった。

プログラムはファリャの生誕150年にちなみスペインとそれにまつわる考え抜かれたもの。ご自身が若いころからのスペイン音楽の大ファンで曲に対する共感と自家籠中となったその表現力は驚異的だ。演奏が始まるとすぐにミューズが彼の上に舞い降りたようだった。見事な遠近法の絵画を見ているようでもあり、轟くような強奏から弱音の凛とした美しさまでやりたいことがビシビシと伝わって来る。濁りのないエラールの響きはこれらの音楽を奏するのに最適な選択にちがいない。
「ピレネーを越えたらアフリカだ」とはナポレオンの言葉通り、スペインはイスラムの影響が色濃く残りヨーロッパ文明とは一線を画しているらしい。音楽からはひしひしとそれが伝わるし足腰が元気なうちに一度は訪れてみたいものだ。

アンコールは4曲。
ファリャ:賛歌『ドビュッシーの墓のために』
トゥリーナ:サクロ・モンテ
モンポウ:歌と踊り 第8番
ロドリーゴ:春の子守歌

Categories:未分類

▲TOPへ戻る

厳選動画のご紹介

SMCはこれからの人達を応援します。
様々な才能を動画にアップするNEXTYLEと提携して紹介しています。

ライフLife Documentary_banner
加地卓
金巻芳俊