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ブラームス交響曲第4番に思うこと。

2013 JAN 23 9:09:50 am by

東さんが、カルロ・マリア・ジュリーニ指揮のブラームス4番のお話をされましたが、この曲に関連していろいろな事を思い出します。ベートーヴェンを超える交響曲作曲家を目指したブラームスは、最初の交響曲第1番を作曲するに当たり、慎重にも慎重を期して、約20年もの長い歳月を費やし、その結果、全部で4曲の交響曲しか残せなかった。確か1年ちょっとで、サッと書き上げた交響曲第2番は、のびやかで牧歌的なとても良い作品だけに、もっと数多くの作品を残して欲しかったなと思う。

4曲の交響曲の中で、一番泣かせる作品が、この4番と思う。晩年のブラームスの「哀切」とでも言うべき心の葛藤が良く描かれているように感じます。日本人作曲家の某氏が「シューマンには6人の子供がいたが、下の3人は実はブラームスの子供らしい」と言ったが、そういったブラームスの人間臭さがストレートに反映されており、それを最も直接的に表現したのが、東さんも言及された、フルトヴェングラー指揮ベルリンフィルの演奏でしょう。私も中学生の時に、この演奏(1948年版)を耳にして、第一楽章のコーダの部分の常軌を逸した急加速には腰が抜けそうなほどのショックを受けたものです。

しかし最近では、そういった作品だからこそ、逆にあっさりと、サラッと表現した演奏の方が、却って作品の良さがジワジワと沁みて来て好ましいなと感じます。この4番ですと、速めのテンポのカール・シューリヒトの演奏など。

同じことは、他の作曲家の作品についても言えるかもしれません。例えば、ドボルザークの新世界交響曲だと、土臭い熱い演奏の代表格「ケルテス ウィーンフィル」も良いが、「クレンペラー」や「ライナー」のような土の匂いが一切しない演奏も、私には逆に極めて新鮮です。チャイコフスキーの悲愴交響曲も「バーンスタイン」のような周囲に一切遠慮せずに泣きわめき、慟哭しっぱなしの演奏も感動的ですが、フランス人指揮者「マルティノン」のような、品の良い独特の悲愴も却って新鮮です。

東さんがお薦めのジュリーニのブラームス4番もぜひ聴いてみたいところですが、我が家ではCDの収納スペースが制限されており、その収納スペースを捻出するため、新しく1枚購入する際には、これまでのコレクションの中から、1枚を泣く泣く売りに出す必要があり、当分は無理かなあ、ああ、残念。 花崎洋

 

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