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米国の大学卒業式 日本では見られない光景

2014 MAY 26 1:01:27 am by 安岡 佳一

昨日、レンセラー工科大学の卒業式の模様をお伝え致しましたが、日本の皆様に日本の大学の卒業式では見られない光景がありましたので追加報告させて頂ます。それは、アメリカの軍隊の予備軍に所属しながら大学を卒業する人達についてです。折りしも明日は戦没将兵追悼記念日で時宜に合っているかも知れませんのでお伝え致します。

現在アメリカには徴兵制度は無く、軍隊に入隊したい人は全て自分の意思で入っています。隊員の資格は幾通りかあるようですが、その中の一つに予備兵(Reserve)制度と言うのがあります。この制度は、いざ何かあった時には戦場に駆り出される事を義務とする制度で、日頃は一般人の生活をしていますが週末等は訓練に参加する事が必要です。この制度に参加する事で手当てを受けたり、健康保険等の補助を受ける事も出来るようです。他には大学に行きたいが経済的に厳しいと思われる方がこの予備兵になる事により学費と最低限の生活費を払って貰える制度があります。しかし、卒業後はフルタイムの軍人になると言う契約になっている様です。

卒業式にはこの制度に則った予備兵の卒業生はフルタイムの軍人になるので全て軍服で出席します。学校によっては彼らは特別待遇で教授陣と同様に壇上に座って卒業式を迎えるケースもあるようです。昨日のレンセラー工科大学では、一般の卒業生に混じって式典に臨んでいました。何れにせよ、彼らは学長から先ず最初に特別に祝辞を贈られ一人一人名前を呼ばれ栄誉を称えられます。それだけ彼らは尊敬され尊重されていると言う事です。

私の娘の同級生の中にこの制度で卒業した人がいます。彼は海軍の予備兵でしたが、あの精鋭部隊「シールズ」に合格したツワモノです。大学時代の4年間は傍から見ていて本当に大変だった様で、予備兵とは言え殆ど毎日朝の5時から2時間ほど訓練し、週末は殆ど訓練の日々だった様です。彼の場合、父親が職を無くし家族全員が経済的に危機に陥り、自宅も手放さざるを得ない状況でしたが、必死に頑張って大学を卒業したそうです。卒業と同時に、彼は海軍の士官としてサンディエゴの第七艦隊に所属し、そこで数ヶ月訓練を受けた後横須賀に配属になるとの事です。士官になった事で本当の意味で国に仕える事が出来ると喜んでいたそうです。又、待遇が格段に良くなり、家族に仕送りが出来る事が有難いと言っていたそうです。

この様に経済的に困難な若者にとって国としては選択肢の一つとして道を開いています。この制度を使って成功した人を私は何人も知っています。彼らは、大学在籍中は予備兵として訓練を受けますが、自分の興味のある分野の勉強を大学院まで行って極めてから軍に正式に配属になると言う例もあります。例えば、ある人は医者になるまで予備兵として大学で勉強し、その間の手当ても受けながら卒業後は世界にある米軍の基地で軍医として活躍、戦場にも赴き前線で任務に就くことも何度もあったそうです。軍に20年近く勤務した後は除隊しましたが、医者として様々な大学病院からは優先されて採用され、軍からは手厚い恩給を今後受ける事が出来、医療費は今後一切無料等のベネフィットが付いてきます。この様に頑張って大学を卒業し軍で奉仕をすれば、かなり優遇されると言う事が分かっていれば志願者もいると言う事です。

この様に、アメリカでは軍隊と言うのは国民、国益を守る為の最重要組織であり、国としても学校法人としても社会としても最重要視しており、その大切な軍人の予備軍になる予備兵に対しての待遇も明確になっており、卒業式と言う晴れの舞台でも明らか重要視されていると言う事をお伝えしたかった次第です。

ある米国の大学卒業式に参加して

2014 MAY 25 13:13:15 pm by 安岡 佳一

確か3月のお題は卒業式だったと思いますが、遅ればせながら今頃寄稿させて頂きます。 ご存知の様に、米国では今まさに卒業シーズン真っ盛りで本日は友人のご子息がレンセラー工科大学を卒業されるとの事でお祝いに駆け付け、式典に参加させて頂きました。真に有意義な式典だった事からご報告したいと思います。

先ずは、レンセラー工科大学の名前を聞かれた事のある方は日本ではあまり無いのではないでしょうか? ご興味のある方はこちらを見てください。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%BB%E3%83%A9%E3%83%BC%E5%B7%A5%E7%A7%91%E5%A4%A7%E5%AD%A6

一言で言いますと、全米最古の工科大学で創立が1824年と今から190年前にレンセラー氏と他のパートナーの方が始められたそうです。場所はマンハッタンからハドソン川を約2時間半ぐらい北上し、NY州の首都であるアルバニーに程近いトロイ市に所在します。(かなり片田舎で、よくこんな所に約200年も前に大学を作ったものだと感心しました)所謂大学のランキングでは、全米40位近辺で工科大学ではMITやカルテックに次ぐぐらいの優秀な学校です。

過去の卒業生の中には、NYで一番古く有名なブルックリン橋を設計した方、大観覧車を設計した方、電子メールを考案し「@」を作った方、CRT(ブラウン管)の発明者、ベーキング粉の発明者、NASAアポロ月面着陸プロジェクト責任者、アポロ13号の船員、IBM人工知能のワトソンプロジェクト責任者等多彩です。

今回の第208回卒業生(設立年数と合いませんが、昔は年に2回ぐらい卒業式をしたと言う話を聞きました)の総数は約1600名。 その内、私が注目したのは博士課程を修了された方々で、驚きなのは中国人の博士課程修得者数の多さです。博士課程修得者数は学部別では建築5人、航空エンジニアリング6人、生物エンジニアリング6人、化学エンジニアリング20人、土木エンジニアリング4人、コンピューター・システムエンジニアリング1人、決定科学?エンジニアリング2人、電気エンジニアリング16人、物質エンジニアリング11人、メカニカルエンジニアリング20人、原子科学エンジニアリング7人、運輸エンジニアリング3人、認知科学エンジニアリング5人、コミュニケーション・エンジニアリング2人、電子アート2人、マネジメント6人、生化学・生物理3人、生物4人、化学8人、コンピューターサイエンス10人、地質1人、数学8人、物理14人、その他2人 合計165人でした。中国人学生数は、名簿を見る限りでは、何と約30%を占めておりました。因みに韓国名の方は2名、日本人名はゼロでした。中国人の博士課程が多い学部は電気科学、物質エンジニアリング、メカニカルエンジニアリング、原子科学エンジニアリング、物理等で約50%と非常に高い比率でした。これらの中国人の多くは中国本土から留学されている方々の様に推察され、かつての日本の様に企業からの派遣と言うケースは殆ど無い様で個人での留学の様です。

卒業式には主賓が祝辞を述べますが、今年はIBMの初の女性CEOが招かれました。同時に名誉博士号が授与されました。同じく、名誉博士号を贈られたのはインターネットの生みの親とも言える「WWW」を開発した方、ゲノム解析から乳がん等の遺伝的原因を追究し、決定因子を発見した博士も招かれました。この様な際だった方々が折角来てくれる訳で、卒業式で型通りの祝辞だけではあまりに勿体無いとの事から、前日に上記3人と同大学の学長(初の黒人女性学長)を交えて2時間にも及ぶディスカッションをしそれを同校のウェブサイトに早速アップしていましたので下に添付しました。因みに、当IBMのCEOとWWWの開発者のご両人の学歴は学士だけの様で意外でした。

http://www.rpi.edu/colloquy/

本番の卒業式では、主賓のIBM CEO Mrs.Virginia Romettyが約15分のスピーチをジョークを巧みに組み込みながら印象深い内容のメッセージを伝えていました。先ずは身の上話から始まり人心を一瞬にして掴みました。同氏は、シカゴ郊外の中産階級の出身者でしたが、自分が未だ幼い頃に父が家を出て行ってしまい残された母と兄弟姉妹4人で必死に生きた事を述べ、誰も母の事を可愛そうであるとか、我々家族が負け組みだとか言われる事無く、どんなに貧しくても誇り高く生きて来た事を話しました。子供達が大きくなると母親は大学に通い始め修士を取得し、自分より高学歴になってしまったと言って笑いを取っていました。ここから彼女の卒業生に発するメッセージの一つは、自分の価値は自分で決める事で他人が決める事では無い事。要するに他人の言う事にいちいち影響されたり流されるなと言う事。 二つ目は、リスクが高い場面や困難な時に遭遇した時は幸運に巡り会ったと思う事。何故なら、リスクが高く困難に遭遇すると悩み、通常とは違い数段頭を使うのでその間は必ずと言って良いほど成長するし、リスクを取った事で自分のパラダイムがシフトする。三つ目は、今が最高の機会の時だと思う事。 実際にIBMは現在推し進めている人工知能の「ワトソンプロジェクト」に並々ならぬ投資と開発を行っているが、このワトソンは今まであった技術等を根底から覆す程のインパクトがあるもので、皆さんはこの偉大なる技術革新の大きなうねりの真っ只中でレンセラー大学を卒業する事は幸運以外の何物でも無い。 因みに、当ワトソンプロジェクトの責任者は同校卒業生ですと言って締めていました。

以上の様な卒業式の内容で、友人のご子息の卒業と言う事で、お客さん気分で伺いましたが予想以上に内容が濃く、非常に多くの事を学び、楽しく有意義な時間を過ごす事が出来ました。

 

 

アメリカの大学入試事情

2014 MAR 9 13:13:20 pm by 安岡 佳一

日本では3月は卒業の季節ですが、アメリカでは大学入試の合否が大体出揃う季節です。私事ながら、我が家の二番目の娘も大学が決まりホットしております。上の娘は今年の5月に大学卒業で現在就職戦線中です。二人の娘の大学受験は、なかなか大変で(妻に殆ど任せていたので大きな事は言えませんが)、このブログを読んで頂いている皆様に少しでも情報提供させて頂ければと思っております。

先ずは、アメリカの大学入試は非常に複雑です。 未だにハッキリルールが分かりません。 専門家に聞いても分からない事が非常に多いです。 ゲームのルールが分からなくて試合をするのは非常にキツイです。 わざと分からない様にしているのではないかとも疑いたくなります。

アメリカにはSATと言う共通テストがあり、このテストのスコアが判断材料になる場合が多いですが、最近ではこのSATのスコアを重視しないと言う学校が急増しており、SATの主催社側は慌てて中身を変えて行くと発表していました。因みにハーバード等の超一流校を受ける受験者は殆ど満点なので、これだけでは合否が決定出来ないそうです。受験生は、このSATを何回でも受ける事が出来、最高点だけを志望校に送る事が出来ます。

「レガシー」は非常に強力なポイントになります。 レガシーとは、その学校に受験者が何らかの形で関わっている事で、例えば親、親戚等が当校の卒業生であったり、関係者が寄付をしていたり、学校関係者であったりと言う、日本で言えば「コネ」でしょうか。このレガシーの度合いで、SATの点数がどうであれ合格する受験生はかなりいます。 日本では、この様なコネや寄付金を出して入学させるなど不正入学だとか裏口入学だと言われがちですが、アメリカではこちらの方が表玄関と言うか堂々の正面入学です。伝統校であれば有るほど当然ながらその様なレガシーにより入学する受験生の数が多いです。 我が家の様な新参者の外国人はその様なレガシーがありませんので、従ってお金に物を言わせると言う手段を使う方々も多くいらっしゃいます。 アメリカの有名校には世界の富裕層のご子弟等が受験しますので、彼らからすれば金と金を使ったコネを使うしかないのです。蛇足ですが、英語ではこの様な場合「Money Talks」と言う表現を使います。

学業以外の貢献度、例えばスポーツや特技は非常に重要です。有名校であればあるほどスポーツに長けた生徒を積極的に入学させます。アメリカンフットボール、バスケットボールは大学のビジネスの中で非常に大きな割合を占めており、その重要スポーツを担う選手・生徒はVIP扱いで入学出来ます。最近では割とマイナーなスポーツであっても生徒を発掘する為に、大学側もスカウトを雇って熾烈な戦いを行っています。私が知っているだけでも、クロスカントリー、スカッシュ、フェンシング等の選手でも、地元で新聞にでも紹介されようものならスカウトから勧誘の電話がひっきり無しに掛かって来て、学費は勿論の事、生活費等も支給される程の厚遇です。因みに、アイビーリーグや世に知られている私立大学の年間授業料は約5万ドル近辺、他に寮費等で約1万5千ドル程掛かります。スポーツだけでなく、他に何か特技があればそれは非常に大きな得点になると思われます。

上記の様な受験生は、早ければ1年前から入学の内定を得ています。

我が家の様に、レガシーも無い、スポーツも普通、寄附する程のお金も無い、所謂一般の皆様はどうされるのか?

先ずは高校のGPA(Grade Point Average)を上げる。 詰まり成績を上げる。主要科目は勿論の事、選択科目も評価する大学も多いので万遍なく成績を地道に上げておく。品行方正にして、先生の印象を良くしておく。 高校の先生二人から推薦状を希望校に出す為に、その為の準備です。又、学期末に各先生方にお礼のギフト券等を渡すの必須です。公立校の学校の先生でも教え子に対して放課後家庭教師として教える先生方も多く、これも先生の点数稼ぎの一環としている親御さんもいます。因みに時給は安くて1時間$50から富裕層が多い所では$150の所もあります。勿論支払いは現金のみです。

一般の入試と言っても志望校に行って試験を受けるのではありません。上記の高校の成績、二人の先生からの推薦状、何かアピールしたい物の提出、必要ならSATの成績、そしてエッセイを提出する事です。 このエッセイは自分は誰なのか、自己紹介、何かアピールしたい点を書くもので、大体1200字相当です。短いエッセイの中にどれだけ構成良く、表現力豊かに、明確にメッセージを伝えられかと言う点を見るようです。 沢山の入学許可の方々の話によると、このエッセイで受験者の人物像を想像し、委員会で討議をし合否の決定要因になる場合があると強調しています。(当然ながら、その様なエッセイを請け負うプロは沢山いますが、直ぐにバレるそうです。)

毎年11月1日頃から一般の方々の入試が始まります。 この入試プロセスも結構複雑です。先ずは、「Early Decision」これは希望校1校だけに申し込みをし、合格した場合は必ずその学校に行かなければならないと言う約束の入試です。でも、この枠は合格数の10%程ですから小数限定です。このアーリーデシジョンで決めたい場合には、当然ながら様々な準備が必要です。 先ずは、少なくとも1年以上前から志望大学の入学許可をする部署を訪問し担当者と面談をし名前を覚えて貰う、如何に自分が当大学に興味があるかアピールする、キャンパスを案内して貰い在校生からの話を聞くと言う様な事をします。訪問後にはキチッとした礼状を直ぐに出す。当校が主催する夏や冬の特別キャンプと言われる講習等に参加する(2週間の参加費で約5000ドル)地元に当校の入学許可担当者が訪れた場合、必ず説明会等に参加し、担当者と親しい間柄になる様に人脈作りをする。 その後も、少なくとも数回は当校を訪問し、熱心さをアピールするのは非常に大事。これらの事柄を全て行って、アーリーディシジョンの結果をドキドキしながら待ちます。

ちょっと長くなり過ぎましたので、続きは別の投稿で。

 

米国のエネルギー黄金時代到来か?米国原油・天然ガス産出量ついに世界一

2013 NOV 4 2:02:14 am by 安岡 佳一

既に幾つかのメディアで取り上げられておりますが、どうやら米国の原油と天然ガスの産出高合計がこの夏にロシアを上回って世界一になったようです。ここ数年の増産ペースは異常とも言える位のスピードで、一体何が起きているのか少々調べてみましたのでご報告致します。

先ずは、直近の米国エネルギー庁の発表によりますと、この夏の米国の原油・天然ガス産出合計(天然ガスは原油1バーレルと同様の熱量計算をしバーレル数として計算)はどうやら世界一と言われているロシアを僅かに上回り、1982年以来の世界一奪還を果たしたようです。同庁の発表では、米国が日量2200万バーレル(内原油が1030万バーレル)、ロシアが2180万バーレル(内原油が1080万バーレル)だった様です。原油の産出ではロシアが米国を50万バーレル程上回っている様です。原油産出だけに限れば世界一はやはりサウジアラビアで1170万バーレルだそうで、2位はロシアの1080万バーレル、3位は米国で1030万バーレルです。

つい数年前までは、米国の原油産出高はせいぜい700万バーレル弱で、70年代にピークを付けた後着実に減少して行きました。一部の見識者の間では北米の原油産出も北海原油の様に枯渇して行くのではないかと危惧しておりました。一方では、ブラジルのリオデジャネイロ近海では次々と大規模油田が発見され、羨望と焦燥感を持った米国オイル関係者も多かったと思います。又、BPが引き起こしたメキシコ湾での油田のリグの爆発炎上、その後の止め処も無い原油流出問題は、米国原油発掘市場には未来は無いのではないかと思わせる位に充分憂鬱にさせました。

そんな中、救世主の様に登場したのがシェールオイル・シェールガスの発掘です。このシェールオイル・シェールガスの発掘メカニズムは既にあらゆる所で紹介・説明がされておりますのでこの場では詳しくは記しませんが、殆どのメディアが書いてない事をお伝えします。

これらのシェールオイル・シェールガスの発掘方法は主にフラッキング法と言う手法が使われており、この手法を開発したのはエクソンでもシェブロンでも無く田舎の小さなオイル掘削業者達の様です。前述の様に、米国内陸部での原油産出が頭打ちになってきたのをいち早く察知した大手オイル会社は、メキシコ湾の油田、外国油田に活路を見出そうとし、大規模な投資を始めました。一方、米国内陸部の掘削業者達は中小企業の為に大手と同じ様に海洋油田や海外に行く様な資金や人材も無く、地元に残るしか選択肢は無かった様です。そこで、地元の油田は本当に枯渇しているのか、改めて調査したところ頁岩と言われる多層岩の中にはどうやらオイルやガスが溜まっているらしい事が分かり、その取り出し方法の開発に全精力を傾注し、その結果フラッキング法の開発に至ったそうです。これが、たった数年前の話です。

今では、シェールオイル・ガスの発掘市場も第二ステージに入って来た様で、産出の効率化がメインテーマになって来ているようです。シェールオイル・シェールガスの発掘場所として有名なのは、ノースダコタ州のバッケン地区、テキサスのイーグルフォード地区、ペンシルベニア州を中心とするマルセラス地区、コロラド・ネブラスカ州界隈のナイオブララ地区が主要な鉱区です。これらの地区が主力となりここ数年で米国全体で日量300万バーレル産出増加を果たした様です。因みに日量300万バーレルと言うのは世界第五位のカナダの産出高に相当します。これらの主要なシェールオイル・ガスの油田地帯での発掘を実際に行うリグの数は2010年頃に約700基程度でしたが2012年の中頃には1200基程度に急増しました、しかし、現在は1,100程度に漸減し始めています。一方、一リグ当たりの産出量は、2010年当時2,200バーレルだったのが2013年現在では何と3,600バーレルまで急増しています。この様な一リグ当たりの産出量増加は、フラッキング法の使用方法が日々の「カイゼン」の効果である事と、生産効率の良い油井へのスイッチが機動的に行われているのも産出効率が上がっている理由の一つの様です。

又、この様な学習効果宜しく他の大規模油田地帯での発掘調査が始まりつつあり、大手石油会社が本格的に米国内陸部に回帰して来た事は大きなニュースで、今後の米国内陸部でのシェールオイル・ガスの産出量は粗間違い無く増加するだろうと考えられます。一部では、向こう数年の内に更に500万バーレルの増産も可能と言う見識者も現れています。それが実現するならば、米国の原油・天然ガスの産出量は2700万バーレルに膨れ上がり、ダントツの産出国になります。その時には外国からの原油・ガスの輸入は要らないどころか過剰になり、世界に輸出出来る程になる事も予想されます。

正に米国のエネルギー黄金時代到来の様相です。

 

 

 

NYのある就職状況

2013 SEP 23 5:05:58 am by 安岡 佳一

最近友人の一人から聞いた話には良い意味でかなり驚きました。それは、新卒の就職状況に関してですが、跛行色はあるもののかなり改善していると言うよりかなり強くなって来ている様に思える話です。

その友人は日本人の女性でNY近郊の州立大学の法科大学院を卒業したばかりで、その後直ぐにNY州の司法試験を受けました。本人曰く、今回はすべったかも知れないと言っていましたが、その後の話を聞いて仰天しました。実はその司法試験を受けたその日に1社(某資産運用会社)から仕事のオファーが来て当日中に受諾の返答が欲しいと言うメールが一通、他にウォール街でトップとされるインベストメントバンクから早々にアポイントメントを取って面接に来て欲しいと言う要請のメールが1通、そして米国弁護士業界では最大とも言われている弁護士事務所からも面接要請のメールが1通と都合3件もオファーが来たとの事です。本人は、何だか誰かに騙されているのではないかと言う位に驚いたそうです。 それもその筈です、彼女は日本生まれの日本人で英語はネイティブではありません。大学は、ハーバードやエールと言った様な全米トップの学校では無く、そこそこの州立大学です。確かに成績は良かった様で、法科大学院発行のLaw Reviewの編集員としては日本人初だったと言う事はあります。又、夏休み期間中は、SECやFINRAに研修生として働いていたと言う実績があります。しかし、今回声を掛けて来た3社は何れもトップ中のトップの企業ばかりで、通常ならハーバードやエールの法科大学院のトップの人間達が競って入るところです。因みに、上記の法律事務所のシカゴ・オフィスでは嘗てハーバードの法科大学院生だったオバマ大統領やミッシェル・オバマが研修生として働いていた所らしいです。

結局、この友人は最初にオファーがあった資産運用会社からのオファーを受諾したものの、第一志望であった法律事務所との面接がトントン拍子で進み、ついに採用枠二つの内の一人として採用された為に、資産運用会社には礼を尽くしてお断りを入れたそうです。 当然、怒られると思ったそうですが「いつでも良いから気が変わったら声を掛けて欲しい」と言われたそうです。

本人もさる事ながら、私も最初は耳を疑いました。 私も長年ウォール街で働いておりましたが、この様な話は聞いた事がありません。現在のウォール街の人員採用はまだまだ低調だと思っておりました。しかしながら、一部の声ではかなり人員を切り過ぎたと言う行き過ぎ感を訴える人がいるのも確かです。

しかし、今回のケースは、本人が日本人でネイティブスピーカーでは無い、その上米国で働くにはビザのサポートをしなければならず、採用企業にとっては追加の負担になります。又、本人は超一流学校では無い、特にコネがある訳では無い(アメリカでは日本以上にコネが重視されます。大学に入るにもコネが非常に大事です)等々を考えますと、これは奇跡の様です。

裏を返せば、採用側は優秀な人材には飢えており貪欲に探している。必ずしもブランド校だけに拘らず本当に底力がありそうなタフな人間を欲している様な気が致しました。又、底辺にあるのはアメリカの景気が確実に良くなってきており、量的にも拡大しつつあり人手不足になってきているのは多分間違い無いであろうと思われます。先日ご紹介したアメリカの経済の復活の一端がタイミング良く私の友人の就職の時期に合致した事も要因の一つではないかとも思われます。

何れにしても嬉しい話で、このまま経済が復活し更に雇用が増えて欲しいものです。その好影響は必ず日本にも波及すると思い、期待したいところです。

アベノミクスは成功するか?

2013 JUL 17 13:13:30 pm by 安岡 佳一

私の予想は、条件付で成功すると思います。 その条件とは上手くアメリカ経済の復活に乗れるかと言う条件です。 戦後の日本の奇跡的な経済の復活と80年代末までの成長の大元は、日本のインフラ投資からの経済効果と、アメリカ市場に対して強烈な輸出攻勢を掛けてドルを稼いだ事だと思います。その後、日本経済のバブル崩壊、アメリカ経済の停滞、輸出の主役が日本から中国や韓国に地位を奪われる事で日本経済は急減速してしまいました。しかしながら、漸く上記の様な低迷していた環境が丁度潮の流れが変わるように大きく変化しつつある様に思えます。

米国在住と言う現地の観点から、米国経済は大きな経済復活の予兆が感じ取られ、第二、第三の黄金期に入って行きそうな気がしてなりません。その上げ潮に日本が嘗ての様に如何に上手く乗れるかでアベノミクスの成否が掛かって来る様な気がします。

アメリカ経済大復活の要因:1.シェールオイル・シェールガスの経済的効果、2.製造業の米国内への回帰現象、3.新しい防衛戦略と経済効果、4.移民効果、5ドル高が挙げられると思います。

1.シェールオイル・シェールガスの経済的意義

皆さんご存知の様に、米国ではシェールオイル・ガスの開発は活発に行われています。お陰で、ここ数年で国内の原油生産量は日糧600万バーレルから800万バーレルに一気に増加し、国内消費分2000万バーレルの半分近くに迫ろうとしています。国内生産は、数年後には1000万バーレルを軽く超えるとも言われ、そうなるとサウジやロシアを抜いて世界最大の原油生産国になる可能性が高くなってきました。結果として、貿易収支、経常収支、国際収支が大幅に改善する事が予想されます。 規制されているシェールガスの輸出が本格化される2017年以降は、益々収支の改善になるものと思われます。 このエネルギー開発だけで、今後数年間で100万人の雇用が必要とされ、周辺産業等を考慮すると数百万の雇用創出になるとも言われています。又、より安全で効率良いエネルギー開発は、新テクノロジーの開発も誘発し、そこから新たな産業も生まれる可能性も出てきます。 シェールオイル・ガスの掘削方法は正しくその様な新テクノロジーの賜物です。

2.国内回帰現象

嘗ては多くの企業が安い労働力を求めて中国に進出しましたが、ここ2~3年に起きている事は、ダウケミカル、デュポン、外国の石油化学工業を始めエネルギーを大量に消費する大工場が何10年振りかに次々とアメリカ国内に新工場を立ち上げ始めています。これらの工場は通常数千人の雇用を必要とする事から、周辺企業や産業を含めますと経済の波及効果はかなり大きなものになりそうです。勿論、安いシェールガスを原材料として作る化成品等は国際的にも比較競争力が高まり、外国からの輸送もしなくてよく、世界最大の市場であるアメリカで生産する事のメリットを大きく受ける事になり、製造業が益々国内回帰の動きになる事が考えられます。

3.新しい防衛戦略と経済効果

アメリカの防衛費はイラク・アフガニスタンでの出兵もあり急増し、GDPの5%弱(約55兆円)まで達しましたが、今後は大きく削減されそうです。理由は、無人飛行機による代替、原油の中東依存が低くなる事等で中東派遣撤退、シーレーンの予算削減、強力な電磁波攻撃による原子爆弾依存の比率低下等々で、大きな構造改革を行おうとしています。因みに、中国は約10兆円強、日本は約5兆円弱が国防予算です。(予断ですが、米国の電磁波攻撃は本気を出せば、衛星や無人攻撃機から強力な電磁波を発し、狙った国の全ての電気系統を破壊する程の攻撃能力を持っているとされております。従って、これを使えばICBMを使う必要がありません) 防衛費の削減は国家財政の好転を齎す大きな要因になります。

4.移民効果

アメリカの人口は現在約3億2000万人弱ですが、毎年約300万人程人口が増加しています。 内訳は、出生ー死亡=200万人、移民100万人。 国務省の幹部によりますと、アメリカ政府は人口を4億人まで出来るだけ早く増加させ中国に対抗したい様です。従って、国益に適った移民を世界から選りすぐってドンドン引き入れるそうです。国益に適った人と言うのは、資本家、特殊技能保持者(スポーツ、芸能、科学者等)、そして最も求めている人は資本があり、頭があって、米国で事業を興し雇用を作れる人達です。この様な人は、通常なら数年待たなければならない永住権が即日発行されるそうです。 この様な国益に適った人達が、新しい企業、産業、サービスを提供するのです。 丁度、アベノミクスの3本目の矢である成長戦略をアメリカは移民からも取り込もうとしているのです。

5.ドル高

以上の、事柄を鑑みますとドル高シナリオになります。少なくとも海外から買う原油が少なくなり、貿易収支等は改善、製造業等の国内回帰から来る貿易収支も改善、国内の雇用が増加し所得が増加し、消費が促進され国家財政が改善、防衛費削減からも財政改善、移民が増加しドル需要増加、上記の様にマクロ的にアメリカ経済は双子の赤字が急速に改善し、国家財政は黒字転換も可能。ドル高は、輸入インフレ抑制、国内金利上昇抑制効果があります。従ってドルに対する信任が確固たるものになる事が考えられます。 これらの状況を見て、海外の富裕層、能力のある人、自国で喘いでいる人達が今一度「機会の国、アメリカ」を目指す状況になるのではないかと思われます。

この様な、アメリカの状況を鑑みて日本はどの分野でどの様に上手く乗るかによって日本の経済、アベノミクスは成功するか決まると思う次第です。

以上

 

ナパ・バレー ケンゾーエステート再訪問記

2013 JUL 15 8:08:35 am by 安岡 佳一

先週の金曜日に再度ケンゾーエステートを訪問してきました。 1ヶ月前の6月14日に行ったばかりでしたが、シアトルとSFに出張が入り、ケンゾーエステートの幹部の方に連絡を取ったところ会って頂けると言う事で再訪問の運びと成った次第です。 この幹部の方は、数年前まで私の上司だった方で、一度ゆっくりとケンゾーエステートのお話を聞きたいと思っておりました。 大変幸運に恵まれた今回の訪問だったと思います。
この幹部の方のお話を約2時間聞かせて頂きましたが、当ワイナリーのオーナーの並々ならぬコミットメント、非常に緻密に立てられた今後20年に及ぶ経営計画、そして当ワイナリーと生産するワインを世界最高のものにしたいと言うビジョンと言いますかロマンを熱く語って頂き、こちらも大変啓蒙されました。
ナパバレーにはロバートモンダヴィを始めとする所謂エスタブリッシュメントがいて、ナパを世界最高のワイナリーが集まる場所にしようと言う意気込みが大変強く、それを成しえる為の厳しい掟のようなものがあるそうです。 土地所有者と言えども乱開発は許されません。 あくまで自然の良さを凝縮したのがワインであり、人工的に作られるものを最小限にすると言う基本精神があるそうです。 又、訪問客が多くなり環境の変化をもたらすような事は避けたいと思っており、各ワイナリーでは、訪問者は予約者のみで人数制限をしており、訪問時間も最後の予約は3時まで等事細かに決めているそうです。
ナパの一般的なワイナリーの純資産は約2Milから$10Milらしいのですが、ケンゾーエステートは後発と言う事もありかなりの投資をしたようです、又、本格的にワインを生産し始めたのは未だ数年前であり、現在の期間収益は赤字ながら2~3年後には黒字転換する予定との事です。先程の掟にある様に、大量の資本を投入しての乱開発を規制しており、その掟の範囲内での開発と言う事になれば、経営が軌道に乗るには時間が掛かりそうです。
何でも現在使用している敷地はたったの3%だけで、それが20年後には7~8%にする計画だそうです。 それも、敷地内で葡萄を育てるのに一番適している場所を選び、選りすぐりの場所にのみ最適の葡萄の品種を栽培して最高のワイン用の葡萄を生産する計画だそうで、20年後には現在の8万本のワインの生産を約10倍近くにしたいと仰っていました。
当幹部の方曰く、オーナーは決して金持ちの道楽でこのワイナリーを経営しているのでは無く、先程の様々な縛りの中で、最高の物を生産しながら経営としても安定した黒字経営に持っていくべく毎日心血を注いでいる様です。 現在では、日々の葡萄の生育状況、ワインの販売からあらゆる経費に至るまで全てその日の内に計上し、明日、来週の経営を調整しているそうです。短期ではその様な緻密なコントロールをしつつも、1年先、5年先、10年先、20年先の目標と課題をハッキリと明示しており、その計画と現在の乖離に関しての分析等にも神経を尖らせているそうです。
当幹部は金融出身の方ですが、ケンゾーに来てここまで数字等に緻密に神経を注がなければならないとは夢にも思わなかったと言っていました。お陰で、ここで余生を送ってのんびり半引退生活などといった夢話はすっとび、金融の世界にいる時よりも毎日の緊張感は高いといみじくも仰っていたのが非常に印象的でした。
又、オーナーとワイン製造の責任者との価格設定のやり取りの中に、オーナーのビジネスマンとしてのセンスの良さを見出し、大変勉強になったとも言っていました。全くの異業種に参入し、多くの事は専門家に任せるのですが、いざ商売と言う事になると商人としてのセンスと知恵を出し問題解決に当てた様です。 例えば、当ワイナリーの一番安い銘柄はRindoで現地では$100で販売しています。 この価格に関して、製造責任者のハイジ・バレット氏は怒ったそうです。 「私はそんな安いワインを作っているのではない。 最低でも$300はするであろうワインを作っているのだ」と。 しかし、オーナーはそのワインの実力は完全に認めたものの、後発である事等でその値段では買わないポテンシャルの顧客が多い事を憂慮する。 この様なポテンシャルの顧客に先ずは味わって頂き、評価して頂く為には安いと言うお値打ち感を与える事が大事である。一定の支持層が出来て来た所で値を上げていく事を提案し、お互いに納得したと言う経緯があるそうです。従って、このRindo(紫鈴)は買いです。 因みにランクが上の紫、藍は共に$250のプライスが付いていました。 
何の世界もそうでしょうが、一流になると言う事はそれなりの努力が無ければ絶対になれないと言う当たり前の事が改めて教えられました。
この美しい葡萄畑と景観、自然の美しさに尊敬の念を抱きながらそこからの命の雫を頂くのがワインだそうですが、そこに至るには見えない所で相当な努力がなされていると言う事を知りながら味わうワインは又格別の味わいがする様に思えました。
以上

ナパ・バレー ケンゾー・エステート訪問

2013 JUL 7 5:05:06 am by 安岡 佳一

今月のお題目とは全く関係の無い話題で申し訳ありません。

久しぶりにナパで素晴らしい体験をしてきました。

過去に何回か日本からのお客様をお連れしてナパに行った事がありますが、今回は自分の仕事半分、楽しみ半分です。NYの何人かの友達からケンゾーエステートのワインは一級品だとの話を聞いておりましたが、実物のワインをNYのレストランで見る事はあまりなく、幻のワインとも言われており、一度は現地へ行ってみたいと思っておりました。ワイン通の何人かのコメントでは、あのオーパスワンを超えるとまで言われており、あまりワインを飲まない私でさえも一度賞味してみたいと言う欲望に掻き立てられます。

SFに住んでいる友人が何回かケンゾーエステートに行った事があるとの事で、案内をお願いし向かう事にしました。SFから北に走る事約1時間、段々ブドウ畑が見えてくると胸が高鳴ってきます。谷から山沿いを駆け上がって行った所に、ケンゾーエステートの門があり閉まっていました。 友人が「今日は開いてないのかも知れない」と言いながら門前に車を置いてゲートに近づくと、ゲートが突然静かに開き始めました。どこからかカメラで見られてる!! 多分、典型的な日本人の格好の私をカメラで見て安心して開けてくださったのでしょう。 ゲートを抜けて走る事数分、ゲストハウスらしき瀟洒な建物が見えてきました。

ゲストハウスの入り口には、「紫 藍」と記された書画が飾られており、中はシンプルながら非常に上品にデザインされたワインバーがあります。少し中に入り左手を見るとテラスがありそこからは見渡す限りのブドウ畑が広がっている光景は、まるで一枚の絵画の様であり思わず「ワー」と言って息をのみます。

コンショルジェの方から歓迎のお言葉を頂き、ケンゾーエステートについてご説明をして頂きました。当地は、日本の某企業オーナーが20数年前に会社の保養所として購入した事、しかし、ナパでの土地利用には様々な規制があり保養地としてのアイデアは断念し、真剣にワイン作りに挑み現在に至っているとの事です。因みに、当ワイナリーの敷地面積はナパでも最大手らしく、4000エーカー程あり丁度中野区と同じぐらいの広さだと言う事と、未だ利用している土地は数%のみでマダマダこれから発展して行くと仰っていました。又、ナパの雄であるオーパスワンとモンダミのワイナリーは当地の近くだそうです。

説明の後、ブドウ畑とワインの醸造所、そして樽を寝かせているケイブ(洞窟)の方に案内して頂きました。現在は、年間8万本製造されており固定客が多い事から一般のレストランに出回る本数が少ないのではないかと仰っていました。NYでもケンゾーエステートのワインを出しているところは少なく、数える程しか無い為、幻のワインと言われる由縁の様です。

ツアーの後は、先程のバーでティスティングを楽しみました。 紫鈴(りんどう)、紫(むらさき)、藍(あい)の3銘柄を頂きました。何れも非常に円やかでフルーティーなワインでした。この時ばかりは、是非ワイン通の方に表現して頂きたいと思いましたね。紫は暫くブリージングしておくとほのかなチョコレートの様な香りがしてきたのが不思議に思えました。

コンシェルジェの方から、「ボトルショック」と言う映画をご覧になった事がありますかと聞かれました。1976年にナパのワインが初めてフランスのワインにブラインドテストで勝った実話を基にした映画です。その主人公であるジム・バレット氏は、現在ケンゾーエステートでワイン製造責任者されているハイジ・バレット女史のお父様だそうです。成る程、血筋か。

2時間ぐらいの訪問でしたが、非常に内容の濃い、印象深い訪問でした。あのワインの美味しさと当地の美しさを友人に伝えたいと思った次第です。

当地の山を下りて来て、麓の町のイタリアンレストランに立ち寄りましたが、何と美味しかった事か。豊かな気持ちと、美味しい空気と水、イタリアンフードにワインがあれば極楽です。

以上ですが、現地へ行ったのが2週間前、又、今週の週末に掛けて訪問する事になりました。又、NYの友人何人かと世界に所在する友人何人かが是非訪問してみたいととの事で、今年は少なくとも何回か行く事になりそうです。何でもベストシーズンは収穫期の9月頃だそうです。

 

過熱感を帯び始めた一部の米国不動産市場

2013 MAR 24 6:06:05 am by 安岡 佳一

先程、当コメントを書き公開したと思ったのですが、どこかに飛んで行って仕舞ったようです。がっかりしたところで、船橋さんのライブがアップされているのを発見し、コンサートを聞かせて頂きながら気を取り直してもう一度書いております。 しかし、船橋さんのお姿を見るのは大変久しぶりで懐かしいですね。以前、船橋さんがロンドンにいらした時に、確かイギリス人の女性とカラオケでデュエットをされて、「Endless Love」を歌われ、圧倒されたのを記憶しています。日本人離れした英語力と歌唱力だと思いましたが、更に進化されていますね。

ところで、日本は今桜が満開で最高の時期ですね。 NYは未だ朝晩氷点下まで気温が下がり、未だ春遠しと言った感じです。

先日ご紹介した米国株式市場は過熱感無く新値更新と言うお話しでしたが、今回はそれよりももっと熱くなりつつある一部の米国不動産市場についてご紹介します。

私の友人の中で不動産を営む3人の方々から聞いた生の情報です。一人はマンハッタン、一人はロングアイランド、そしてもう一人は西海岸のサンディエゴでの話です。

マンハッタンでは、半年前は中古のマンションを売りに出しオープンハウスをしても見込み客が見に来る数は1日にせいぜい4~5人程度でした。しかし、ここ2ヶ月位前からは急に盛り上がり始めて、来客数が40~50人を軽く超えるぐらいの状況になって来ている様です。中にはその場で売値の提示価格で即決する人や数人で競売になったりする事も起こり始めています。しかし、普通の人はここで売り主と価格で折り合って交渉成立しても、その後に銀行に行って当不動産を買う為のローンの申請を行いますが、銀行の融資姿勢はマダマダ厳しい状況で、申請者に対して散々あれこれ要求はしてくるものの3ヶ月経ってもローンが下りないものも多々有り、結局ファイナンスが付かず買い手も売り手も泣く泣く契約不成立と言う事も未だあります。こんな中、現金を持っている米国や外国の富裕層がその場で契約を取り付けてしまうケースが増えてきているそうです。いよいよ、リスクマネーと言われる様なお金が動き始めた様です。

ロングアイランドでは景色が少々違うようです。ここはNY市の一部ではありますが、面積は非常に大きな島で奈良県と粗同等の大きさのところです。そのロングアイランドの大西洋側の海岸線に位置する場所の不動産屋さんの話ですが、この辺りは昨年の10月のハリケーンで大打撃を受け、100万ドルした海沿いの家が20万ドルまで落ち込んでいました。そこへ、機関投資家と思われる様な投資グループや個人の富裕層がここ1ヶ月前から連日地元の不動産屋を訪れる様になり、纏め買いを始めているとの事で、友人の不動産屋はここの所全く休みが取れないと嬉しい悲鳴を上げていました。

最後に西海岸のサンディエゴでは、売り物件数が非常に少なく、物件が売りに出された瞬間に買い手が直ぐに付くそうで、大変な競争になっているようです。当地は元々住宅戸数も少なく、恒常的に在庫も非常に少ない事から、需給関係は安定しておらず、値動きは非常に荒っぽい動きをします。上昇する時は他の地域よりも上昇率は大きく、その反対に下がる時も下げ率は他地域よりも大きくなります。 漸く、上昇傾向に転じる状況を察した目敏い投資家グループや富裕層の一部が、先回りしてサンディエゴの不動産を買い、早めに売り抜けようとする動きが顕著になって来ているそうです。そんな中に、マダマダ強い円をバックに日本から当地の不動産に投資をする方々もいらっしゃると言う事で、動物的嗅覚を持った投資家が未だ日本にいるのだと言う事が分かり、少々嬉しかったです。

(ご参考までに米国の住宅不動産市場は日本のそれとかなり異なりまして、日本の様に新築市場が主体で、中古のマンション等は年々市場価値が下がって行くと言うのとは違います。市場規模としては、新築の着工件数などは、リーマンショック後などは年間30万件弱に落ち込みましたが、最近は漸く回復してきており約90万件程度です。一方、中古住宅(マンション等を含む)の年間売買件数は約500万戸程度です。これらの中古物件は手入れを小まめにする事等により、物件の価値は下がるどころか場所により上がって行くものも多々有り、その代表的なものはマンハッタンのマンションになります。)

以上

過熱感無き米国株式市場新値更新

2013 MAR 19 14:14:56 pm by 安岡 佳一

皆様もご存知の様に、米国株式市場は先々週から先週に掛けて16年振りの10連騰を達成し新値を更新していました。しかし、その直後に二日連続安となっていますが、マダマダ高値圏に留まっています。 これだけ凄い上げを達成したのだからさぞや盛り上がっているかと言えば、必ずしもその様な感じはしません。何故か? 幾つか理由があると思うのですが、私が考える所ではこの上げの御利益を受けている人は比較的少ないのではないかと思うこと。 2008年のリーマンショックのお陰で、株は40%以上下げ、安値で叩き売ったお金を定期預金(CD)などに滞留させている方々がまだまだ多くいらして、その額ざっと2.5兆ドルとか。全てとは言いませんが、未だ傷が癒えていないお金がかなりあると言う事。 その上、このCDの利率は2008年以前は5年物で4%を超えるものあり、結構利息が付いて美味しい貯蓄商品だったのですが、今では優良銀行のCDは優に1%を切っていると言う事で、年金生活の方々やこれから引退しようかと思ってこつこつ投資していた株式投信がいきなり40%吹っ飛び、その上逃げた先の金利が何も生み出さない程のレートだと自然と暗くなる気持ちは分かります。こう言う方々は未だ結構いらっしゃると推察されます。 それから、ダウ等の指標(ナスダック指数を除く)は名目で新値を更新していますが、所謂物価調整後の指数ですと、直近の高値だった2007年や2000年のITバブルの時代に比べて未だ高値を更新していないらしく、こう言う事も影響しているのかなとも思います。 それと、何と言っても、よくは成りつつあるも未だ2000万人以上の失業者がいる事や、8%を少し切る位の高い失業率では、浮かれられないと言う気持ちがあるやに思います。(娘の大学の授業料はこの秋から3.75%上がるそうです、教育費は過去20年来間違いなくインフレです。)

しかし、この様な環境下だから未だ上がりそうな気がします。前回、大統領選挙後に相場展望的な話をさせて頂きましたが、基本的には同じ理由で、上がる理由が複数あるからです。需給で言えば、FRBが引き続き輪転機を盛んに回していますし、今度は日銀も本格的に稼動すると言う事で、これは結構大きなインパクトになるのではないでしょうか。株式市場だけでは無く、実体経済にもインパクトを与えるでしょう。二つ目に、2007年から始まった住宅バブルの清算が漸く終局に向かいつつあります。あれだけゴーストタウン化し始めたフロリダのマンションが、今度は足りなくなって来たと言うニュースが聞かれます。10月のハリケーンで駄目出しされたNY界隈の海岸沿いの不動産にも、投資ファンドや富裕層の投資家が買い漁っていると言う話を、友人である不動産屋さんから最近よく聞きます。ご案内の様に、企業業績は予想を上回っています。 上記の様に、CD等に待避している資金もかなり一杯あります。

個人的な感触として、株式市場の上げは未だ5割位の感触を持っています。

以上です。

ジムより

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