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映画「ネブラスカ、ふたつの心をつなぐ旅」

2014 MAR 3 11:11:08 am by 中村 順一

父役のブルース・ダーンと次男役のウィル・フォーテ

父役のブルース・ダーンと次男役のウィル・フォーテ

「ネブラスカ」、すばらしい映画でした。正に現代のアメリカの家族と、保守的な中西部のアメリカの田舎が持っている現実、を切実に見事に描いている。

この映画を見に行こう、と決めたのは、アメリカ中西部の田舎を見たいと思ったからだった。ロードムービーを期待したのである。前職の国際金融という仕事の関係でアメリカには何十回も行った。特にニューヨークは中期的な滞在も含めて数えきれないぐらい出張した。残念ながらニューヨーク以外だと、出張では、やはりシカゴ、ロスアンゼルス、サンフランシスコあたりになってしまう。せいぜいアトランタ、ヒューストン、デンバーぐらいだ。アメリカの田舎を知らない。イエローストーン国立公園は、家族と一緒に夏休みのホリデーで、ゆっくり見たけれど。もっと見てみたい、行ってみたい、とずっと思っていた。

当選した懸賞金の100万$を受け取りに行く、と言う年老いた父を止められず、次男の息子はインチキと知りながら、モンタナ州の自宅から、ワイオミング州、サウスダコタ州を経由して1500キロも離れたネブラスカ州まで、車で送っていくことになる。ロードムービーとしても見ごたえがあった。中西部の田舎の風景を十分に楽しめた。でもこの映画の魅力は、やはり老父と次男の息子との心の触れ合いを温かく描写したところである。母は強く、既に夫にあきれている。長男は地方局のキャスターをしていて、父を厄介者扱いしている。

途中、父は酔って転倒し怪我をする。どうしようもないので、次男は父を目的地に行く前に、伯父の家に連れて行くことになる。そこはネブラスカ州の田舎町で、父と母の生まれ故郷だ。そこに父の怪我を聞いた母と長男も集合、伯父の一家や昔の仲間も出てきて、父や母の過去と対面していくことになる。父と次男はこの旅を通して、過去と向き合い、語り合う。なかなか話す機会もなかった2人だが、この旅で大いに心を通じ合わせるのだ。そして最後には次男は父の願いを実現させる。泣かせるラストシーンなのだ。

中西部は保守的な場所だ。次男の愛車は10年以上乗っているスバルだが、伯父の息子たちは不景気な田舎町で失業中でいらいらしており、「お前、そんなジャップの車に乗ってるのか」とも詰ってくる。でも次男はこのスバルを愛しているのだ。

監督はネブラスカ州生まれのアレクサンダー・ペイン。心温まる作品を見事に作り上げた。さすがヒューマン・ドラマの名手である。この作品は今年のアカデミー賞候補になっている。モノクロで描くアメリカ中西部の田舎町、老いた父のボケぶり、次男の父を見つめる目に満ちている愛情、見ごたえがあった。筆者の父は10年以上前に他界しているが、「ああ、僕もあの次男みたいにもっと親父と話せれば良かった。どうして話せなかったのだろう」とか、「待てよ、今の筆者の息子とも、今後この親子のように話す機会は作っていけるだろうか」、とか、いろいろとしんみりと考えさせられた映画でした。現在上映中です。お勧めできます。

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