Sonar Members Club No.26

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ジュリーニのブラームス第4番を聴いてみて。

2013 JAN 26 14:14:43 pm by

昨日のSMC新年会では、ご参加の皆様、たいへん楽しい時間を有り難うございました。その席上にて、東さんからCDをお借りするという、思ってもいなかった幸運に恵まれました。一生懸命に拝聴し、感想を投稿させていただくことが、東さんへの御礼となると考え、今回は、その第一弾であります。

今回初めて聴きましたジュリーニのブラームス交響曲第4番、第一楽章の出だしから鳥肌が立つという経験、何年ぶりでしょう? 何気なく、さりげなく開始され、音色も、ウィーンフィル独特の明るく高貴なもので、だからこそ、逆に晩年のブラームスの寂寥感が浮き彫りになって来る。この第一楽章、2分の2拍子という、他の曲にはあまりないと思われる拍子が採用されているが、ブラームスが何故、この拍子を採用したのか、その意図が、ジュリーニの演奏で何となくではあるが、わかったような気がしました。

全体的に低弦や金管の音量を抑えめにした上に柔らかく響かせ、ヴァイオリンや木管を伸びやかに響かせるジュリーニ節が、この曲にも大いに合っていると感じます。

第2楽章では、弦による第2主題の呈示で、副旋律を際立たせる部分が印象的でしたし、第3楽章、第4楽章も密度の濃い演奏で一気に聴き終えました。

中学生の時の第一印象が強烈だった、フルトヴェングラーの演奏と、つい無意識の内に比較してしまいます。フルトヴェングラーの第3楽章は、迫力はあるが、雑で味わいに乏しく、また4楽章は、テンポや強弱をあまりにも改竄し過ぎて曲の全体像が全く見えなくなってしまっていたという2点に、今回のジュリーニの演奏で初めて気付くことが出来ました。

3楽章は、こんなに聴き応えのある良い曲だったのか? そして、4楽章全体に流れる、寂寥感、諦観、前述のように音色はむしろ明るめで、表現としても敢えて強調しないので、却って、良く伝わって来る。というように後半の2つの楽章の素晴らしさに、今回初めて気付きました。

全体を通じて、表面的に聴けば、ウィーンフィルに殆ど任せていて、ジュリーニ自身の意思はあまり入っていないように聞こえるかもしれませんが、ちょっと集中して聴き入れば、正にその真逆。全曲の至る所に、ジュリーニ美学が強烈に反映されていると思います。ただ、わざとらしくならないように、控えめに上品に細やかな工夫の積み重ねで造型されているので、なかなか気付きにくいのかもしれませんね。

チェリビダッケと同じく、ジュリーニも凄い職人だ! と痛感した次第であります。たいへん味わい深い、滋味に富んだブラームスの4番でした。 花崎洋

 

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