カルメン幻想曲雑感
2017 NOV 14 5:05:00 am by 西村 淳
日曜日、風が少し冷たい昼下がりの神楽坂。路上パフォーマンスの賑わいの中、音楽の友社ホールに足を運ぶ。M氏からのお誘いで「みんなで音楽会」という催し物を聴きに出かけた。主催はグループピアノフォルテというタイトルの通りであるがピアノソロというよりはデュオ、歌、フルート、ヴァイオリンとピアノ+アルファの音楽会でライヴイマジンのような室内楽とはちょっと趣が異なる。音楽のアプローチは色々とあるものだ。
お目当てはM氏も師事したヴァイオリンの五十君門下生の一人、菅原泉さんのサラサーテの「カルメン幻想曲」である。少し遅れて入場したため席は正面中央、1列目の審査員席のようなところで、奏者の息遣いまでが届く距離。このホールの訪問は初めてで200席にピアノは97鍵のべーゼンドルファー・インペリアル、このサイズのホールにはちょっと大きすぎかなと心配したが、柔らかい音色とここぞというときの迫力は流石のものだ。
「カルメン幻想曲」はヴァイオリン技巧のてんこ盛りのような曲でこれをアマチュアの奏者が弾くのは並大抵なことではない。音符に追われてしまい、何一つ伝わらないことになりかねないが、菅原さんの演奏は最後の盛り上がりに向かって技巧も安定し、曲想が十分に伝わってくる熱演であった。サラサーテは手が小さかった故、パガニーニのように大きな手を必要とする特別な技巧は出てこないそうだがヴァイオリニストにとってはやはり高い山であることに違いはない。張りのある輝かしい響きをホールいっぱいに響かせてくれた。弦楽器奏者にとって楽器は宿命的といってもいいものだ。弘法筆を選ばずとは一理あるが弘法が二人いたらいい筆を持ったほうに軍配が上がるのは道理である。
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maeda
11/14/2017 | 6:44 PM Permalink
彼は五十君先生に師事したことはないのですが、五十君先生の先生であるシュタフォンハーゲンの愛弟子でした。謂わば、五十君先生の兄弟子です。音楽の魂を感じさせる演奏にいつも感服です。
西村 淳
11/14/2017 | 9:01 PM Permalink
うろ覚えのことを書いてしまいました。大変失礼なことをしてしまいました。訂正感謝いたします。
アマチュアの演奏家にもそれぞれの「音楽の歴史」があるにちがいありません。そんな人たちの音楽を、生き様をもっとお伺いできる機会があればいいと思っています。