前口上の後半
2026 APR 6 21:21:25 pm by 西村 淳
「58」でお話ししたトリビアの2つ目。トランペットのことを少し。
1977年にNASAが打ち上げた宇宙探査機ボイジャー号、太陽系を離脱し50年経っても尚、通信が途絶えていない。今年の11月頃に、地球から1光日(光が24時間で進む距離約259億km)に到達する見込み。そのボイジャーにはGolden Recordと言うものが搭載されており、一種の「タイムカプセル」で宇宙人に向けたメッセージ。勿論、画像や音声、音楽が収められている。その中の一つに「クジラの歌」があり当時はそれがとても新鮮で印象に残った。では音楽のファーストトラックとして選ばれたのは?異星人が聴く初めての地球人の音楽は何だろう?答えは何とブランデンブルク協奏曲第2番 の第1楽章。この曲はトランペットが大活躍する。古くはエジプト、ツタンカーメン王の棺には2本入っていて、20世紀になって何とそれを吹いて壊してしまった人もいたようだ。一方キリスト教ではこの楽器は「神の声の象徴」とされ聖書の大切な場面で登場する。なるほど、そんな訳でこの曲が選ばれたのかと納得したが、選曲者のセンスには脱帽だ。普通はなかなかここまで行きつけない。
閑話休題。
昔よく松本零士さんのアニメ「銀河鉄道999」を愛読していた。当時、苫小牧(勇払)の工場へ勤務していた頃の話。その頃は地方にもジャズ喫茶があって豪華なオーディオを競っていた時代だ。苫小牧にあった「音蔵(おんくら)」は、なんとスピーカはJBLのParagon。ここにこのアニメが全巻あって夢中になって読んでいた。
さて、「999号」にもGolden Recordが乗っていると妄想した。因みにアニメの連載開始は1977年のこと。この年は記念すべきボイジャーの打上の年だしリアル宇宙探査とフィクションの宇宙冒険が交差した運命的なパラレルワールドではないか!?となると主人公、星野鉄郎はバッハでなければならないし、メーテルはアンナ・マグダレーナ。メーテルが黒いマントの下にバッハの楽譜を隠し持って、宇宙人に「この音楽をお聴きなさい。人の魂の旅ですよ」みたいなセリフを言うシーンとか、想像しただけで胸熱になってしまった。
・・ある晴れた日に、桜の木の下にはGolden Recordが埋められている。
バッハのカンタータ第82番。ハンス・ホッターの歌うこの曲でバッハの声楽曲に目覚めたのもこのころ。

(2026年4月4日 すみだトリフォニー小ホールにて)
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3 comments already | Leave your own comment
西村 淳
4/8/2026 | 9:10 AM Permalink
そういえば北九州の駅前に鉄郎とメーテルのブロンズ像があった。どうしてか知らないけれど。
西 牟呂雄
4/8/2026 | 2:54 PM Permalink
それは作者の松本零士が、高校卒業後に上京するまでの少年時代を小倉で過ごしたからです。
北九州空港では等身大のメーテルのフィギアが案内してくれますよ。
小倉は松本清張と松本零士が二枚看板で、松本清張が朝日新聞西日本本社の宣伝部で印刷の嘱託だった頃、子供時代の松本零士はそのすぐ前に住んでいて、面識があったと聞きました。
小倉は他にパンチ・パーマ発祥の地、バナナの叩き売り発祥の地(門司)、競輪発祥の地・・・でもあります。
そうそう、松本零士はワグネリアンでしたよ。宇宙戦艦ヤマトのイメージに重なりますね。
西村 淳
4/8/2026 | 4:45 PM Permalink
同じ頃、清張にも嵌りましたよ。となるとダブル松本、いいですねえ。なるほど、パンチにバナナ。これに鴎外も顔を出すし、競馬場から工藤会まで。何でもあり。小奇麗な中身のない街は大嫌いだけど、ここにいれば退屈しないで済みそうです。