Soner Menbers Club No43

Since May 2014

グレーラーさんの本

2019 JAN 30 0:00:26 am by 吉田 康子

ルイ・グレーラー著、 雨田 光弘 絵、「ヴァイオリンはやさしく音楽はむずかしい 二十世紀楽壇の逸話集」という本を読みました。何だか聞き覚えのあるような名前でしたが、検索すると
ルイ・グレーラー(Louis Graeler 1913年 – 1987年)は、ニューヨーク生まれのヴァイオリニスト。クーリッジ弦楽四重奏団、クロール弦楽四重奏団などで活躍後、トスカニーニ率いるNBC交響楽団で活躍、シンフォニー・オブ・ジ・エアーのコンサートマスターを務めた。1960年に来日、日本フィルハーモニー交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団、札幌交響楽団のコンサートマスターを務めた。とあります。

先ず、この本の装丁が印象的でした。ハードカバーでもなく文庫でもない、小学校の教科書みたいな表紙の感じと親しみやすい手触りが気に入りました。1985年の初版で増刷するにつれて、今では64刷になり以下のような別の表紙に変わっているようです。

たぶん口述筆記のような形で奥様である羽仁 結さん(羽仁五郎の娘で映画監督の羽仁進の姉妹)が日本語に訳したようです。私の手元にある本の最後には、訳者 暮良(グレーラー) 結子と書いてありました。だからでしょうか、ポツリポツリと思い出話をするような文章で当時のエピソードが語られています。

楽団員や指揮者の逸話、エルマン、ハイフェッツ、フォイヤーマン、クライスラー、トスカニーニ、ストコフスキー、モントゥ…同じ時代に生きた巨匠達も沢山登場します。こんな恵まれた立場にいた人が何故日本に来たのか?ニューヨークでの確立した社会的地位を捨ててまで来る価値が戦後混乱期の日本にあったのか、私には理解出来ないという気持ちが残りました。

それともうひとつ、雨田さんの挿絵が一般的にカレンダーなどでみかける猫の絵でないことも意外でした。水墨画に彩色した猫の絵が人気のようですが、私はそれほどのものとは思えません。たまたまチェロ弾きで絵が描けるという二刀流であることが、競合相手のいない隙間の業界でウケた印象がありました。この人がチェロ弾きでなくただ普通の絵描きだったら?猫が楽器演奏をしていなかったら?親から受け継ぐ才能は多少あったにしても、これほど人気にならなかったでしょう。やはり背景にあるストーリーがプラスアルファに作用してモノをいう今の風潮を感じました。むしろこの本の挿絵の方が余程暖かみがあってグレーラーさんの人柄まで伝わってくるようで、ほのぼのとしています。どうせ音楽系のジャンルで勝負するなら、なまじか猫に特化せず人物の絵をもっと描いて欲しいなと思いました。
   

また、この本の中で一番に印象に残ったのは、日本に来たグレーラーさんが「仕事を始めてみると、じきに私を必要とする事情がのみこめました。我々は演奏する音楽の中で生まれ育ち、人生をその中でして来ているのです。それは、先生から習い教わったものとは違います。それが私だけであることを知ったのです。」という文章です。

昔読んだパリ左岸のピアノ工房の中にも、主人公のご近所の奥さんでアマチュアのピアノ弾きの人の言葉に「音楽そしてピアノを弾くことは私の生活そのものなの」と語る言葉がありました。

歴史に裏打ちされた文化背景の違いを痛切に感じたものです。師匠から教わったものは「芸」の模倣であって芸術ではないです。グレーラーさんが日本に来て肌で感じ取った違和感は、そのまま日本での音楽の在り方を表しています。他愛のないエッセー集の体裁ですが、色々と考えさせられるヒントを貰ったように思いました。

ツリーの片づけ

2018 DEC 31 19:19:32 pm by 吉田 康子

今年もあと僅かになりました。皆さん慌ただしい頃だと思います。
我が家でも昨夜ようやくクリスマスツリーを片づけました。私は実用性が無い飾り物は好きではないのですが、これは唯一の例外です。飾って楽しむだけのものとしてツリーは期間限定ということもあって特別の楽しみです。

これは約25年前に住んでいたハワイのホノルルで購入したもの。高さが2m30cmあり、天井にギリギリの高さ。中心の幹にあたる金属棒に針金の芯に細長い葉を挟んだような枝を引っ掛けます。誰でも組み立てられるように色分けしてあるのは親切設計です。年月を追うごとに葉がポロポロと落ちて、心なしか枝が細くなったような気もします。
   
購入時は折角だから大きいものを!と思って灰色がかった緑色が気に入って買いましたが、帰国後の日本の家屋にはとんでもなく大きいものでした。一番下の段の一枝が長さ70cmくらいあり、枝を曲げても直径にして150cmくらいあり、スリムな日本製とスタイルが違うようです。仕舞っておく箱も長さが150cmあり、長年の出し入れでボロボロ。これを持っての移動だけでも大変です。

写真はクリスマスで飾ったものを片づけていく順序なので、最初が出来上がりです。プラスチックのピンクのボールは150個、ガラスのボールは100個、ライトが800個くらい。一番上は天使の飾りです。数年前にライトはLEDに変わりました。ライト自体の光がボールやガラスに反射して綺麗です。

 

全部の飾りをひとつずつ木に下げていくのは大変ですが、出来上がって点灯した時は「今年もようやくクリスマス」という高揚感と過去のクリスマスを思い起こしての感慨深さがあります。そして片づける時には、時間に追われるような慌ただしさと共に来年への思いも。

今回も家族に手伝って貰いお喋りしながらの作業でしたが、古びていく枝を見ていると「いつまで続けられるのかしら」と考える年齢になったようにも思います。私にとってはこのツリーのせいか、お正月よりも心情的には大きな節目になるような感じがしています。

皆様どうぞよいお年を!

ショーソンのコンセール

2018 NOV 28 19:19:34 pm by 吉田 康子

11月24日(土)にライヴ・イマジン41が終了しました。こちらの「ライヴ・イマジン音楽記」もご覧ください。
http://liveimaginemusic.blog91.fc2.com/
この公演で弾いたショーソンのコンセールは私にとって今迄で一番の大きな曲でした。ライヴ・イマジンでは沢山の室内楽曲や協奏曲を弾く機会がありましたが、それを顧みても尚且つコンセールには「特別の難しさ」がありました。

とにかく音符が多い。しかも増三和音が多く単音と交互に出てきたり、左右の手を度々交互に用いて弾くなど様々なパターンがあり、それらが主に音楽の背景を彩る役どころ。ピアノにはしばしばありがちで、そういう時に他の楽器は長く伸ばす数少ない音符で旋律を気分よく歌っているパターンです。ロシアものの協奏曲のように分厚い和音やオクターブの連続で圧倒するような主役級の立場ではないだけに、傍から見れば軽く弾き流しているようにも聞こえるかもしれません。しかも曲想が盛り上がるに従って本来のテンポより加速する・・・CDに登場するようなプロのピアニストなら難なく鮮やかに弾き切るのでしょう。そして聴くだけの人達の耳にはCDの演奏が標準として刷り込まれているのではないかとも思います。

技量に限りのある私は練習量で補うしかありません。これは2回目であっても約40分の演奏時間85ページの楽譜に満載の音符を身に付けるのに大変な時間がかかりました。2か月前に師匠のところにレッスンに行って、「本番はいつ?」と訊かれて「11月です」と答えたら「今年のですよね?」と言われて心が折れそうになりました。「常に2つ先の本番の準備をしなさい。その曲に少しでも長く触れることで理解が深まるから」と以前に言われたこともあり、師匠の意図するところは十分に伝わりました。

「そんな身の丈に合わない難曲を選ぶなよ」と言われたら返す言葉がありません。でも無理を承知で自分が好きな曲に挑戦できるのも私達アマチュアの特権です。だからと言ってわざわざ聴きに来て下さるお客様に自己満足だけの演奏を聴かせるわけにはいきません。持てる限りの全ての時間を注ぎ込んでの練習でした。

この曲で自分に一番足りないところは?と改めて自分に問い直して出て来た答えは、「速く弾く」ということでした。量は多いものの楽譜上の音符を音にするのは、ゆっくりなテンポであれば可能でした。これを速く弾けるようにするのが大きな課題。次の音が解っていて無駄の無い動きで進む、要するに暗譜するくらいでないと楽譜を見ていたのでは付いていけません。繰り返し弾いて自分に定着させる、少しずつテンポを上げていく、そんな地道な練習を重ねました。

タモリの言葉に「真面目にやれよ、仕事じゃないんだから」というのがあるとお客さんから教えて頂いた事があります。人生の後半戦に差し掛かっているのに、今を逃したらもうチャンスは巡ってこない危機感があります。しかも歳をとると現状維持はおろか劣化してくることも大いに予測がつきます。その「現状」だってどの程度のものかは、私自身が一番よく理解しています。やはりここ一番の時は真っ向から真面目に取り組むのが正道です。

通常の協奏曲ならソリストが大きな責任を負うところですが、コンセールの場合は、もう一人ヴァイオリンのソリストがいました。全員合奏とは別に2人での演奏部分の練習時間を何度か取って頂き、根気強く繰り返しの練習にお付き合い頂きました。また弦楽合奏の方々もそれぞれが取りにくい音程、複雑なリズム、目まぐるしく変わるテンポに順応している様子を見て尚更自分も頑張らないと、という思いを強くしました。

この曲との出会いは、第2楽章のシチリアーノがNHK-FMのクラシック音楽番組のテーマ曲であったことがきっかけです。もうかれこれ30~40年くらい前のことかもしれません。NHK-FMは、クラック音楽を身近に聴ける手段でした。どの番組であったのかさえ思い出せず、検索しても見つかりませんでした。ひなびた空気を醸し出す物寂しい雰囲気という印象です。

15年ほど前にライヴ・イマジンでの演奏曲を考えていた時の候補として教えて貰って、初めて他の楽章も知りました。どの楽章もドラマチックで物語性があってカッコいい、ぞっこん惚れ込みました。コンセールは協奏曲と訳されることもありますが、そんな直訳で表現しきれるものではなくピアノは独奏者と室内楽奏者の両方の役割を担う立ち位置であると感じました。11年前にご縁あってプロのヴァイオリン奏者と演奏しましたが、何も解らずに夢中で弾いていたその時よりは、私自身が曲を理解し皆で音楽を創れたという点で大きな収穫があったと思います。

2015年に当時は国内で数少なかったイタリアのファッツィオリのピアノが豊洲シビックセンターに入ると聞いて、いつかきっとコンセールを弾きたいという思いを温めてきました。何度かこのピアノを弾く機会はありましたが、予想の通りショーソンにはピッタリの響きの美しい音色で私を助けてくれました。

大変な思いをして練習してきたのに、終わってみれば楽しかった気持ちと美しい響きだけが残っています。自分の練習が足りなかったところも明確に覚えていますが、私の記憶は自分に都合のいいものだけを残すように出来ているのかもしれません。直後は放心状態に近い心境で過ごしましたが、ようやくリセットして次に向かう意欲がわいてきました。「ライヴ・イマジンはライフワークになったね」と言われたことがありますが、その通り、素晴らしい人達に恵まれ、音楽に取り組める日々をこれからも満喫したいと思っています。
 

ブラボー!イッサーリス。

2018 NOV 7 16:16:52 pm by 吉田 康子


スティーブン イッサーリスのリサイタルに行ってきました。音楽ってなんて素晴らしいんだろうと心から愉しむことが出来ました。たった一度の東京でのリサイタル、もったいないですね。チケットは完売でした。

今回は「音楽に[失われた時]を求めて」という副題が付いた演奏会。熱狂的な音楽愛好家であったフランスの作家マルセル・プルーストの長大で難解な作品「失われた時を求めて」の世界と同時代のベルエポック期に活躍した作曲家フランク、サン=サーンス、フォーレ、アーンなどの作品を重ね合わせた、というのがコンセプト。そうは言われても、正直なところ、この時代の文学に疎い私にとっては縁遠い世界のように思えました。

久しぶりに登場したイッサーリスは少し恰幅がよくなり、トレードマークのカーリーヘアも幾分白くなっていました。共演のピアニストのコニー・シーも12年ぶりで落ち着いた雰囲気に。やはりこんなところにも時の流れを感じました。

イッサーリスの自然でのびやかなフレージングはますます磨きがかかり、音楽が溢れてくるよう。そしてコニー・シーのピアノはとても繊細に寄り添い息がぴったり合っていて、ため息が出るほど見事なものでした。この人は間違いなく一流。アーンの甘い旋律から始まり、晩年の美しい響きが散りばめられたフォーレのソナタも技巧的ながらもそれ感じさせない歌心を聞かせてくれました。

そして今回のメインテーマでもあるアデスの「見出された場所」。イギリスを代表する現代作曲家トーマス・アデスがイッサーリスの為に書いた作品でプルーストの「失われた時を求めて」に直接触発されたとか。2009年の初演は作曲者のピアノとイッサーリス。難曲中の難曲といわれるだけあって、チェロのあらゆる技巧を詰め込んだ印象。気迫のこもった演奏で緊張感がこちらにも伝わって一気に引き込まれました。2016年のプロムスではオケ伴でやったそうですが、フィナンシャルタイムズの記事に、アデスとイッサーリスとの間で、「こんな悪魔的で難しいものは弾けない!」「だったら他のチェロを探す!」などギリギリのやり取りの末行きついたもの、とありました。

休憩を挟んでの後半のサン=サーンスのロマンス、フランクのソナタは、アデスから解放されたのかリラックスしてのびのびと音楽を楽しんで演奏しているよう。客席の雰囲気はお馴染みのフランクのソナタを楽しみにしていた様子でしたが、私はアデスの作品がこの日一番の素晴らしい演奏だったと思いました。

あいにくの雨でしたが、楽器がよく鳴っていて最弱音から最強音までのダイナミクスの幅の広さが真っ直ぐに届いてきました。アンコールはサンサーンスのロマンスop.36と白鳥。ストラドにお辞儀をさせると「今日の演奏はこれでおしまい」という意味だということをお客さん達もよく解っていました。

終演後のサイン会に並びましたが、もうイッサーリスとは10年来の友人でもあるので、サインでなく久しぶりに会えたご挨拶を。気さくな彼は、つい数日前に会ったかのような相変わらずの様子でした。

ライヴ・イマジン41

2018 OCT 25 20:20:53 pm by 吉田 康子


2018年11月24日(土)13:30開場 14:00開演
江東区豊洲シビックセンターホール
入場無料(要整理券)未就学児童の入場はご遠慮下さい

秋のライヴ・イマジンは、爛熟したロマン派の響きの音楽をショーソンを中心とした作品でお楽しみ頂きます。中でもコンセールは、音符の数がとても多く独特の和声がちりばめられ、ほの暗い情感に溢れた美しい曲です。私にとって大変難しい特別な曲ですが、いつかファッツィオリで弾きたいという思いを長年温めてきました。独特な編成のため演奏の機会が少ないですが、詩曲と同じく大変な名曲です。皆様にもその魅力をお伝え出来ればと思っています。ご来場をお待ちしております。

ショーソン 詩曲 (ヴァイオリン独奏:前田秀) 
ヴェーベルン 弦楽四重奏のための緩徐楽章
ヨハン・シュトラウス二世 皇帝円舞曲
・・・・
ショーソン ヴァイオリンとピアノ、弦楽五重奏の為のコンセール

ヴァイオリン:内田 明美子、木村 俊道 ヴィオラ:内田 吉彦
チェロ:西村 淳 コントラバス:櫻澤 有紀子 ピアノ:吉田 康子
フルート:大門 一夫 クラリネット:藤崎 香奈子

入場整理券をご希望の方は、下記の問合せ先アドレスに
お名前 ご住所 電話番号 年齢 職業 コメントを添えて
「ソナーメンバーズブログを見て整理券希望」とご記入下さい。
折り返し上記の葉書(入場整理券)をお送りします。
お問い合わせ  liveimagine@yahoo.co.jp

リフォーム工事完了

2018 OCT 14 18:18:09 pm by 吉田 康子

3か月に渡った自宅リフォームが完成しました。ほぼ毎日防音室に通っていたので、日々の進捗が手に取るように見えました。

大工さんが柱や壁、床、耐震補強、断熱材など家の構造に関わる部分から着手し、次いで階段、玄関の靴箱やクローゼットなどを作り終えるまでが全行程の3分の2くらいを要しました。今年の夏は特別の酷暑で年配の棟梁には気の毒な程でしたが、コツコツと丁寧な仕事をして下さいました。「一生懸命やっていると何だか自分の家を作っているような気持になる」という言葉が印象的でした。家の前に山と積み上げられた木材が柱や壁材になって家に収まっていく様子はパズルのピースのよう。そのあとキッチンやお風呂など設備が入るのと並行してボードを貼り、クロス屋さんに引き継がれました。家中の天井や壁紙、床のクッション材を貼っていくのは、お化粧をしている感じです。壁や天井が白くなると一気に明るくなりました。その後に電気工事、エアコン取り付け、最後にトイレと洗面台が入って水が使えるようになりました。仕上げにハウスクリーニングが入ると養生シートに覆われていた床材や設備が現れて、まさに「新築そっくりさん」に。昨日今日と「現地見学会」をして、モデルハウスとして公開しました。訪れた方々は新築さながらの仕上がりに一様に感心した様子でした。夕方見学会を終えて鍵を受け取ってようやく工事完成の実感が沸きました。

今回担当して下さった方は、建築士でもあるのでご自身で図面を作成し、色々なプランを提示してくれました。今まで沢山の現場を手掛けてきたのでしょう、的確なアドバイスはとても心強いものでした。階段の勾配を緩くしたり、間取り変更や空きスペースの有効利用、水道栓の位置に至るまで以前の生活に基づいたきめ細かな配慮を頂きました。どんな小さな事でもきちんと対応して下さる姿勢は大きな信頼に。やはり最後は「人」ですね。引っ越し、仮住まい探しからエアコン移動に至るまでの連携も滞り無く運びました。ご縁あっての今回のリフォーム工事はピッタリ予定通りに完了しました。明日、仮住まいからの引っ越しです。
     

新築そっくりさん

2018 AUG 17 19:19:07 pm by 吉田 康子

これ、リフォーム工事の名前です。以前、広告でこのネーミングを見た時は冗談かと思いました。でも一度見たら忘れないという点ではなかなかスゴイと改めて思います。

我が家は築25年になる小さな戸建てですが、経年劣化とでもいうのでしょうか、古さを感じ始めていました。数年前に浴室や洗面台を取り替えたものの今一つの感じで、次はキッチンを思っていました。やはり水回りが気になるものです。ショールーム見学をしたりリフォーム相談をしているうちに話はとんとん拍子に進み、ピアノのある防音室と外壁を残して内側を全て作り変えるという工期3か月の大々的なリフォームに。まぁ担当者に上手く乗せられたのかもしれませんが、「やるなら今でしょ」という機運に乗ってしまおうというイケイケの感じもありました。

住みながらの改築は出来ないので、3か月だけの短期仮住まい用のマンションに引っ越し。家財の半分は保管庫に、残りの半分を仮住まいに運搬という大ごとに。長年住み続けていると何かと物が増えるものです。ライヴ・イマジンの本番が終わってから一週間ほど、実際には正味3日で荷造りをしました。断捨離なんて言っている暇も無く、とにかく運び出して貰えるように梱包するだけで精一杯、引っ越し当日の早朝に最後に残った自分の荷物を全て段ボール箱に詰め込んで何とか準備完了というギリギリセーフ状態でした。

自宅から車で10分かからない近所のマンションなので生活圏は同じですが、ピアノが無いので毎日自分の練習とレッスンに通っています。家の中は床や壁を取り壊して大々的に工事中ですが、防音室に入れば今迄通り。電気、電話、インターネットは継続しているものの水が使えないのは不便ですが、贅沢を言ってられません。楽譜の他にお弁当や水筒、おやつまで持参して通う毎日は夏期講習にでも通っている気分。9月の始めから次回公演の合奏が始まるので、今は準備と練習に追われています。工事完了は10月半ば、本番1ヶ月前の予定です。
 

ライヴ・イマジン40のご案内

2018 JUN 16 23:23:45 pm by 吉田 康子


早いものでライヴ・イマジンは15年目、40回目の公演になります。奇しくも七夕の日に一番親しみのある会場である「すみだトリフォニーの小ホール」でお祝い出来るなんて、なんだか素敵な演奏が出来そう♪と考えるのは楽観的でしょうか・・・
折角の節目なので明るく親しみやすい名曲を、と大切にしてきたシューマンのピアノ五重奏を再び。そしてシューベルト晩年の2つの歌曲で彩りを添え、幸せに満ちたジークフリート牧歌を田崎先生の指揮で、という思い入れのあるプログラムになりました。ご案内チラシも色とりどりで華やかに仕上げました。

シューマン  ピアノ五重奏曲 変ホ長調 Op.44
シューベルト 歌曲 流れの上で D.943、  歌曲 岩の上の羊飼い D.965
ワーグナー  ジークフリート牧歌 (指揮:田崎 瑞博)

ソプラノ 鷹尾伏 紘子 フルート 大門 一夫 
オーボエ 野原 国弘 クラリネット 佐藤 健 、藤崎 香奈子
ファゴット 奥山 薫  ホルン 池田 真 、宮澤 久美子 
トランペット 奥山 宏 ヴァイオリン 玉城 晃子、 青山 千裕
ヴィオラ 須藤 麗子 チェロ   西村 淳
コントラバス 北村 隆男  ピアノ 吉田 康子

お問い合わせ  liveimagine@yahoo.co.jp

残念な楽譜

2018 MAY 25 10:10:37 am by 吉田 康子

最近残念だったもの・・・それはショーソン作曲「コンセール」のサラベール版の楽譜です。

ピアノとヴァイオリンと弦楽四重奏の為の、と副題があるOp.21の曲。
これは2007年に旧奏楽堂でのライヴ・イマジンで取り上げたことがあります。第2楽章のシチリアーノはNHK-FM音楽番組のテーマ曲にも使われたことがあるので、耳にしたことがある方も多いかもしれません。どの楽章もドラマチックでくぐもった美しさがあって、ぞっこん惚れ込んで練習を始めました。いやはやピアノの音が多すぎ!という感じ。しかも増6度とか増3度とか馴染みの薄い和音のアルペジオで譜読みに苦労しました。
    
当時はインターナショナル版しかセット楽譜が売っていなかったので、それを購入して使いました。そして図書館でフランスのサラベール版をコピー。比べてみると中身はほぼ同じでしたが、やはりフランスのサラベール版は、少し大きめサイズで表紙の文字からして雰囲気がありました。当時共演したヴァイオリニストが発注していましたが、結局は到着が本番に間に合いませんでした。
下の画像の左がインターナショナル版、右がサラベール版です。
  

もし機会があれば今度は是非サラベール版でと思っていました。ライヴ・イマジン41で演奏出来ることになったので早めに発注。値段を見てビックリ!インターナショナル版は全パートのセット譜¥7650に対して、サラベール版は何と弦楽器のパート譜セットだけで¥6170、別売りのスコアを兼ねたピアノ譜は¥8240もしました。全部買えば倍額近くになります。とりあえずピアノ譜だけ発注しましたが、ゆうに2か月を要してようやく届いたのが、これです。

 
何これ?!と思わず呟いたほどでした。間違った楽譜を頼んだかと焦りました。コピー譜を綴じたかのようなリング式で間に合わせのような装丁。しかも実際はA4より小さめサイズ。何でこんなに変わってしまったのか?図書館にあった昔の装丁の楽譜を想像して楽しみにしていたのに、子供のスケッチブックのようなもので¥8240は、ぼったくりでしょう?!なんか騙された気分でした。

細かい音が多い曲だけにこのままでは書き込みも出来ず使い物にならない・・と思案した挙句、拡大してB4版にと思い立ちました。先日キンコースに行ってクリーム色の紙を指定して両面印刷、表紙には透明なカバー、裏表紙には紙と同じクリーム色の台紙にしてリング式で仕立て直したら見違えるように。こちらの方が余程綺麗で見やすいです。
下の画像は、上から以前使ったインターナショナル版(ペヌティエとパスキエのサインも)、今回取り寄せたサラベール版、拡大してB4版にしたもの。
 
まぁこれも通販ですから、実物を見ないで買うというのはこういう事かもしれません。そういえば楽譜店のサイトにも画像が載っていなかった事に今更ながら気づきました。

改めてサラベール版について検索してみると「ドビュッシーやラヴェル、サン=サーンスの作品を出版しているデュラン社は1869年、サラベール社は1894年の創立ですが、現在では独立経営が難しくなったため1907年創設のエシック社と組んで共同経営する形をとっています。出版社が合併・統合を繰り返し次第にそれぞれが持っていた個性を失って行くのはなんとなく寂しい気はしますが、これも時代の流れの中ではやむを得ないことなのでしょう。」という記述があって共感。

学生時代には、ショパンのコルトー版といえばサラベール社から出版されている水色の高価な楽譜でした。ポーランドのパデレフスキー版が¥2000くらいだった時にコルトー版は¥6000くらいしていましたが今では全音からライセンス版が出ています。装丁や紙の質が悪かったパデレフスキー版は、すぐにページがバラバラになってしまっていましたが、これも下の画像の通り今では日本語解説が付いた何の変哲もない国内版になっています。

今では楽譜を売っている店が減り、ネット取り寄せや気に入った1曲だけをダウンロードできるサービスもあり、隔世の感があります。


上の画像は中古で買ったフランスの楽譜で廃版のものばかりですが、表紙の絵や文字に個性が感じられて味わいがあります。懐古趣味ではありませんが、私は旧いものの方に心惹かれます。効率だけを求めて合理化したものも必要でしょうけれど、こういう趣味のものにはそれぞれが持つ味わいを残して欲しいです。
    

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