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靖国問題

2014 JAN 14 16:16:41 pm by 中村 順一

東氏の「安倍首相の靖国神社参拝について」の投稿を読ませてもらいました。確かに近隣2か国にギャーギャー言われる必要はない。ただ筆者が1978年の突然のA級戦犯合祀以降、複雑な気持ちで靖国神社を見つめてきた経緯を書いてみたい。

靖国神社の前身である「東京招魂社」は明治天皇の命により1869年に創建された。西南戦争を経て、日本国を守護するために亡くなった戦没者を慰霊追悼するための施設・シンボルとして、存続してきた。大東亜戦争後、時間が経過した現時点で、国に殉じた先人に、国民が感謝の念を捧げ、平和を誓うのは当然、という意見の一方、政教分離の議論、あの戦争は侵略だったか自衛だったか、という歴史認識、日本軍が進駐し犠牲者も出したアジアの国々への配慮から、政治家の参拝を問題視する見解もある。なかなか日本国民の中で、意見の一致を探るのが難しくなってきている。特に東京裁判でA級戦犯とされ刑死した7人が、靖国神社の祭神として合祀されてから問題が大きくなった。

筆者はこの問題は、究極的には、純粋に日本国内の問題である、と考えている。即ち「A級戦犯は戦勝国による犠牲者、とする意見」と、300万人を超える日本人の犠牲者を出し、無条件降伏という惨めな敗戦により、日本の国際的地位を無残にも落とした責任の所在から、「責任のあるA級戦犯と、国の為に戦い犠牲となった一般の軍人とを一緒に祀り、顕彰することを問題視する意見」の対立である。筆者は後者の意見の立場である。やはり国の為に戦い、無念にも帰ってこれなかった「永遠の0」の主人公のゼロ戦操縦士宮部や、戦死した筆者の2人の叔父達と、いろいろな事情があったとは言え、あの途方もない戦争を判断した男たちが同じ場所にいるのは、どうしても違和感がある。事実として日本は”自分から始めた戦争に惨敗”した。説明責任の”少なくとも一部”はあのA級戦犯にあるのだ。

靖国神社には別に遺骨があるわけではない。単に戦死した記録が残っているだけだ。筆者は以前に、二人の叔父の合祀の事実を確かめたくて、靖国神社に問い合わせたことがある。すると靖国神社社務所より、丁重な回答が手紙で来た。「御照会の御祭神につき回答申し上げます。確かにお二人は当神社の御祭神です。死亡日、死亡時所属部隊、階級、合祀年月日は以下のとおりです。」対応は極めて丁寧だった。靖国は現代及び未来の日本人が、日本の為に戦ってくれた先人を尊ぶために、もっと行くべき場所なのだ。

やはり問題は1978年の当時の靖国神社宮司、松平永芳による突然のA級戦犯合祀であろう。しかもその事実は1979年4月にA新聞が報道するまでは、国民の知るところとはならなかった。

昭和天皇がこの合祀に不快感を持っていた、という説がある。2006年になって、1988年当時の宮内庁長官だった富田朝彦が昭和天皇の発言をメモしていた手帳に、昭和天皇がA級戦犯の合祀に不快感を持っていたことを示すメモが残っていた、と日経新聞が報道したのである。確かに昭和天皇は1975年11月を最後に靖国に参拝しなかったし、今上天皇も参拝していない。日本国の象徴である天皇が何らかの理由で戦没者が祭られている場所に行かない、行けない、というのは何かがおかしいだろう。将来的には個人的には「A級戦犯の分祀」を期待したい。天皇にも参拝してもらいたいのだ。

しかし、近隣の2国からうるさく言われるのにも耐えられない。実はこの反日運動を煽ったのは日本のA新聞である。1978年の合祀から7年間弱、この2国は特段抗議はしてこなかった。抗議が始まったのは、A新聞が靖国問題を特集し、同時期に当時の社会党の田辺書記長が訪中し、中曽根首相が公式参拝を実行した1985年8月以降なのである。合祀が発表された1979年以降、鈴木善幸首相が何回も参拝したが、抗議はなかったのだ。最近、韓国の某金融機関の東京代表と話をしたが、彼の話で、韓国の財務省系の高官の話として「A新聞にも困ったものだ。まるで韓国と日本の国民が仲良くするのを阻害しているようだ。そこまで喧嘩を煽りたいか。韓国のマスコミも悪いが。」といった意見を紹介してくれた。A新聞が煽り、両国のマスコミが過剰反応する、という悪循環である。日本と近隣2か国は今後も仲良くしていく必要があるのは言うまでもない。A新聞のみではない。日本の左派マスコミは、日本サイドから両国の「反日」を作ってしまう傾向がある。これは良くない。戦争はもう69年も前に終わっているのだ。

安倍首相は今後も靖国参拝を続けるのだろうか。正月の民放テレビのインタビューで中曽根元首相が「安倍君も一回はどうしても行くという決意だったのだろう。一回行けば一応満足で、今後は行かないのではないか。」と発言していた。最近は近隣2か国だけでなく、欧米諸国からも批判的なコメントが出ているのが気になる。日本は世界の中で柔軟に確固としたプレゼンスを確保していく必要がある。日本の味方、友人を増やしていかなければならない。

筆者としては、近隣2か国にギャーギャー言われるからではなく、日本の歴史を勉強してきた日本人として、親族が靖国の祭神である子孫として、日本の首相には、在任中は、A級戦犯が合祀してある靖国に行ってほしくない。

 

 

 

 

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