Soner Menbers Club No43

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シューマンのアンダンテと変奏 Op.46

2025 NOV 4 13:13:08 pm by 吉田 康子

シューマンのアンダンテと変奏を11/8に弾きます。

これは2台ピアノのレパートリーの1つとして取り上げられることがありますが、もともとは2台ピアノ、2台チェロ、ホルンという変わった組み合わせです。
シューマンは何故こんな編成にしたのか?モーツァルトのお友達のホルン奏者ロイドゲープみたいな存在が身近に?「アダージョとアレグロ」というホルンの伸びやかな旋律が魅力の曲もありますが、ホルン、特にナチュラルホルンの音色が好きだったのでしょうか?結局のところ理由は不明です。しかもチェロが2台も一緒・・・ヴァイオリンでなく何故?と。

試作段階でクララ・シューマンやメンデルスゾーンからの評価も演奏効果という点で今一つだったようです。気持ちが折れたのか2台ピアノ版に修正してそちらに作品番号を付けたとか。でもオリジナルの方が断然素敵なのに・・

この曲との出会いは20年ほど前のことでした。シューマン独特の甘く夢見るような美しい旋律に惹かれて是非弾きたいと思いながらも、この編成ゆえメンバーが揃わす2回も挫折。練習計画をしたのに予定が合わないとか、演奏者が見つからないとか、で諦めかけていたところでした。今回は3度目の正直ということで、ようやく実演にこぎつけました。

2台ピアノ版であれば実現は可能であっても、やはり同じ音色も楽器の重なりには私はあまり魅力を感じません。その昔、ライヴ・イマジンでサンサーンスの「動物の謝肉祭」を演奏しましたが、これとて他の弦楽器、管楽器がいればこそのアンサンブルです。その時には、プーランクの「シテール島への船出」ミヨーの「スカラムーシュ」も弾きましたが、それらは遊び心あふれる小品であって、作曲家が真面目に真っ向から取り組んだ曲には思えません。やはり音域が広く1台で完結しがちなピアノという楽器は同時に2台もいらないのかもしれません。

また現実的には2台のピアノが使えるホールが限定されるという事情もありました。公共ホールには一点豪華主義志向のためか2台のピアノが使えるところが限定されます。知っている公共ホールの中では五反田文化センターには新旧2台のスタインウェイがありますが、区民ではないので抽選倍率が高くて予約が難しいです。今回のすみだトリフォニーにはスタインウェイとヤマハがありますが、本来であれば同じメーカーと機種、コンディションであるべきでしょう。さらに練習となると、ピアノ2台があって、その上に他3人が演奏出来るスペースがある場所はとても限定されます。

もう一つこの曲を長い間敬遠してきた理由は2台のピアノがほぼ同じような旋律を弾く、という点にあります。それって各奏者の力量の差が一目瞭然です。私と似たり寄ったりのピアノ弾きには差を付けられたくない、というつまらない意地もあって共演者の選択には難しいものがありました。

今回は私の師匠が相方を務めてくれるという幸運に恵まれました。持っている技量も出てくる音も断然違う、そんな師匠の胸を借りる気持ちで臨めるのは何て心強いのだろう!という思いをひしひしと実感しています。私自身は目先の自分の音に精一杯なのに、師匠は自分の持ち分を当たり前のように弾き、他の奏者に目配りをしながら必要な音を確実に示す、次のテンポや曲想を皆に届ける・・・そんな様子を傍で見て聴いて感心しながらも教えられる事が沢山あります。本来であれば、私がやるべき役割の筈です。

you tubeでアルゲリッチが色々な人と演奏しているのを見かけます。これは、バレンボイムとの演奏。さすが大御所2人だけあって自在に楽しんで弾いている様子はついつい引き込まれてしまいます。

この特異な編成ゆえか、商業的に採算が取れないのか、生の演奏機会が少ないようです。長年温めてきたこの曲の魅力を伝えるべく練習を重ねて本番に臨むつもりです。どうぞお楽しみに♪

Categories:ライヴ・イマジン

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