替え歌モーツァルト
2026 OCT 14 1:01:40 am by 吉田 康子
10/3上野の旧奏楽堂「ライヴ・イマジン59」公演でモーツァルトのピアノ協奏曲第23番を弾きました。渡辺順生さんの編曲です。ライヴ・イマジン音楽記
この曲は伸びやかで明るい第1楽章、哀愁を帯びた第2楽章、そして軽快で歓喜に満ちた第3楽章、どの楽章もモーツァルト特有の美しさと軽快さを併せ持った曲として人気の高いものです。
当日もこの曲を楽しみに来たというお客さんが多く、人気のほどが伺われました。演奏が終わるとブラボ~の声と共に熱い拍手、最高の瞬間に酔いました。

スタッフの一人から「この曲の第2楽章に歌詞を付けたものがある」と聞きました。この方は楽器演奏はしないもののピアノの心得があり、今はゴスペルを楽しんでいるという音楽について守備範囲の広い方です。
あとで検索してみると「1986年6月9日に発売された薬師丸ひろ子3枚目のスタジオアルバム「花図鑑」に収録されている楽曲「花のささやき」です。歌手: 薬師丸ひろ子、作詞: 松本隆。
解説には「モーツァルトの美しいピアノ協奏曲第23番の第2楽章の旋律に、作詞家の松本隆が歌詞をつけて誕生した楽曲です。薬師丸ひろ子の透き通る歌声が、クラシックの名曲に新たな魅力を添えています。」とのこと。
花のささやき
後日you tubeで聞きましたが、なんだかいたたまれない気持ちになってすぐに止めました。自分が真摯に取り組んで何度も繰り返し弾き込んだ大切な曲を侮辱されたようで不愉快な気分。「こういう愚行は勘弁してほしい」というのがホンネです。ウケ狙いの編曲と素人臭い安っぽい歌を付けるなら、何もわざわざモーツァルトである必要な無いです。今ならAIがいくらでも手伝ってくれるのだし。プロの作詞家が大真面目な歌詞をあてがって、芸能人に歌わせて曲に仕立てて売り出す。著作権が切れたクラシックの作曲家の旋律ならパクリ放題?本来あるべき作曲家は必要ない?と。他にもホルストの木星とか、ベートーヴェンの悲愴とか他人のお古を使いまわして儲けようという魂胆が透けて見える曲があちこちに。
こういうのは替え歌というのでしょうか?子供の冗談交じりの歌なら、面白がって歌詞を付けてしまうのも許容範囲かもしれません。別にクラシックだからと気取るつもりもないし。身近な曲に変換して親しみを持たせるという点でも、そんなに目くじらを立てるほどのことはないでしょう。
そうであっても多くの人々が思い入れを持つようなこの曲について言えば、曲自体の尊厳を貶める、何とも貧しい思考の末の替え歌が哀しいです。
Categories:ライヴ・イマジン




6 comments already | Leave your own comment
西 牟呂雄
10/14/2026 | 2:56 PM Permalink
ギクッ、私は『ブラック・マジック・ウーマン』や『ホンキー・トンク・ウィメン』に勝手に日本語のデタラメな作詞をつけて歌っていました。
ですが、この「花のささやき」はさすがにマヌケ感がありますなぁ・・・。
西村 淳
10/14/2026 | 3:24 PM Permalink
そもそもだけど、この旋律って跳躍があって素人が歌うにはキツイし相当に無理があります。教会で歌うコラールの旋律はほぼ5度内(ドからソまで)におさまっていて学のない農民でも歌えるように配慮しています。それとモーツァルトにとって特別な嬰へ短調を踏みにじってイ短調に。ああ、嘆かわしい。お願いだからご勘弁してくださいな。
吉田 康子
10/15/2026 | 5:30 PM Permalink
西室さん、西村さん、コメントをありがとうございます。
このブログを書く人は少ないでしょうけれど、たぶん色々な人が見ていると思うので「アンチ薬師丸ひろ子か?」とか「小うるさい事を言うな」という非難の返信が来るかもしれないと思っていました。
そもそも今どきの音楽の学校教育では替え歌どころか、原曲についての知識も得られないお粗末なものです。行事で合奏する曲はアニメやボカロの曲ばかり。
「亜麻色の髪の乙女を知ってる?」と聞くと、大半が島谷ひとみの歌を口ずさむ・・・これが原曲だと思っているのが情けないですね。
西村 淳
10/15/2026 | 8:18 PM Permalink
島谷ひとみ知らん。ヴィレッジ・シンガースでしょ?(笑)
吉田 康子
10/15/2026 | 10:05 PM Permalink
ヴィレッジシンガーズ、知らないですよ。
でも検索すると亜麻色の髪の乙女、歌っていますね。
吉田 康子
10/16/2026 | 12:31 AM Permalink
亜麻色の髪の乙女、オリジナルはどちら?とGrokに訊きました。以下はその回答です。
青山ミチが1966年に録音した『風吹く丘で』(発売未定でお蔵入り)が真の原曲で、1968年にヴィレッジ・シンガーズが『亜麻色の髪の乙女』として発売したバージョンが最初の公式リリース、2002年の島谷ひとみ版はカバーです。青山ミチ版(1966年):作詞・橋本淳、作曲・すぎやまこういち。原題は「風吹く丘で」(英語表記ON THE WINDY HILLなど)。青山ミチが初録音しましたが、覚醒剤所持で逮捕された影響で発売直前に出荷停止・お蔵入りとなり、公式シングルとしては出ませんでした。後年、ベスト盤などで音源が確認されています。
ヴィレッジ・シンガーズ版(1968年2月25日):タイトルを『亜麻色の髪の乙女』に変更して日本コロムビアからシングル発売。グループ・サウンズの代表曲として大ヒットし、「オリジナル」と一般に認識されることが多いバージョンです。
タイトルはドビュッシーのピアノ曲『亜麻色の髪の乙女』(La fille aux cheveux de lin)から取ったものですが、曲自体は別物です。
島谷ひとみ版(2002年5月9日):ヴィレッジ・シンガーズ版のカバー。花王エッセンシャルのCM起用でリバイバルヒットし、紅白歌合戦にも出場。現在もっとも広く知られるアレンジです。
まとめると、「オリジナル」として最初に録音されたのは青山ミチの『風吹く丘で』、最初に世に出てヒットしたのはヴィレッジ・シンガーズの『亜麻色の髪の乙女』、という関係です。ドビュッシーのクラシック曲とはタイトルの借用関係のみで、ポップス曲とは無関係です。
ということで、曲のタイトルだけドビュッシーのパクリで曲自体は別物のようです。紆余曲折の後に棚からボタ餅を手に入れたのは誰?